「楽天やYahoo!ショッピングの手数料負担を減らしたい」「顧客リストを自社で保有したい」
ECモールに出店されている事業者様から、このようなご相談をいただく機会が増えました。
しかし、いざ自社サイト構築へ踏み出そうとした時、多くの方が「Shopify、BASE、STORES、結局どれを選べばいいのか?」という壁に直面します。ネット上の比較記事を見ても、機能の羅列ばかりで「自分の事業フェーズにはどれが最適か」という判断がつかないからです。
私は15年以上、ECサイト運営の現場に立ち続けてきました。現在はその経験を活かし、ECコンサルタントとしてご支援を行っていますが、現場で痛感してきたのは「カート選びの失敗は、後から取り返すのに莫大なエネルギー(コストと時間)がかかる」という事実です。
本記事では、表面的な機能比較ではなく、「利益率」と「将来の拡張性」という実務的な観点から、Shopify・BASE・STORESの3大プラットフォームを比較・解説します。
※随時変更の可能性がございます。実際の手数料など公式サイトでご確認ください。
比較の前に:なぜ「とりあえず無料」で選ぶと失敗するのか
自社ECを持つ最大のメリットは、モールにはない「利益構造の改善」と「ブランディングの自由度」にあります。しかし、初期費用や月額固定費の安さだけでカートを選んでしまうと、売上が伸びた段階で「決済手数料の高さ」が利益を圧迫するというジレンマに陥ります。
私がご支援する中で最も多い失敗パターンは、「目的を決めずに、手軽さだけでカートを選んでしまった」ケースです。
- リピーター育成(CRM)を重視するのか?
- 新規顧客の獲得を広告で行うのか、SNSで行うのか?
- 実店舗との在庫連携は必須か?
この「事業の出口」を定めてからツールを選ぶこと。これが、15年の経験から申し上げられる最も確実な成功法則です。
【2026年版】Shopify・BASE・STORES 実務比較表
まずは、3社の主要な違いを整理します。
特にご注目いただきたいのは、BASEの有料プランとShopifyの月額費用の逆転現象です。かつては「高い」と思われていたShopifyの方が、実は固定費を低く抑えられるケースが増えています。
| 項目 | Shopify | BASE | STORES |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 月額費用 | 3,650円〜(年払い) | 0円 / 16,580円(年払い)*1 | 0円 / 約3,300円*2 |
| 決済手数料 | 3.55%〜 | 6.6%+40円 / 2.9% | 5.5% / 3.6% |
| 入金サイクル | 最短翌週金曜日 | 申請から10営業日 | 月末締め翌月末払い |
| デザイン自由度 | ◎ 非常に高い | △ 限定的 | 〇 テンプレート豊富 |
| 拡張性(アプリ) | ◎ 圧倒的(数千種) | 〇 標準機能中心 | 〇 標準機能中心 |
| 推奨月商規模 | 月商30万円以上〜 | 〜月商30万円 (または月商200万以上の大量販売) | 月商20万〜100万円 |
※注:BASEの有料プラン(グロースプラン)は年払い時16,580円/月相当、月払い時は19,980円です。
※注:STORESは2025年以降のプラン改定を反映した目安です。
各カートの特徴と「運営現場」から見た適正
1. Shopify:実はコストパフォーマンス最強の「事業」向き
世界標準のプラットフォームであり、最大の強みは「拡張性」と「決済手数料の安さ」にあります。
特筆すべきは、月額3,650円(年払い)で決済手数料3.55%という驚異的なコストパフォーマンスです。BASEの有料プラン(約1.6万円〜)と比較しても、固定費が圧倒的に安く済みます。
月商が数十万円規模に成長し、「手数料を抑えたいが、月額2万円近い固定費は重い」と考える事業者にとって、Shopifyは最も合理的な選択肢となります。また、アプリによる機能拡張が豊富で、モールでは実現できない「詳細なセグメント配信」や「定期購入」も自由に実装可能です。
2. BASE:リスクゼロだが「有料化のハードル」が高い
「初期費用・月額費用ともに0円」で開始できる手軽さは健在です。SNSとの親和性が高く、Instagram等で集客ができる個人ブランドや、テスト販売には最適です。
【懸念点】
無料プラン(スタンダード)の実質手数料は約6.6%+40円と高額です。
一方、手数料を下げるための「グロースプラン」は月額約16,580円〜と非常に高額になりました。これにより、「少し売れてきたから有料プランへ」という気軽なステップアップが難しくなっています。BASEで有料プランにするメリットが出るのは、月商が概ね200万円を超えるような規模感になってからです。
3. STORES:実店舗連携とコストの「バランス」型
BASEとShopifyの中間に位置するカートです。「STORESレジ」との連携が強力で、実店舗とECの在庫・売上を一元管理したい事業者には最適です。
有料プランも月額3,000円台で維持できるため、Shopifyほどの多機能さは不要だが、BASEの無料プランの手数料は回避したい、という層にフィットします。
【独自の経験則】月商フェーズ別・カート選定の判断基準
ここからは、実際に私がクライアントにご提案している判断基準を解説します。
「BASEの有料プランが高額化した」という2026年の現状を踏まえた戦略です。
フェーズ1:月商〜30万円(BASE または STORESフリー)
この段階では「固定費のリスク」を極限まで下げるべきです。
集客の目処が立っていない状態で有料カートを契約するのは推奨しません。まずはBASEやSTORESのフリープランで「商品が売れる感覚」を掴むことに集中してください。
フェーズ2:月商30万〜200万円(Shopify または STORES有料)
ここが従来のセオリーと大きく変わった点です。
かつてはこの規模でBASEの有料プランも選択肢に入りましたが、現在は月額費用が高すぎるため推奨しません。
- 拡張性・マーケティング重視なら → Shopify
月額3,650円〜で手数料3.55%は破格です。リピート施策や分析を強化したいならこちら一択です。 - 実店舗連携・手軽さ重視なら → STORES有料プラン
月額3,000円台で手数料3.6%に抑えられます。日本語のシンプルな管理画面を好む場合に適しています。
フェーズ3:月商200万円以上(Shopify または BASEグロース)
この規模になると、BASEのグロースプラン(手数料2.9%)のメリットが出てきます。
「複雑な機能は不要で、とにかくシンプルな販売を大量に行う」という場合はBASEグロースも選択肢に入ります。しかし、在庫管理やWMS連携、CRMなど「事業としての足腰」を強くするなら、アプリ連携に優れたShopifyの優位性が勝ります。
【体験談】カート移行のリアルな現場事例
ここで、実際に私がご支援したクライアントの事例をご紹介します。
「今のカートで売上が頭打ちになった」という悩みから、Shopifyへの移行を決断されたケースです。
※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。
■クライアント:アパレル雑貨店(運営歴3年)
■課題:
国産の簡易カートを利用していたが、会員ランク機能やセット販売の自由度が低く、客単価が伸び悩んでいた。また、月商が伸びるにつれて手数料負担が増していたが、上位プランへの切り替えは固定費が跳ね上がるため躊躇していた。
■実施した施策:
Shopifyへの移行を実施。月額固定費を低く抑えつつ(Basicプラン)、CRMアプリを導入し「2回目購入への引き上げ」と「優良顧客限定のシークレットセール」を自動化。
■結果と考察:
移行直後の1ヶ月目は、サイトのUI(見た目や操作性)が変わったことによる戸惑いもあり、CVR(転換率)が一時的に0.2ポイント低下しました。
しかし、3ヶ月目には顧客が新システムに慣れたこと、そして自動化されたリピート施策が機能し始めたことで、CVRは移行前と同水準に回復。
特筆すべきは「利益率」の変化です。決済手数料の削減と、リピーター比率が徐々に向上(22%→26%へ微増)したことで、広告費を増やさずに手元に残る利益が増加しました。
「劇的に売上が倍増する」という魔法のような話ではありませんが、「仕組みで利益を残す体質」へ変化した実例です。
失敗しないための「導入前チェックリスト」
最後に、これからカートを選ぶ方が確認すべきポイントをまとめます。
- 「やりたいこと」は標準機能でできるか?
「定期販売」「予約販売」「独自の配送日時指定」など、商材特有の要件がアプリなしで実装できるか、あるいは有料アプリが必要かを確認してください。Shopifyの場合、アプリの月額費用が積み重なることにも注意が必要です。 - サポート体制の確認
何かトラブルが起きた際、日本語で迅速なサポートが受けられるかは重要です。国産カート(BASE/STORES)はこの点で安心感がありますが、Shopifyも近年日本語サポートが充実しています。実際のレスポンス速度を無料期間中に試すことをお勧めします。 - 「3年後の姿」から逆算する
今の月商だけでなく、3年後の目標月商を基準に選んでください。データ移行(商品・顧客・注文履歴)は非常に労力がかかる作業です。将来的に移行が前提なら、最初から拡張性の高いカートを選ぶ方が、トータルのコストは安く済みます。
まとめ:ECカート選びは「戦略」そのもの
どのカートにも一長一短があり、「誰にとっても100点満点のカート」は存在しません。
しかし、ご自身の事業フェーズと「どこで利益を出すか」という戦略が明確であれば、最適な選択肢は自然と絞られます。
- テスト販売・リスク回避重視なら → BASE(無料)
- 実店舗連携・バランス重視なら → STORES(有料)
- 利益最大化・将来性重視なら → Shopify
ECサイト運営者として15年以上の経験を踏まえると、特にモールからの脱却や利益率改善を目指す方には、月額3,000円台から始められ、拡張性も手数料メリットも享受できるShopifyに取り組む価値が、2026年現在は最も高いと考えています。
本記事が、あなたの事業の利益を守り、成長させるための適切な判断材料となれば幸いです。
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