はじめに
「Googleアナリティクス(GA4)を見ても、結局何をすればいいか分からない」
「レポートを作るだけで半日が終わってしまう」
ECコンサルタントとして15年以上現場に立っていますが、2026年になった今でも、この悩みは無くなりません。むしろ、ツールが進化しすぎて「データの洪水」に溺れている店長さんが増えているように感じます。
はっきり申し上げます。2026年の今、人間がすべてのデータを目視でチェックし、分析ごっこをする時代は終わりました。
しかし同時に、「安易にAIにデータを渡してはいけない」という新たなリスクも生まれています。
本記事では、AIが標準実装された2026年のEC市場において、私たちが「データ」とどう付き合うべきか、セキュリティの落とし穴と、利益を残すための現実的な解をお伝えします。
2026年のデータ分析:3つのパラダイムシフト
かつてデータ分析といえば「Excelで複雑な表を作ること」でしたが、今は違います。大きな変化は以下の3点です。
- 「レポート」から「対話」へ(ただしセキュリティ意識が必須)
- 「売上(ROAS)」から「利益(POAS)」へ(薄利多売からの脱却)
- 「人間が見る」から「AIに分析してもらう」へ(データ=アルゴリズムの燃料)
これらを理解せずに古いやり方を続けると、時間だけでなく、会社の信用までも失うことになりかねません。
1. 「レポート」を作らない。AIに聞く(※取扱注意)
「毎週月曜日に数時間かけてアクセスレポートを作る」。これ、一番無駄な作業です。
2026年の主要なBIツール(Looker StudioなどのAI機能)は、自然言語での質問に対応しています。
- × 自分でグラフを作って変化を探す
- ○ AIに「先週、転換率が落ちた商品はどれ?原因は何?」と聞く
【重要警告】無料AIに「顧客リスト」や「売上生データ」を入れてはいけません
ここで必ず釘を刺しておかなければならないことがあります。
ChatGPTやGeminiなどの「無料版(または一般向け設定)」のAIチャットツールに、顧客のメールアドレスや未公開の売上データ、仕入れ原価などをそのままコピペしていませんか?
多くの無料AIツールでは、入力されたデータが「AIの学習」に使用される規約になっています。つまり、あなたの会社の機密情報が、巡り巡って他社の回答として出力されてしまうリスク(情報漏洩)があるのです。
- 対策: データを分析させる際は、学習データとして利用されない設定(オプトアウト)を行うか、API経由やエンタープライズ版などのセキュアな環境を使用してください。また、個人情報はマスキング(黒塗り化)するのが鉄則です。
これさえ守れば、AIは最強の助手になります。私が担当する店舗様でも、セキュアな環境下でAIに在庫予測をさせた結果、在庫回転率が20%改善しました。
2. 「ROAS(広告の費用対効果)」の罠と、本当の指標
ここが最も重要です。多くのEC担当者が「ROAS(売上÷広告費)」を絶対視しすぎています。
【実例】ROAS 800%でも赤字だった店舗の話
私が相談を受けた健康食品のECサイトでは、担当者が「ROAS 800%を維持しています!」と胸を張っていました。しかし、決算書を見ると利益が出ていない。
原因を掘り下げると、昨今の原価高騰と物流費の値上げが反映されておらず、広告で売れば売るほど、実は利益が削られていたのです。
私は担当者に嫌われる覚悟で「ROASを見るのをやめて、POAS(利益÷広告費)を見てください」と進言しました。
さらに、CPA(獲得単価)が高くてもLTV(生涯顧客価値)が高い顧客層だけに広告配信を絞り込みました。
その結果、見かけ上の売上は2割減りましたが、手元に残る営業利益は過去最高になりました。
データ分析の目的は「きれいな数字を作ること」ではありません。「会社にお金を残すこと」です。
3. データは「AIに分析してもらう」ためにある
楽天市場のSKUプロジェクトやYahoo!の検索ロジックが完成した今、データ整備の目的が変わりました。
人間が見るためではなく、プラットフォームのAIに「この商品はこういうものです」と正しく学習させるためにデータを整えるのです。
- 正確なSKU属性(サイズ、素材、用途など)
- 配送リードタイムの正確なデータ連携
これらが欠けていると、AI検索の時代では「存在しない商品」として扱われます。データ分析以前に、「正しいデータを登録し続けること」が最強のSEO対策になっています。
「苦手」な人が今日からやるべき、たった1つのこと
ここまで専門的な話をしましたが、「じゃあ明日から何をすればいいの?」という方へ。
まずは「違和感を見つける」ことだけに集中してください。
毎日、全データを見る必要はありません。
「昨日の受注件数」と「利益額」。この2つだけを毎朝見てください。
「あれ?いつもより件数が少ないな」「件数は同じなのに利益が薄いな」
その「違和感」を感じた時だけ、初めて詳細なデータを見に行けばいいのです。
まとめ:データは「羅針盤」であり「劇薬」
15年やってきて痛感するのは、データは強力な武器ですが、使い方を誤ると自分を傷つけるということです。
- 無料AIへの安易な入力は避ける(セキュリティ)
- 売上よりも「利益(POAS)」を見る(本質)
- 最後は人間が「違和感」で判断する(責任)
このバランス感覚こそが、2026年を生き残るEC運営者の条件です。
「数字に使われる」のではなく、「安全に数字を使いこなす」側へ。まずは明日の朝、安全な方法でAIに「昨日の売上の原因は?」と聞くことから始めてみてください。
もしAIの使い方や分析の方法、それを施策に活かす方法にお悩みでしたら、お気軽に私たちの無料相談をご利用ください。
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