「先月までランキング1位だったのに、急に反応が落ちた」
「広告費を増やしても、以前のように売れなくなった」
ECサイトを運営していると、必ずこの現象に直面します。商品自体は何も変わっていないし、品質も悪くない。なのに、なぜか売れない。
多くの店長はここで「価格が高いのか?」と疑い、安売り競争に走ってしまいます。
しかし、私が15年以上の現場経験で確信しているのは、「価格の問題ではなく、お客様が『その説明』に飽きているだけ」というケースが圧倒的に多いということです。これを専門用語で「訴求の劣化」と呼びます。
どんなに美味しい料理でも、毎日食べれば飽きます。それと同じで、どんなに優れた商品ページも、見慣れれば「風景」になり、スルーされるようになります。
本記事では、この「飽き」を打破し、死にかけている商品を蘇らせるための「3段階の伝え方(マーケット・ステージ理論)」の実践術を、現場レベルの言葉で解説します。
1. じわじわ売上を蝕む「訴求の劣化」とは?
「訴求の劣化」とは、商品の魅力が落ちたのではなく、「お客様の知識レベルが上がったこと」で起こる現象です。
例えば、数年前に「珪藻土(けいそうど)バスマット」が出た時を思い出してください。
- 初期: 「濡れた足がすぐに乾く!魔法の石!」と言えばバカ売れしました。
- 現在: 今さら「すぐ乾きます」と言っても、「知ってるよ、で?」と返されて終わりです。
お客様はもうその機能を知っているのです。なのに、いつまでも「吸水性抜群!」と叫び続けている店舗がいかに多いか。
これが「訴求の劣化」の正体です。
2. 商品の寿命を延ばす「3つの伝え方」チェンジ
お客様の「飽き」には段階があります。今、あなたの売れない商品がどの段階にいるかを見極め、伝え方をガラリと変える必要があります。
ステージ1:新商品発売直後(黎明期)
「この商品は何?」
お客様がまだその商品を知らない段階です。ここでは「新機能」「新しい成分」をストレートに伝えます。
- 訴求の正解: 「日本初!〇〇成分配合の育毛剤」
- ECでの打ち手:
- サムネイル画像に「新発売」「楽天初登場」と大きく入れる。
- 商品説明で「メカニズム」を丁寧に図解する。
ステージ2:競合が増えてきた時期(成長期・競争期)
「他と何が違うの?」
類似品が増え、お客様が比較を始めます。ここで「成分配合!」と言っても「他社も入ってるよ」となります。ここでは「違い(優位性)」を伝えます。
- 訴求の正解: 「他社より20%成分量が多い」「育毛剤特有のニオイがしない」
- ECでの打ち手:
- サムネイル画像で「成分濃度No.1」と比較優位を強調する。
- レビューで「他社から乗り換えました」という声をピックアップして掲載する。
ステージ3:市場が飽和した時期(成熟期)
「もっと面白いものはない?」
ここが最も重要です。今の楽天市場・ヤフーショッピングの多くの商品はここにいます。
お客様はもうスペックも違いも知り尽くしており、「どれも一緒でしょ」と思っています。ここでスペックを語っても売れません。
必要なのは「新しい使い方の提案」や「利用シーンの転換」です。
- 訴求の正解: 「髪だけでなく、眉毛ケアにも使える」
- ECでの打ち手:
- 商品名を変える:「育毛剤」→「大人の身だしなみ美容液」
- 【体験談】私が実際にやった施策:
ある「ペット用消臭スプレー」が全く売れなくなった時、成分は変えずに訴求を「介護現場で使われるプロ仕様の消臭剤」に変えました。
中身は同じです。しかし、「ペットのニオイ」に飽きていた市場ではなく、「介護のニオイ」に悩む新しい市場に提案したことで、売上がV字回復しました。
3. 訴求の鮮度を保つための「継続的な棚卸し」
売上を維持するためには、季節ごと、あるいは半年ごとに「訴求のメンテナンス」が必要です。
1. 「お客様の声」から新しい用途を拾う
レビューはネタの宝庫です。「本来の使い方と違うけど、こんな風に使っています」という書き込みを見逃さないでください。
「キャンプ用に買ったけど、実は防災用として優秀だった」という声があれば、すぐに「防災グッズ」としてのLP(ランディングページ)を作るべきです。
2. サムネイル画像の「衣替え」
実店舗のディスプレイを変えるように、ネットショップのサムネイルも変えるべきです。
- 夏:「汗に強い」と訴求
- 冬:「乾燥から守る」と訴求
同じ商品でも、季節によってお客様が求める「解決策」は変わります。
まとめ:商品は変えずに、言葉を変えよう
売上が落ちた時、多くの人は「新商品を仕入れなきゃ」と焦ります。
しかし、新商品はリスクが高い。
最も安全で、利益率が高い方法は、「今ある在庫の『見せ方』を変えて、別の商品として売ること」です。
15年間、私が現場で生き残れたのは、この「言い換え力」を磨いてきたからです。
あなたの倉庫に眠っているその在庫、もしかしたら「説明の仕方」が古いだけかもしれません。
一度、真っ白な気持ちで商品を見つめ直し、「今のお客様なら、どう言われたら嬉しいか?」を考えてみてください。
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