「最安値」で戦うのはもう限界…!価格競争に疲弊したショップが生き残る唯一の方法とは?

価格競争の果てにあるのは「撤退」か「疲弊」か

ECサイトの運営歴が15年を超える私ですが、そのキャリアの中で、「価格競争に勝って幸せになった中小ショップ」を見たことは一度もありません。

競合店が10円下げたら、こちらは20円下げる。夜中に価格調査をしてプライスダウンの設定をする…。この消耗戦を繰り返した先に待っているのは、利益率の極端な低下と、資金力のある大手資本による市場の独占(駆逐)だけです。

「安くしないと売れない」という恐怖は痛いほど分かります。しかし、そこから一歩抜け出し、「価格以外の理由」でお客様に選ばれる仕組みを作らなければ、事業の継続は不可能です。

本記事では、私がコンサルタントとして実際にクライアント様と実行してきた、価格競争からの脱却戦略と、その現実的な成果についてお話しします。

※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。

なぜ、モールでは「価格」でしか戦えないのか?

プラットフォームの仕様が「比較」を強制している

まず冷静に認識すべきは、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのモールは「価格比較をさせること」で消費者の利便性を高める仕組みになっているという点です。

JANコードで検索すれば最安値順に並び替えられます。この土俵にいる限り、「安さ」は最強の武器であり、それを捨てることは「売上の低下」を意味します。 だからこそ、モールの中だけで差別化しようとするのは茨の道なのです。ここで無理に高値で売ろうとせず、「モールは価格競争が起きる場所である」と割り切る判断が必要です。

価格以外で選ばれるための「価値」の作り方

価格で勝負できない私たちが提供すべきは、商品に付随する「体験」と「安心」です。

私のコンサルティングにおける「判断の基準」

私がクライアント様に「脱・価格競争」を提案する際、必ず以下の基準で判断を行います。

  1. 商品は「型番品」か「オリジナル」か? → 型番品なら、セット販売や特典で「単純比較」を避ける。
  2. リピート性はあるか? → あるなら、初回は赤字でもOK。2回目以降を自社サイトへ誘導する。
  3. 「人」が見えているか? → 店長やスタッフの顔、想いが見える店舗は、数十円の差なら選ばれる。

この基準に基づき、Shopify(自社サイト)を併用することで「ブランドとしての価値」を構築していきます。

【実例】競争から脱却し利益を確保したハイブリッド戦略

実際に私が支援させていただいた、あるインテリア雑貨店様の事例をご紹介します。

成功事例:インテリア雑貨店 A社(月商500万規模)

【クライアントの課題】 モールでの売上は好調でしたが、競合の参入により広告費が高騰。営業利益率は約3%まで低下し、薄利多売による出荷作業で現場は疲弊しきっていました。

【コンサルティングによる意思決定】 私たちは「モールでの売上を維持しつつ、利益率の高い自社サイトへ顧客を流す」というハイブリッド戦略を採用しました。ただし、いきなりモールを辞めるのはリスクが高すぎると判断しました。

【具体的な施策内容】

  1. Shopify本店の構築: 「安さ」ではなく「インテリアの提案」を軸にした、カタログのようなサイトを構築。
  2. 同梱物による誘導(グレーゾーンへの対応):モールの規約では、自社サイトへの直接的な勧誘(URLの記載など)は厳しく制限されています。そこで、単なる宣伝チラシではなく、「購入商品のメンテナンスガイド」や「スタッフの手書きサンクスレター」を同梱しました。 そこに「困ったときのサポート窓口」としてLINE公式アカウントのQRコードを配置。LINEを経由することで、規約に抵触しない形でお客様との接点を作り、Shopify本店への動線を作りました。

【現実的な実績(Before / After)】 劇的に売上が倍増したわけではありません。しかし、利益構造は確実に変わりました。

  • 1年後: リピーターの約15%がShopify本店での購入へ移行。
  • 利益率: モール手数料がかからない売上が増えたことで、全体の営業利益率は3%から7%へ改善
  • 現場の変化: 利益率が上がったことで無理なセールをする必要がなくなり、出荷作業の波動が穏やかになりました。

「たった4%の改善?」と思われるかもしれませんが、月商500万円の店舗にとって、手元に残る現金が毎月20万円増える(年間240万円増)ことは、経営の安定性に絶大なインパクトを与えます。

次のステップ:戦略を実践に移すための思考法

価格競争から降りることは、勇気がいります。しかし、A社のように「独自の価値」と「正しい誘導設計」があれば、お客様は必ずついてきてくれます。

次の記事では、このハイブリッド戦略を支えるもう一つの柱、「広告費の削減」について解説します。広告に頼らずとも売上を作る「自律的な集客」へのシフトチェンジです。

【続きを読む】楽天RPP広告のROASが合わない!広告費を削減して売上を維持する「ハイブリッド集客」のススメ


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