「脱モール」は間違い?EC事業者が本当に目指すべきゴールとは

はじめに

「楽天やAmazonの手数料は高いし、競争も激しい。儲からないからいっそモールを辞めて、自社ECサイト一本でやっていきたい!」

EC事業のコンサルティングをしていると、こうした「脱モール」という言葉を、まるで最終ゴールみたいに語る店長さまや経営者さまに、本当によくお会いするんです。

確かに、高い手数料とか厳しい規約、自由が利かない販促活動とか、ECモール運営の悩みって深刻ですよね。その苦しさから「楽天出店をやめたい」「儲けがないモールから離れたい」って考えるのは、すごく自然な感情だと思います。

でも、私たちはあえて問いたいんです。

「本当に、安易に『脱モール』を目指しちゃって、大丈夫なんでしょうか?」

この記事では、多くの事業者さまが陥りがちな「脱モール」っていう考え方の危険性と、EC事業者が本当に目指すべき「真のゴール」について、私たちSBマーケティングデザインの考えをお伝えします。

「安易な脱モール」が危険な理由

まず結論から行ってしますと、私たちは「準備なき、安易な脱モール」には明確に反対です。その最大の理由は、ECモールが持つ「圧倒的な集客力」という最大のメリットを、自ら手放すことになるから。

ちょっと考えてみてください。

楽天市場やAmazonには、目的を持って「何か買おう」としている、購買意欲がかなり高いお客さまが、毎日何百万人も訪れています。

ECモールに出店するっていうのは、いわば「銀座の一等地とか、巨大な駅前商業施設に、自分のお店を構える」ようなものなんです。高いテナント料(=手数料)を払う代わりに、何もしなくても店の前を多くの人が通り過ぎてくれる、絶好の環境が手に入る。

「脱モール」っていうのは、その一等地から、何の準備もなしに、人通りのない裏路地にいきなり店舗を移転させるようなものなんですよね。

その瞬間から、見込み客をゼロから自力で集めなきゃいけなくなります。SEO、Web広告、SNS運用…。それらに多大なコストと時間を投下して、モール時代と同じくらいのトラフィックをすぐに生み出せるでしょうか?多くの事業者さまにとって、そのハードルは想像以上に高いのが現実です。

本当に目指すべきは「脱モール」じゃなく『モールからの自立』

じゃあ、手数料地獄から抜け出す道はないのか?

いえ、そんなことはありません。

私たちが考える「真のゴール」。それは「脱モール」という短絡的な行動ではなく、

『モールからの自立』という状態を達成することなんです。

この二つ、似てるようで全然意味が違います。

  • 脱モール:モールを辞めることが目的になってしまっている状態
  • モールからの自立:モールに依存しなくても事業が成り立つ状態を築いて、主導権を自社に取り戻すこと

「自立」というのは、仮に明日ECモールがなくなったとしても、あなたの事業が揺らがない強固な基盤(=利益率の高い自社ECサイトと、独自の顧客リスト)を持っている状態です。

この状態を達成して初めて、ECモールは「依存せざるを得ない存在」から、「自社の戦略に合わせて、有効活用できる数あるチャネルの一つ」に変わるんです。続けるのも、辞めるのも、あなたの自由。その選択権を持つことこそが、真のゴールだと思います。

『モールからの自立』を達成するためのハイブリッド戦略

では、どうすれば「自立」できるのか。

その最も現実的で効果的な方法が、私たちが提唱する「ハイブリッド戦略」です。この戦略では各チャネルの役割を明確に分けて使います。

ECモール → 新規顧客との「出会いの場」

圧倒的な集客力を活かして、まだあなたのブランドを知らないお客さまにリーチするための「広告塔」として活用します。ここでは、利益は二の次で構いません。

自社ECサイト → 利益を生み、ファンを育てる「本拠地」

一度モールで出会ったお客さまを、お得なクーポンなどをフックに自社ECサイトへ誘導。手数料の低いこの場所でリピート購入してもらって、着実に利益を積み上げて、お客さまとの永続的な関係を築いていきます。

私のお客さまでも、アパレルを扱っている店舗様がこの戦略を始めました。半年後には自社ECでのリピート売上が全体の18%まで伸びたんです。「モールは新規獲得の場所って割り切ったら、気持ちがすごく楽になった」と言われました。

ECモールで種を蒔いて、自社サイトで収穫する。

このサイクルを確立することで、ECモールの集客力を活用し続けながら、利益率の高い安定した事業構造を手に入れることができるのです。

結論:目指すべきは「賢い共存」と「選択できる自由」

「脱モール」っていう言葉の響きは、確かに魅力的かもしれません。でも、それは多くの場合、新たな苦しみへの入り口なんです。

本当に目指すべきは、ECモールという巨人の肩に乗りながら、その力を賢く利用して、同時に自分自身の足でも立てる強さを身につけること。つまり、本当の意味での『モールからの自立』です。


私たちSBマーケティングデザインは、目先の「脱モール」を煽るようなコンサルティングはしません。

私たちが目指すのは、事業者さまそれぞれの状況や目標を深く理解して、ECモールと自社ECサイトの最適な組み合わせを設計すること。そうやって、本当の意味での『モールからの自立』、つまり「利益体質で、持続可能な事業構造」を一緒に作り上げることなんです。

もしあなたが、ただモールを辞めるという選択肢だけではなく、もっと賢く、戦略的に事業を成長させたいとお考えなら、ぜひ一度、私たちの無料相談にお越しください。あなたの会社の「真のゴール」を、一緒に見つけるお手伝いをします。

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Illustration by Storyset

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