「楽天市場=賃貸」vs「自社サイト=持ち家」|資産になるEC運営と顧客リストの重要性

「楽天市場で売上は上がっているのに、なぜか手元に利益が残らない」

「もし明日、Amazonのアカウントが停止されたら、売上がゼロになってしまう」

もしあなたが今、このような不安を少しでも感じているなら、それはあなたのビジネスが「借家(賃貸)」の上で成り立っているからかもしれません。

EC事業において、ショッピングモール(楽天市場、Amazonなど)と自社サイト(Shopify、MakeShopなど)の違いは、よく「賃貸マンション」と「持ち家」に例えられます。

この記事では、なぜECモールだけに頼るのが危険なのか、そしてなぜ「自社サイト」を持つことが「資産」となるのかを、わかりやすく解説します。


1. わかりやすい比較:「賃貸」と「持ち家」

まずは、モールと自社サイトの決定的な違いを、住宅の形態に例えて整理してみましょう。

楽天市場・Amazon = 「好立地の高級賃貸マンション」

ショッピングモールへの出店は、駅直結の高級デパートや、一等地のマンションにテナントを借りるようなものです。

  • メリット: 最初から膨大な人通り(アクセス)がある。入居したその日から集客が見込める。
  • デメリット: 家賃(出店料・販売手数料)が高い。改装(デザイン)の自由度が低い。そして何より、「大家さん(モール側)」のルールが絶対です。

ここに注意!

大家さんが「来月から家賃を上げます」「この看板は禁止です」と言えば、従うしかありません。最悪の場合、「退去(退店)」を命じられるリスクと常に隣り合わせです。

自社サイト = 「郊外に建てる注文住宅(持ち家)」

一方、自社サイト(本店)を持つことは、自分の土地に自分の好きな家を建てることに似ています。

  • メリット: 外装も内装も自由自在。販売手数料などの「家賃」がかからない(決済手数料のみ)。そして、土地と建物はあなたの「資産」になります。
  • デメリット: 建てた当初は、誰も場所を知りません。自分でチラシを配ったり(広告)、道を整備したり(SEO)して、人を呼ばなければなりません。

【比較表】モール vs 自社サイト

項目ショッピングモール (賃貸)自社サイト (持ち家)
集客力◎ 初日から高い△ 最初はゼロから
利益率△ 手数料で削られる◎ 高い (中抜きなし)
顧客データ× モールのもの◎ 完全に自社のもの
リピート施策△ 制限が多い◎ 自由 (LINE, メルマガ)
資産性低い (フロー型)高い (ストック型)

2. 最大の資産は「顧客リスト」にあり

多くの経営者が見落としがちなのが、売上の金額そのものではなく、「誰に売ったか」という情報の所有権です。

モールでは「顧客」はあなたのものではない

楽天市場やAmazonで商品が売れたとき、そのお客様は「あなたのお店のお客様」である以上に、「楽天やYahoo、Amazonの会員」です。

多くの場合、メールアドレスは暗号化(マスク化)されており、あなたは直接お客様に連絡を取ることができません。「新商品が出ました」「セールの案内です」と伝えたくても、モール内の高額な広告や有料メールシステムを使わざるを得ないのです。

自社サイトなら「顧客リスト」が手元に残る

自社サイトで購入していただいた場合、お名前、メールアドレス、電話番号、購買履歴はすべてあなたの会社のデータとなります。

これが「顧客リスト」です。

江戸時代の商人が、火事になったときに現金よりも「大福帳(顧客台帳)」を持って逃げたという話をご存知でしょうか? それは、顧客リストさえあれば、店が燃えても商売はすぐに再開できるからです。

  • メールマガジンでコストをかけずに再販を促す。
  • LINE公式アカウントと連携して、密なコミュニケーションを取る。
  • 購入履歴に基づいて、その人に合った商品を提案する。

これらが自由にできることが、自社サイト最大の強みであり、「商売の資産化」なのです。


3. 「焼畑農業」から「農耕型ビジネス」へ

モール依存のビジネスは、常に新規客を追い求め、高い広告費を払い続ける「焼畑農業」になりがちです。一度刈り取ったら、また次の土地(新規客)を探さなければなりません。

対して、自社サイトで顧客リストを積み上げ、リピーターを育てるビジネスは「農耕型」です。

  1. 種をまく(新規集客)
  2. 水をやる(メルマガ・LINEでのフォロー)
  3. 収穫する(リピート購入)
  4. また種が落ちる(口コミ・ファン化)

最初は手間がかかりますが、一度仕組みができあがれば、広告費をかけずに安定した売上が上がり続けます。これをLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化と呼びます。


4. 結論:目指すべきは「ハイブリッド戦略」

では、今すぐ楽天やAmazonを退店すべきでしょうか? 答えは「No」です。

自社サイトは「集客」が最大の弱点だからです。賢いEC事業者は、両方のメリットを使い分けるハイブリッド戦略をとっています。

成功へのステップ

  1. モール(賃貸)で「認知」を獲得する: まずは人通りの多いモールで商品を販売し、多くのお客様に商品を手にとってもらいます。ここは利益率が低くても、「広告宣伝費」と割り切って新規顧客との接点を作ります。
  2. 同梱物で「ファン」にする: 商品を送る際、単なる納品書だけでなく、「ブランドブック」や「手書きのお礼状」を同梱します。 ここで安易に「次は本店へ」と誘導するのは規約違反のリスクがありますが、「感動」を与えることは禁止されていません。 「またこのお店で買いたい」と思ってもらえれば、お客様は自然とGoogleであなたの「店名」を指名検索してくれるようになります。
  3. 自社サイト(持ち家)で「関係」を深める: 指名検索などで自社サイトに辿り着いてくれたお客様に対し、モールではできない「濃い接客(LINE連携や会員限定サービス)」を提供します。 ここで初めて、顧客リストに基づいた「農耕型」の資産形成がスタートします。

まとめ:未来のために「資産」を築こう

  • モールは「賃貸」: 集客力はあるが、資産にならず、手数料(家賃)を払い続ける必要がある。
  • 自社サイトは「持ち家」: 構築は大変だが、利益率が高く、顧客リストという「資産」が残る。
  • 顧客リストの有無が命運を分ける: 直接連絡できる顧客リストがあれば、広告費ゼロで売上を作れる。

いつまでも「家賃」を払い続ける生活から、少しずつ「自分の家」を育てる経営へシフトしませんか?

今こそ、自社サイトという「資産」を構築し始めるタイミングです。


▼ この記事は「ハイブリッド戦略」シリーズの一部です

今回はモールと自社サイトの比較について深掘り解説しましたが、これは利益最大化戦略の一部に過ぎません。 「点」の施策だけでなく、ビジネス全体の「構造」を変えて利益を最大化する方法を、以下の総集編記事で体系的にまとめています。

👉 【2025年版】楽天と自社サイトはどっちがいい?併用で利益を最大化する「ハイブリッド戦略」の全貌


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