はじめに
あなたのECサイトにある「私たちについて」ページ。今、どんな内容が書かれていますか?
「2023年設立。〇〇を販売しています。」
「代表者:〇〇、所在地:〇〇…」
もし、会社の概要や沿革が事務的に書かれているだけだとしたら、それは非常にもったいないことです。なぜなら、そのページはお客様があなたの「一番のファン」になる、最高のチャンスが眠っている場所だからです。
モノが溢れる時代、お客様は「何を」買うかだけでなく、「誰から」買うかを非常に重視しています。ECサイトにおいて、この「誰から買うか」という信頼と共感を築く上で、『私たちについて』ページは極めて重要な役割を担います。
この記事では、私たちSBマーケティングデザインが実践する、単なる情報伝達ではない、読者の心を動かし「あなたから買いたい」と思わせるための共感を呼ぶブランドストーリーの作り方を、具体的な5つの要素に分解して解説します。
ECサイトで「ブランドストーリー」が重要視される理由
人は、スペックや機能の羅列には心を動かされませんが、ストーリーには強く共感し、記憶します。
例えば「高保湿成分配合のハンドクリームです」と言われるより、「長年、ひどい手荒れに悩んできた開発者が、自分のために試行錯誤の末に作り上げた、同じ悩みを持つ人に届けたいハンドクリームです」
と言われた方が、興味を惹かれませんか?
ECサイトにおけるブランドストーリーは、あなたの商品に「意味」と「価値」を与え、価格競争から一歩抜け出すための強力な武器になります。お客様との間に感情的な繋がりを築き、単なる顧客ではなく「ファン」へと育成する上で、ブランドストーリーは欠かせない要素なのです。
ECサイトのファンを生むブランドストーリーを構成する「5つの必須要素」
難しく考える必要はありません。以下の5つの質問に、あなた自身の言葉で答えていくだけで、自然と魅力的なブランドストーリーの骨格が出来上がります。
要素1:『なぜ』このお店を始めたのか?【原点・きっかけ】
これがブランドストーリーの「心臓」です。お客様が最も共感する部分です。
* 問いかけ:
* あなたがこの商品を扱おうと思った、原体験は何ですか?
* どんな課題を解決したかったのですか?
* どんな情熱や「好き」が、あなたを突き動かしたのですか?
* 例:
* 「長年の肌荒れに悩んだ経験から、同じ悩みを持つ人が安心して使えるコスメを作りたかった」
* 「海外旅行で出会った、まだ日本にない素晴らしい雑貨の魅力を、一人でも多くの人に伝えたかった」
※ポイント: 創業の背景にある個人的なエピソードや、社会的な課題意識など、具体的な体験を交えて語ることで、読者はあなたの人柄やビジネスへの真剣さを感じ取ります。
要素2:『何を』大切にしているのか?【こだわり・価値観】
あなたが、ビジネスをする上で譲れない「こだわり」や「信念」を言語化します。
* 問いかけ:
* 商品の素材選びや製法で、こだわっている点は何ですか?
* お客様への対応で、心がけていることは何ですか?
* 「これだけは絶対に曲げられない」という想いは何ですか?
* 例:
* 「『使い捨てではなく、永く使えるものを』という想いから、素材の品質とシンプルなデザインにこだわっています」
* 「作り手の顔が見える、フェアトレードで仕入れた商品だけを扱っています」
※ポイント:抽象的な言葉だけでなく、具体的なプロセスや基準、関わる人々の顔が見えるような表現を心がけましょう。
要素3:『誰が』作っているのか?【作り手の顔】
お客様は、機械や会社ではなく「人」から物を買いたいと思っています。あなたの顔や人柄を見せましょう。
* 問いかけ:
* あなたの簡単なプロフィールや経歴は何ですか?
* どんな想いで、日々商品と向き合っていますか?
* あなたの笑顔の写真や、作業風景の写真を載せられますか?
※ポイント: 運営者の写真はもちろん、可能であれば商品開発や梱包作業の様子など、「人」が関わっていることがわかる写真や短い動画を掲載すると、より信頼性が高まります。
要素4:『誰に』届けたいのか?【理想のお客様】
「すべての人へ」というメッセージは、誰にも響きません。たった一人のお客様(ペルソナ)に向けて、語りかけるように書きましょう。
* 問いかけ:
* どんなライフスタイルの人に、あなたの商品を使ってほしいですか?
* あなたの商品は、お客様の生活を「どのように」変えることができますか?
* お客様への「呼びかけ」で文章を始めてみませんか?
* 例:
* 「毎日、仕事や家事で忙しい。でも、自分のための時間も大切にしたい。そんなあなたへ…」
* 「『ありきたりな物では満足できない』、そんなあなたにこそ届けたい一品です」
※ポイント: 理想のお客様が抱える悩みや願望に寄り添い、あなたのECサイトがその解決策や喜びを提供できることを示しましょう。
要素5:『この先』どこへ向かうのか?【未来・ビジョン】
お客様を、あなたのお店の「未来の旅の仲間」として迎え入れます。
* 問いかけ:
* このお店を通じて、どんな世界を実現したいですか?
* 今後、挑戦していきたい新商品や新サービスは何ですか?
* お客様と一緒に、どんな未来を作っていきたいですか?
* 例:
* 「将来的には、お客様と直接交流できる実店舗を持つのが夢です」
* 「この商品を通じて、〇〇という文化を日本に根付かせていきたいです」
※ポイント: 短期的な目標だけでなく、長期的な夢や社会貢献への意識などを語ることで、ブランドの深みと魅力を増すことができます。
『私たちについて』ページの効果を最大化する運用と設置のポイント
せっかく魅力的なブランドストーリーを作成しても、お客様に見てもらえなければ意味がありません。効果を最大化するためのポイントを押さえましょう。
- 設置場所と導線: 『私たちについて』ページへのリンクは、ECサイトのフッター(最下部)に設置するのが一般的ですが、グローバ ルナビゲーション(ヘッダーメニュー)や、商品ページ、ブログ記事の途中など、お客様が興味を持った時にすぐにアクセスできるような導線を複数用意しましょう。
- 写真や動画の積極的な活用:
テキストだけでなく、運営者の顔写真、商品の制作風景、ブランドの世界観を伝える短い動画などを積極的に活用しましょう。視覚的な情報は、テキストよりも早く、深く感情に訴えかけます。 - 定期的な見直しと更新:
ブランドストーリーは、一度作ったら終わりではありません。ビジネスの成長や変化に合わせて、内容を定期的に見直し、更新しましょう。新しいエピソードや、お客様からの声などを加えることで、常に新鮮で魅力的なページを保つことができます。
【実践】ECサイトのブランドストーリー作成テンプレートとBefore/After
簡単テンプレート
こんにちは、[店名]の[あなたの名前]です。
[要素1:なぜこのお店を?]
私たちがこのお店を始めたのは、〇〇という想いがあったからです。
(具体的なエピソードや原体験を語る)
[要素2:何を大切に?]
だからこそ、私たちは〇〇という点に徹底的にこだわっています。
(素材や製法、お客様への想いなどを語る)
[要素3:誰に届けたい?]
〇〇なあなたに、この商品を通じて△△な体験をお届けしたい。
(お客様への呼びかけ)
[要素4:誰が作っている?]
(あなたの写真と共に)
改めまして、店長の〇〇です。普段はこんな風に…
(簡単な自己紹介や人柄が伝わるエピソード)
[要素5:この先どこへ?]
私たちの夢は、〇〇を実現することです。
ぜひ、あなたも私たちの旅の仲間になっていただけたら嬉しいです。
Before/After
* Before:
「当店は2023年に設立され、高品質なハンドメイドアクセサリーを販売しています。厳選された素材のみを使用し、熟練の職人が一つひとつ手作りしています。」
* After(ストーリー適用後):
「『今日の私、ちょっといいかも』
鏡の前で、そう思える瞬間を届けたい。
こんにちは、店長のユリです。
私自身、昔は自分に自信がなく、ありきたりなアクセサリーを何となく身につける毎日でした。
そんなある日、旅先で出会った一人の職人さんが作った、名もなきピアス。それをつけた瞬間、不思議と心が華やぎ、背筋がスッと伸びるような感覚を覚えたのです。
『アクセサリー一つで、こんなにも人の心は動くんだ』
この感動を、同じように毎日を頑張る日本の女性たちに届けたい。その一心で、会社を辞め、世界中の職人さんを訪ね歩き、このお店を立ち上げました。
私たちが扱うのは、ただのアクセサリーではありません。あなたの日常に、小さな勇気と輝きを添える、お守りのような存在です。この小さな輝きが、あなたの素晴らしい一日の一部になれたら、これほど嬉しいことはありません。」
いかがでしたか?
ECサイトの「私たちについて」ページは、無限の可能性を秘めた場所です。そして、最高のブランドストーリーの種は、あなたがこれまで歩んできた道や、商品に対する「当たり前」の想いの中にこそ眠っています。
私たちSBマーケティングデザインは、その隠れたストーリーを発掘し、お客様の心に響く言葉へと磨き上げるお手伝いをしています。
「自分のブランドストーリーがどこにあるか分からない」
「想いはあるけど、うまく文章にできない」
そんな時は、ぜひ一度私たちにご相談ください。一緒に、あなただけの魅力的な物語を作り上げましょう。