皆さん、こんにちは!
今回から「中小企業ブランドのネット通販での戦い方」をお話したいと思います。
ずばり、ポイントは「中小ブランドならではの戦い方」。 よく聞くEC展開の方法や必勝法って、膨大な予算が必要なことが多く、大手を前提にした話になりがちですよね。「人員も予算も足りない、うちにはとても無理だ……」なんて歯噛みしながら読んだ経験もおありではないでしょうか。
そこで、私は「中小規模の企業がどう戦うべきか」にフォーカスしてお話していきたいと思います。
これから3回にわたる長丁場になりますが、どうぞお付き合いくださいませ。
我々は「大手との比較」にさらされています
さっそくですが、結論からお話すると「中小は大手と同じことをしていても勝てません」。
大手の方が企業体力が圧倒的に上なのですから、価格競争や商品開発力ではまず敵いませんし、広告にかける予算も桁違いです。同じターゲット・訴求を狙っていても、ちまたに溢れる商品の中で埋もれてしまうのがオチです。
ここがネット通販の難しいところ。
WEBでは店頭に並んでいる限られた商品ではなく、ありとあらゆるメーカーの膨大な商品がライバルです。その中でお客様に選んでもらう、あるいは視界に入れてもらうのさえ、並大抵のことではありません。
今まで卸売り一本だったブランドさんが「これからはネットだ!」という掛け声のもと、ネット通販に進出。自社通販のWEBサイトを作ったりAmazonに出品してみたけれど、ちっとも売れない。こんなはずじゃなかった……。なんていう話は本当によくお聞きします。
ランキングサイトでもあらゆる切り口で大量の商品が比較されていますよね。
ランキングサイトのみならず、Amazonなどの大手ECや各種の比較サイトなど、多種多様な媒体で「人気順」などというくくりで膨大な量の商品やブランドが比較されています。今や比較なしに買い物をすることなど無いといっても過言ではないでしょう。
あなたが日々のお買い物であらゆる商品やサービスを賢く比較しているのと同様に、あなたのブランドも日々お客様からの冷徹な比較にさらされているのです。
その中で大手と同じコンセプトや比較基準で戦っていては、勝てるわけがありませんよね。
いきなり暗いお話から始まってすみません。
では、知名度や価格競争力に劣る中小のブランドは、どんな戦略をとるべきなのでしょうか。
大手と違うコンセプトで成功した事例
ここで、私が知るある化粧品ブランドの話をしましょう。
そのブランドは「すっぴん=美」という考えのもと、「美しいすっぴんを作りましょう」というコンセプトで開発した化粧品を販売しています。
考えてみれば、みんながみんな好きでお化粧をしたり肌の手入れをしているわけではありませんよね。肌が敏感だからなるべくメイクしたくないという人もいますし、マナー上、あるいは社則により仕方なく化粧しているなんていう人もいるわけです。
このブランドは「すっぴん=美」というコンセプトを示すことで、メイク品なのに「化粧をしたくない人、化粧が嫌いな人」のニーズを的確に捉えているわけです。
実際、このブランドのWEBサイトには「お化粧から開放された」「化粧をしなくていいから肌がとても楽です」といったお客様からの喜びの声が溢れていました。
こういった人たちのニーズはほとんど顕在化されていませんから、大手はまず狙いません。このブランドは大手が狙わないターゲットを狙い、見事に成功した事例と言えるでしょう。
あなたのブランドが「勝てる戦場」を探しましょう
先程の例はわりと極端かもしれませんが、このように、お客様が商品を比較する基準は価格や新開発の美容成分だけではありません。
私も日々お客様からのご相談を受けていると、「どうすれば売れますか?」「やっぱりLINEですか?〇〇広告?」といった質問が多々あります。ですが、手段はあとなのです。
もっと先に考えるべきは「お客様は日々何を考え、どんな基準で商品を選んでいるのか」「どうすれば目に入るのか、興味を持ってもらえるのか」です。お客様が見ている景色を理解し、どの戦場を、どういった比較基準を選べば勝てるのかをまず考えるべきです。
大きな市場の下位よりも、ニッチな市場で上位に入るほうが旨味も大きいはずですよ。
ネット通販では常に大手との比較にさらされるというお話をしましたが、一方では「ニッチでも自分にぴったりのお客様・ブランドに出会える」というメリットも存在します。
光があれば影があるように、メジャーを好む人がいる一方で、「人と違う、自分らしい何かがほしい」と考える人も必ず存在します。我々が狙うべきはそういった需要です。
あなたのブランドのストーリーやコンセプトに共感してくれるお客様はどんな方なのか。あるいは逆に、あなたの狙うお客様はどんなコンセプトを求めているのか。
お客様の視点に立って、まずはそこをじっくり考え、ブランディングに反映していきましょう。