中小企業ブランドのネット通販における具体的戦略

こんにちは!
さてさて、今日は「中小企業ブランドのネット通販での戦い方」の第二回。
第一回は「大手と同じことをやっていても勝てません。勝てる戦場を見つけましょう」というお話をしました。
今回は、「じゃあ具体的にどうするのか?」ということをお話します。

お客様から信頼される「専門家」に

中小である我々は、大手と同じことをやらない。
言い換えると、「大手が真似しにくいことをやる」と言うこともできます。
では、大手のECが苦手なことはなんでしょうか。

EC量販店の大手といえばAmazonですよね。膨大な品揃えと安さが強みです。
量販店は品揃えの豊富さが強みと言いましたが、逆に言えば何かに特化したサイトではありません。詳しい案内やわかりやすい商品説明はなく、「あらかじめ消費者がほしいと思ったものを買いに来る」スタイルです。

そこで私が中小のECサイトにおすすめするのが「専門家作戦」。お客様というのはガンガン売り込んでくる相手からは逃げようとしますが、色々と教えてくれる専門家の言う事なら聞いてくれるものです。

たとえば部屋にグリーンが欲しくなって花屋さんに行ったとします。
店員さんに「初めてでも育てやすい品種はコレ」とか「肥料はこれがおすすめ」「水やりのタイミングはこのくらい」なんて説明されたら安心して購入する気になりますよね?決して安さだけで決めたりしないはずです。そしてこの人の言うことは聞いたほうがいいなと思ったら、勧めるものは何でも買います。 このように、専門家になれば比較される側という弱い立場ではなく、お客様に教えてあげる側に回れるわけです。

たとえば化粧品ブランドであれば、たとえば乾燥肌に特化してお手入れの方法やおすすめのスキンケア手順を教えるコンテンツを作る、あるいは自然派ブランドさんであれば、添加物についての説明コンテンツを用意するなんていうのはどうでしょう。
あるいは、「スキンケアコンシェルジュ」なんていう切り口で、一緒に最適な商品を選べるようにする、あるいは一人ひとりに合わせて商品をカスタマイズするなんて方法もありかもしれません。

あなたのブランドの強みを生かして、お客様が思わず頼りたくなる、信頼されるようなサービスやコンテンツを考えてみてください。

ちなみに、専門家作戦にはさらにメリットもあります。
お客様は何かを買うときまず「欲しくなるタイミング」があって、その後「買おう」と決めてから色んなサイトで検索して商品を比較し始めます。
でも専門家なら「こういうのがおすすめですよ」と言うことによって、お客様に自ら刺激を与えることができます。「なるほど、この人が言うなら買ってみよう」となるわけです。
お客様が欲しくなって比較をしてからでは競争が激しくなります。専門家作戦なら競争が激しくなる前の、いわば川上を押さえることができるわけです。

米国で伸びている「D2C」から学ぶ

厳密には専門家作戦ではありませんが、近しい例として、米国でバリバリ伸びている「D2C」のお話をします。
D2Cとは「Direct To Consumer」の略。”消費者に対して商品を直接的に販売する仕組み”のことを指します。すなわち、自社で企画・製造した商品を、ECサイトなどの自社チャネルで販売するモデルのこと。Amazonや楽天などのプラットフォームを通さずに販売することで「顧客に深くメッセージを伝えることができる」「中間マージンをカット」「顧客データの蓄積」などのメリットがあります。
日本以上にAmazonが強い米国において、Amazonより後発にも関わらず、メガネや化粧品、スニーカー、マットレスなどD2C発の様々なプロダクトがどんどんシェアを伸ばしています。

D2Cブランドの多くは「巷の既存商品への不満や課題を発見→独自のプロダクトを生み出す」というストーリーを背景に持っていることがほとんど。 それぞれ、マットレスやメガネの専門家として、その商品の誕生ストーリーや魅力を自社サイトでたっぷり語り尽くし、お客様を惹きつけています。これはAmazon等の量販店が真似できない大きな強みですよね。

皆さんの中には自社サイトでの販売に限らず、卸売りをしているブランドさんや大手モールで販売しているブランドさんもいらっしゃると思います。
また国が変われば事情も変わりますから、もちろんこの手法を丸ごと真似するのは難しいでしょう。しかし、部分的に見習うことは多々あると思います。 ぜひD2Cブランドを色々調べてみて、そのやり方も参考にしてみてください。