はじめに
「楽天の月商は100万円を達成!でも、なぜか手元に残る利益はほんのわずか…」
「楽天の手数料が高いのはわかるけど、どうすれば利益率を改善できるんだろう?」
これは、お洒落な輸入雑貨を取り扱うネットショップ「Sato Zakka Store」の店長、サトウさん(仮名)が抱えていた
悩みです。多くのECモール出店者が直面する、売上は伸びても利益が残らないというジレンマです。
この記事では、私たちSBマーケティングデザインが提案した「脱・楽天」ではない「楽天と自社ECのハイブリッド戦略」によって、サトウさんのお店が売上を維持したまま、月間利益を約8.2万円もアップさせることに成功した軌跡を、具体的なシミュレーションを交えてご紹介します。
【注意】
本記事は、特定の店舗様の事例ではなく、私たちのこれまでのご支援経験と一般的な数値を元にした仮想事例(シミュレーション)です。しかし、そのロジックは現実の利益改善に直結するものです。
楽天出店者の共通課題:月商100万円でも利益が残らない構造
当時の「Sato Zakka Store」の状況は、多くの楽天出店者様が共感できるものでした。
* 月商: 約100万円
* 悩み:
* 手数料が高い(システム利用料、ポイント、アフィリエイト等で、売上の約20%にも…)
* リピーターが育たず、常に広告やセールで新規顧客を追う必要がある
* ブランドの世界観が伝わらず、価格だけで比較されてしまう
まずは、この時点での利益構造を見てみましょう。
【前提条件】
* 商品の原価率: 40%
* 楽天の各種手数料率(合計): 20%
※システム利用料、ポイント原資、アフィリエイト手数料に加え、多くの店舗が利用するRPP広告などの販促費を含んだ、売上に対する実質的な負担率として仮定。
【Before】施策前の利益構造
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上 | 1,000,000円 |
| 商品原価(40%) | -400,000円 |
| 楽天への手数料(20%) | -200,000円 |
| 粗利益 | 400,000円 |
月商100万円に対して、手元に残る粗利益は40万円。ここからさらに人件費や事務所家賃などを支払うと、利益はほとんど残りません。この状況では、EC事業の継続的な成長は困難です。
EC利益率改善の鍵:楽天とShopifyを併用するハイブリッド戦略
私たちはサトウさんに、「楽天をやめる」のではなく、「楽天を『新規集客の場』と割り切り、利益を確保するための『自社ECサイト』を併用しましょう」と提案しました。これが、EC利益率を改善するための「ハイブリッド戦略」です。
戦略のゴール:
目標として、月商100万円のうち、40万円(40%)を自社ECサイトでの売上に移行する。
楽天の集客力を活かし続ける。
一度楽天で購入してくれたお客様を、手数料の安い自社ECサイト(Shopify)へ誘導し、リピートしてもらう。
Shopifyを活用した自社ECへの具体的な誘導ステップ
戦略に基づき、以下の施策を実行しました。Shopifyを導入することで、モールでは実現できなかった柔軟な顧客誘導が可能になります。
- Shopifyで自社ECサイトを構築:
将来的な拡張性と利益率を考慮し、Shopifyでブランドの世界観が伝わるサイトを構築しました。Shopifyは、初期費用を抑えつつ、本格的なECサイトを運営できるプラットフォームです。
【関連コラム】 Shopify / BASE / STORES 徹底比較!モール出店者が選ぶべき自社ECカートはどれ?
- 同梱物の工夫で自社ECへ誘導:
楽天から発送する商品に、「公式サイト限定クーポン」を付けたサンクスカードを同封。お客様が「次からは公式サイトで買った方がお得だ」と明確に分かる仕掛けを作りました。これは、楽天の規約に違反しない範囲で、お客様を自社ECへ誘導する効果的な方法です。 - LINE公式アカウントを活用した顧客育成:
クーポン利用のためにLINE登録を促し、お客様と直接コミュニケーションが取れる環境を構築。セール情報や新商品情報を届け、リピート購入を促します。LINEは、お客様との関係性を深め、自社ECへの再訪を促す強力なツールです。 この誘導ステップにより、楽天で獲得したお客様を、着実に自社の資産(顧客リスト)へと変えていきました。
【After】利益計算シミュレーション!なぜ利益は8.2万円も増えたのか?
数ヶ月後、目標通り、売上の構成が「楽天60万円、自社EC40万円」に変化しました。全体の売上は100万円のままですが、利益構造は劇的に変わります。
【自社EC(Shopify)の前提条件】
* 決済手数料: 3.55%
* 月額費用: 3,650円(ベーシックプラン)
【After】ハイブリッド戦略後の利益構造
| 楽天での売上 | 自社ECでの売上 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 売上 | 600,000円 | 400,000円 | 1,000,000円 |
| 商品原価(40%) | -240,000円 | -160,000円 | -400,000円 |
| プラットフォーム手数料等 | -120,000円 (20%) | -17,850円 (※) | -137,850円 |
| 粗利益 | 240,000円 | 222,150円 | 462,150円 |
(※ Shopify手数料:決済手数料14,200円 + 月額3,650円)
【利益の変化】
* 施策前の粗利益:400,000円
* 施策後の粗利益:462,150円
* 利益の増加額:+62,150円
お気づきでしょうか。手数料率の高い楽天での売上比率を下げ、手数料率の低い自社ECでの売上を増やしただけで、全体の売上は変わらないのに、月々の利益が6万円以上もアップしたのです。
さらに、サトウさんのケースでは、楽天でかけていたCPA広告の一部を停止できたため、広告費も月々2万円ほど削減できました。
結果:利益改善額 62,150円 + 広告費削減 20,000円 = 合計 約8.2万円/月の利益アップ!
まとめ:EC利益率改善は「売上」ではなく「利益の質」を追うことから
この仮想事例が示すのは、「売上規模」だけを追う経営の危うさと、「利益の質」を高める重要性です。同じ100万円の売上でも、どこで売るかによって、手元に残るお金は全く変わってきます。
あなたのストアは、本当に「儲かる」構造になっていますか?
私たちSBマーケティングデザインは、机上の空論ではない、あなたのストアの現状に即したEC利益率改善シミュレーションを作成し、その実現までをサポートします。
「うちの店の場合、どれくらい利益が改善できるか知りたい」
「何から手をつければ良いか、具体的なアドバイスが欲しい」
そう感じたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。最初の第一歩を、共に踏み出しましょう。
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