Shopify・BASE・STORES徹底比較【2025年最新】ECカートの選び方とおすすめ

ECモール出店経験のある事業者が「そろそろ自社ECも持ちたい」と考えるのは自然な流れです。楽天やYahoo!ショッピングの手数料負担から逃れたい、顧客データを自社で管理したい、ブランドを自由に表現したい。こうした想いは誰もが持ちます。しかし、いざ自社ECカートを選ぼうとすると「Shopify、BASE、STORES…結局どれが自分たちに合ってるの?」という壁にぶつかってしまう。これが、EC事業者のご相談でいちばん多いお悩みなのです。

本記事では、Shopify・BASE・STORESの3つのカートプラットフォームを、料金・機能・向き・不向きといった実務的な観点から比較します。月商の推移にあわせた最適な選択肢も提示していますので、あなたのステップにぴったり合ったカート選びの判断材料がここに揃います。

※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。


Shopify・BASE・STORES比較の前に押さえたい「自社ECカート選び」の前提

自社ECを持つことのメリットは大きく3つあります。まず、モール手数料を大幅に削減できること。次に、顧客データを完全に自社資産にできること。そして、ブランドの世界観を余すところなく表現できることです。

ただし「どのカートか」を選ぶ前に、より大切なことがあります。それは「自社ECで何を実現したいか」という目的を明確にすることです。リピーター育成を重視したいのか、新規顧客の獲得を最優先にするのか、実店舗との連携を考えているのか。この軸がぶれると、どれだけ機能が豊富なカートを選んでも、運用段階で後悔することになります。

15年以上のEC運営経験のなかで、私たちが見てきた失敗事例のほぼすべてが「目的を決めずにカートを選んでしまった」というケースでした。逆に、事業フェーズと目的を明確にしてから選んだ事業者は、その後の運用がスムーズに進むケースばかりです。

本記事で分かることは、以下の3点です。

  • Shopify・BASE・STORESの料金体系、手数料、機能の正確な違い
  • 月商規模と事業目的に応じた「あなたにぴったりなカート」
  • カート選び後の失敗を防ぐための実践的なチェックリスト

Shopify・BASE・STORESの基本比較【早わかり表】

項目ShopifyBASESTORES
初期費用0円0円0円
月額費用3,650円〜0円 / 16,500円*0円 / 3,300円*
決済手数料3.55%〜3.6% + 40円 / 2.9%5.0% / 3.6%*
デザイン自由度◎ 高い△ 限定的〇 テンプレート豊富
機能拡張性◎ 圧倒的〇 必要な機能は揃う〇 必要な機能は揃う
向いている規模月商50万以上月商〜50万月商20万〜100万

*:月額費用、決済手数料は有料プランの場合。BASEグロースプランは16,500円(年払い時)、STORESは2025年3月改定による新プラン適用


Shopifyの特徴と向いている店舗

強み:拡張性と決済手数料

Shopifyは世界175カ国以上で300万以上のストアに選ばれている、グローバルスタンダードなプラットフォームです。最大の強みは、その拡張性の高さにあります。「Shopify App Store」には数千のアプリが揃っており、サブスク販売、予約販売、高度なレビュー機能といった、モールではけっして実現できない施策を自由に構築できます。

デザイン性の面でも、プロが作った洗練されたテンプレートが豊富です。HTML/CSSの知識があれば、カスタマイズの自由度は事実上無限に近い。越境ECを視野に入れるのなら、Shopifyに早期から慣れておくことは戦略的に重要です。

そして、月商が増えるほど威力を発揮するのが決済手数料です。Basicプラン(月額3,650円)でも3.55%と業界内で最安水準。月商100万円を超えるとこの差が利益に直結し、Shopifyの投資対効果が急速に高まります。

弱み:初期ハードル

ただし、BASEやSTORESと比べると初期設定が複雑です。商品登録、決済設定、税率設定など、一つひとつのステップが細かく、直感的ではありません。「今月から売りたい」という急ぎのニーズには向きにくい面があります。また、月額費用が必ず発生するため、テスト段階でのハードルがあります。

向いている店舗像

  • ブランドイメージを細部まで演出したい
  • 月商50万〜100万円以上を視野に入れている
  • リピーター施策やCRM、マーケティングオートメーションを本格的に構築したい
  • モール一辺倒から卒業し、自社ECを「利益の柱」にしたいと考えている

実際に、雑貨を扱うお客様がSTORESからShopifyに移行した時、3ヶ月でリピート率が22%から35%に跳ね上がったケースを私たちも目撃しています。アプリを活用したリピーター施策の威力は、相応の規模に達すると劇的です。


BASEの特徴と向いている店舗

強み:ゼロリスクで挑戦できる

BASEの最大の魅力は「初期費用・月額費用ともに0円」という圧倒的な手軽さです。ネットショップの運営が初めてなら、これほど心強い選択肢はありません。「とりあえず自社ECがどんな感じか試してみたい」という段階では、BASEはまさに最適なプラットフォームです。

管理画面も直感的で分かりやすく、商品登録から決済設定まで、ほぼ迷うことなく進められます。無料でここまでの機能を提供するサービスは、正直なところ他にはありません。

弱み:手数料と拡張性の限界

ただし、無料プランの決済手数料は「3.6% + 40円 + サービス利用料3%」と高めです。月商が伸びてくると、この手数料負担が顕著になります。月商50万円を超えるあたりで、グロースプランへのアップグレードを検討する事業者が多いのは、このためです。

また、デザインと機能の拡張性にも限界があります。「どうしてもこういう機能が必要」というニーズが生じた時、BASEではカバーできないケースが少なくありません。

向いている店舗像

  • まずは小さく、リスクなく始めたい個人事業主やスタートアップ
  • SNS(Instagram、TikTok)での集客が中心で、本格的なSEO対策は不要
  • シンプルな商品体系で、複雑な決済フローが不要
  • 「売上が出たら、その時にプラン変更を検討する」という柔軟なアプローチを取りたい

STORESの特徴と向いている店舗

強み:バランスの取れた料金体系

STORESは「BASEとShopifyの中間」という立ち位置で、そのバランスの良さが特徴です。フリープランなら月額費用ゼロで始められます。ただ、決済手数料が5.0%と高めなため、月商20万円程度を超えるとベーシックプラン(月額3,300円、決済手数料3.6%)への切り替えを検討する価値が出てきます。

もう一つの強みが、実店舗との連携です。STORESレジ(POS)と統合することで、オンラインとオフラインの在庫、売上をシームレスに管理できます。「カフェを運営しながら、オリジナル商品もオンラインで販売したい」というような、複合型ビジネスにはSTORESが最適です。

テンプレートも豊富で、初心者でも見栄えの良いサイトを短時間で構築できます。この点では、BASEよりも一段上のクオリティを実現しやすい。

弱み:高度なカスタマイズの限界

Shopifyほどの拡張性はありません。「チェックアウトページを完全にカスタマイズしたい」「独自の決済フローを実装したい」といった要望には対応できません。また、越境ECの機能も限定的です。

向いている店舗像

  • スモールスタートで、バランスの取れたコスト効率を求めている
  • 実店舗も運営しており、オンラインとオフラインの一元管理が必要
  • 月商20万〜100万円のレンジで安定的に運営する予定
  • デザインのセンスはテンプレートに頼りたい

月商・目的別で見るおすすめECカートの選び方

月商〜30万円:BASEまたはSTORESフリープランが有利

この段階では、月額費用の有無が大きく響きます。BASEのスタンダードプラン(無料)やSTORESのフリープラン(無料)は、この規模に最適です。手数料で比較すると、STORESフリープラン(5.0%)の方がBASE(3.6% + 40円 + 3%)より有利な場合が多いですが、販売数や客単価によって変動します。

実例:アパレル事業者のケース

かつて、インポート雑貨を扱う30代女性事業主が「まずはInstagramで月5〜10万円の売上を目指したい」と相談に来られました。BASEで開設してから3ヶ月で月商15万円に達した時点で、「これから本格化させるならどうする?」という判断を迫られました。この時点でSTORESベーシックプランへの移行を勧めたのは、決済手数料が3.6%に下がるメリットを見込んだからです。

月商30万〜100万円:STORES有料プラン、またはShopifyの検討ライン

この段階が、カート選びで最も判断が分かれるゾーンです。STORESベーシックプラン(月額3,300円、決済手数料3.6%)と、Shopify Basicプラン(月額3,650円、決済手数料3.55%)の月額費用はほぼ同じですが、その先の拡張性が大きく異なります。

月商50万円に達した段階で「リピーター率を高めたい」「顧客データを活用したマーケティングをしたい」という要望が生じた場合、STORESでは対応しきれません。Shopifyであれば、アプリを活用してこうしたニーズを実装できます。

実例:化粧品通販のケース

化粧品を扱う事業者が月商80万円に達した時点で、「クーポン配信や会員リピート施策をもっと細かく制御したい」という相談をいただきました。STORESではこの要望に応えられなかったため、Shopifyへの移行をアドバイスしました。移行後6ヶ月で月商120万円に到達し、利益率もそれまでより7ポイント改善したと報告をいただいています。

月商100万円以上:Shopifyで決済手数料の優位性を活かす

この規模では、月額費用の重要性は相対的に低下します。決済手数料の差がダイレクトに利益に響くため、最安水準のShopifyの優位性が顕著になるのです。

また、月商が大きくなるほど「複雑な在庫管理」「多様なマーケティング施策」「複数事業の統合管理」といったニーズが生じやすくなります。Shopifyのアプリエコシステムがここで真価を発揮します。

「モール + 自社EC」で利益を最大化したいなら、Shopify一択

楽天やYahoo!ショッピングと自社ECの「併立戦略」を検討している場合、私たちの経験では Shopify 一択をお勧めしています。理由は3つあります。

第一に、モール側の営業施策(セール、キャンペーン)の時間軸と、自社EC側の顧客育成サイクルを独立させられるから。第二に、Shopifyのアプリを活用すれば、モールでは絶対にできない「一度も購入していない見込み客へのアプローチ」や「購買パターン分析に基づく提案」が実現できるから。第三に、5年単位で見たときの投資対効果が、圧倒的に高いからです。

実際、食品(仕出しサービス)を扱う事業者がモール一辺倒から「楽天70%、Shopify自社EC30%」の売上構成に移行した結果、手数料負担が35%削減され、その分を商品開発に充てられるようになった例もあります。


ECカート選びで失敗しないためのチェックリスト

無料トライアル期間を最大限活用する

Shopifyなら3日間の無料体験、その後3ヶ月間150円での利用が可能です。この期間に「実際に商品を10個登録してみる」「決済テストを完了させる」「管理画面の操作感を確認する」といった実務的なタスクをこなしておくことで、導入後のギャップを最小化できます。

日本語サポートと問い合わせ手段を確認する

「困った時にすぐに相談できるか」は、運用の安定性を大きく左右します。メール、チャット、電話のいずれで対応してくれるのか、営業時間は何時までか、応答時間はどれくらいか。こうした情報は事前に確認しておくべきです。ただし、この点においては、正直なところBASEやSTORESはShopifyより充実しているケースが多いという事実もあります。

将来的なデータ移行を想定しておく

カート選びは「今」を基準にするのではなく、「2〜3年後のビジネス規模」も視野に入れるべきです。もし将来的に別のカートへの移行を考える場合、商品データ、顧客データ、注文履歴のエクスポート機能がちゃんと備わっているか、確認しておくと安心です。


まとめ|ECカート選びは「将来どう成長したいか」から逆算する

Shopify・BASE・STORESのいずれが「正解」なのではなく、あなたのビジネスステージと成長戦略によって、最適な選択肢は変わるということが、この記事で最もお伝えしたいポイントです。

個人事業主で月商30万円以下なら、BASEやSTORESのフリープランで十分です。そこから事業が伸びて、本格的なマーケティングや顧客管理を考えるなら、Shopifyへのシフトが視野に入ります。モール出店経験がある中小企業であれば、自社ECの立ち上げ時点でShopifyを選ぶことで、後々の手間や費用を削減できるケースも多いのです。

今日からできる3つのアクション:

  1. 候補を2つに絞ってトライアルを試す:無料期間を活用して、実際に操作してみてください。机上の比較より、100倍の価値があります。
  2. 自社の2〜3年後の売上予測と利益目標を立てる:それに応じた「総コスト」(月額費用 + 決済手数料)をシミュレーションすれば、選択肢が自ずと絞られます。
  3. モールとの役割分担を整理する:自社ECはブランド構築と顧客育成、モールは新規集客というように役割を分けると、カート選びの軸も明確になります。

ECカート選びは、自社EC成功への第一歩に過ぎません。本当に大切なのは、そのカートを使って「誰に、何を、どう届けて、どうやって利益を最大化するか」という戦略の部分です。私たちSBマーケティングデザインは、単なるサイト構築ではなく、カート選びから戦略設計、集客まで、ワンストップであなたの自社EC事業に伴走します。

「自分たちの場合、どのカートがいいのか確信が持てない」「具体的な費用対効果をシミュレーションしてほしい」

そんな場合は、お気軽に無料相談へお問い合わせください。15年以上のEC運営経験と、数百社のコンサルティング実績からの提案をさせていただきます。

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Illustration by Storyset

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