「楽天市場のお客様に、自社サイト(本店)の存在を知ってほしい」
「でも、下手に誘導してアカウント停止(退店)になるのは怖い…」
EC事業者にとって、この悩みは尽きません。ネット上には「同梱物ならバレないからOK」という無責任な情報も溢れていますが、それを鵜呑みにするのは非常に危険です。
一方で、「自社サイトのURLを載せること自体が一切禁止」というのも、実は誤解であることをご存知でしょうか?
この記事では、最新の規約と運用実態に基づき、「楽天市場・Yahoo!ショッピングのルールを遵守しながら、安全に自社サイトを認知してもらう正しい手順」を解説します。
1. 楽天とYahoo!で全く違う「ルールの境界線」
まずは、2大モールの規約の違いを正確に理解しましょう。ここを混同すると痛い目を見ます。
楽天市場のルール(厳格)
かつては自社サイトURLの記載は一切禁止でしたが、2016年のガイドライン改定により一部緩和されています。しかし、その条件は非常にシビアです。
- ⭕ OKな例(条件付き):
- 自社サイト(本店)のURLを記載する。
- 【必須条件】 ただし、楽天市場の店舗URLも必ず併記すること。あくまで「会社情報の開示」として事実を淡々と載せる必要があります。
- ❌ NGな例(即アウト):
- 「本店ならもっと安いです」「次回からはこちらで」といった直接取引(バイパス)を誘引する文言。
- 楽天市場のURLを併記せず、自社サイト等のURLのみを記載する。
- QRコードでの誘導(URLはテキストならOKでも、QRコードは「積極的な誘導ツール」とみなされ、違反認定されるリスクが高いです)。
- 独自のLINE公式アカウントへの誘導(後述)。
Yahoo!ショッピングのルール(比較的寛容)
Yahoo!ショッピングは、外部リンクに対して比較的寛容です。
- ⭕ OKな例:
- 自社サイトへのリンク設置やURL記載(申請不要)。
- ⚠️ 注意点:
- リンク自体はOKでも、モール側が外部誘導を「推奨」しているわけではありません。露骨に「Yahoo!の手数料分を安くします」といった表現で売上を横取りする行為は、トラブルの原因になるため避けましょう。
2. 最も注意すべき「LINE誘導」の落とし穴
多くの店舗が陥りがちな最大の罠が「LINE公式アカウント」への誘導です。
「LINEならURLじゃないから大丈夫」「R-SNS(楽天公認ツール)を使えば自由なんでしょ?」と思っていませんか? 実はここに致命的な落とし穴があります。
① 独自のLINEアカウントへの誘導はNG
まず、楽天市場の店舗から、R-SNSを通さない「お店独自のLINEアカウント」へQRコード等で誘導する行為は「外部取引の誘引」とみなされ、違反点数の対象となります。
② 【重要】R-SNS契約をしていても「自社サイト誘導」はNG!
では、楽天の有料オプション「R-SNS」を契約すれば、自社サイトのURLを送っても良いのでしょうか?
答えは「No」です。
R-SNSはあくまで「楽天市場内での販促・CRM」を行うためのツールです。そのため、R-SNSのアカウント(LINEやInstagram)であっても、以下の行為は禁止されています。
- ❌ 自社サイト(本店)のURLを配信する: 「本店でセール中です」とリンクを送る行為。
- ❌ 楽天市場以外の場所での決済を促す: 外部サイトへのリンクを含むリッチメニューの設置など。
結論:
LINE(R-SNS)は、あくまで「楽天市場店のリピーター」を育てるために使うものです。「自社サイトへお客様を連れてくるための抜け道」としては使えません。
したがって、同梱物やLINEを使って、直接的にURLで自社サイトへ流そうとする行為自体が、楽天のプラットフォーム上では不可能(または極めて高リスク)だと認識してください。
3. 【実践】楽天で安全に「本店」を認知させるテクニック
では、楽天の厳しいルールの中で、どうやって自社サイトへ繋げればよいのでしょうか?
答えは「徹底した会社情報の開示」と「ブランド想起」です。
「こっちに来て!」と叫ぶのではなく、お客様が自然と「このお店のことをもっと知りたい」と思う状態を作ります。
テクニック①:「URL併記」はあくまで会社情報として
隠れてコソコソやるのではなく、堂々と会社情報を載せます。ただし、宣伝色を出さないことが鉄則です。
【同梱チラシの会社概要欄の例】
運営会社:株式会社〇〇
- 公式サイト: https://www.○○○○.com
- 楽天市場店: https://www.rakuten.co.jp/○○○○
- お電話:03-xxxx-xxxx
ここがポイント:
- 楽天URLとの併記は絶対です。
- QRコードは避けるのが無難です(誘導意図が強いと判断されるリスクがあるため、テキストURLのみにします)。
- 「本店はこちら!」などの煽り文句は入れず、あくまで「連絡先情報」として掲載します。
テクニック②:「ブランドブック」で指名検索の土台を作る
URLへの直接誘導が難しいなら、「店名」で検索してもらえばいいのです。
ただし、「〇〇で検索してね!」と書くのも誘導と取られるリスクがあります。
重要なのは、「検索してください」と書かずに、検索したくなるほど魅力的なコンテンツを提供することです。
- 開発秘話・創業ストーリー: 「こんな想いで作りました」という冊子を入れる。
- スタッフの顔が見えるお礼状: 「私が梱包しました」というアナログな繋がり。
これらに感動したお客様は、自発的にGoogleやSNSで「(あなたの店名)」を指名検索します。この「自発的な検索」こそが、誰にも文句を言われない最強の流入経路です。
テクニック③:「役立つ情報」としてのサポート案内
「売り込み」はNGですが、「サポート」は店舗の義務であり推奨されています。
- 電子説明書(PDF)への案内: 「紙の削減にご協力ください。詳細なフルカラー説明書はこちら」と案内する。
- 製品保証の案内: 「不具合があった際は、こちらのサポート窓口(公式サイトのお問い合わせフォーム等)へ」と案内する。
ただし、飛び先のページでいきなり「本店限定10%OFF!」のようなバナーを出すのは避けましょう。あくまで「顧客の利便性」を第一義にすることが、アカウントを守る盾になります。
4. まとめ:小手先のテクニックより「王道」が強い
- 「安売り誘導」は絶対にやめる: 「本店なら安い」というアピールは、プラットフォームへの背信行為であり、最もリスクが高いです。
- QRコードや「検索してね」も避ける: 積極的な誘導はすべてリスクになります。テキストでのURL併記(事実の記載)に留めましょう。
- LINEの抜け道はない: 独自LINEはNG、R-SNSでも外部誘導はNGです。
- 「指名検索」される店になる: 最終的には、これに尽きます。同梱物で感動を与え、「またこの店で買いたい」と思わせれば、お客様は自らあなたのお店を探してくれます。
リスクを犯して「裏技」を探すよりも、ルールの中で堂々と「信頼」を積み上げること。それが、結果として長く太い「自社サイトへの動線」となります。
▼ この記事は「ハイブリッド戦略」シリーズの一部です
今回はモールを活用しながら自社サイトの認知を広げる方法について深掘り解説しましたが、これは利益最大化戦略の一部に過ぎません。 「点」の施策だけでなく、ビジネス全体の「構造」を変えて利益を最大化する方法を、以下の総集編記事で体系的にまとめています。
👉 【2025年版】楽天と自社サイトはどっちがいい?併用で利益を最大化する「ハイブリッド戦略」の全貌
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