はじめに:教科書通りの「公式」では、なぜ売れないのか?
私は15年以上、ECサイト運営の現場に立ち、数多くのショップ様のコンサルティングを行ってきました。その中で、楽天市場やヤフーショッピングで「売上が伸び悩んでいる」と相談に来られる店長さんには、ある共通点があります。
それは、「売上の公式(アクセス数×転換率×客単価)」を知識として知っているのに、使いこなせていないということです。
「アクセスを増やせばいいんですよね? 広告費を増やしました!」
「客単価を上げるために、無理やりセット品を作りました!」
こうして闇雲に動き、結果として利益を削り、疲弊していくショップをあまりにも多く見てきました。
この公式は、ただの掛け算ではありません。「いじるべき順番」を間違えると、劇薬にも毒にもなるのです。
今回は、教科書的な解説は最小限に留め、私の15年の経験に基づいた「現場で本当に使える売上アップの思考法」を、失敗事例を交えながらお話しします。
1. そもそも「売上の公式」とは?(おさらい)
基本として、ECサイトの売上は以下の3つの要素で構成されています。
売上 = 【A】アクセス人数 × 【B】転換率(CVR) × 【C】客単価
例えば、月商50万円の店舗の状況が以下だとします。
- アクセス人数:10,000人
- 転換率:5%(100人来たら5人が買う)
- 客単価:1,000円
ここまでは誰でも理解できます。しかし、問題は「売上を伸ばすために、どこから手を付けるか?」です。
2. 【経験談】9割の失敗店長が陥る「アクセスの罠」
私がコンサルティングに入る際、赤字に苦しむショップの多くが最初にやろうとするのが「アクセスアップ(集客)」です。
- 「SEO対策でキーワードを詰め込む」
- 「RPP広告やアイテムマッチの予算を倍にする」
- 「SNSで毎日投稿する」
はっきり申し上げます。売れないショップが最初にアクセスを集めるのは、自殺行為です。
「穴の空いたバケツ」に水を注ぐな
想像してみてください。底に穴が空いたバケツ(=魅力のない商品ページ)に、高い水道代を払って水(=広告によるアクセス)を注ぎ込む様子を。
水はすべて漏れ出し、手元には「広告費の請求書」だけが残ります。
過去に私が担当したある店舗様は、月間30万円の広告費を使っていましたが、転換率はわずか1%未満でした。私はまず広告を全停止させました。一時的に売上は落ちましたが、その浮いた予算と時間で商品ページを徹底的に磨き上げ、転換率を3%まで改善。その後に広告を再開したところ、同じ広告費で売上は3倍になりました。
教訓:
転換率(CVR)が低い状態でアクセスを集めてはいけません。それは「ザルで水を汲む」ようなものです。
3. プロが実践する「正しい改善の順序」
15年の経験から断言できる「最短で売上を上げる手順」は、教科書とは逆のルートを辿ることが多いです。
【間違い】 アクセス → 転換率 → 客単価
【正解】 転換率 → 客単価 → アクセス
なぜこの順番なのか? 現場のリアリティを持ってお伝えします。
手順①:まずは「転換率(CVR)」を死守せよ
お客様が商品ページに来てくれたのに、買わずに帰ってしまう。この「取りこぼし」を塞ぐのが最優先です。
私がページ改善を行う際、真っ先に見るのは「商品画像の1枚目」と「スマホでの見やすさ」です。
PC画面でデザインを確認していませんか? 今のEC市場、特に楽天市場やヤフーショッピングでは、ユーザーの7〜8割がスマホです。
- スマホのファーストビューで「何の店か」分かるか?
- 送料の不安がすぐに解消されるか?
- 「今買う理由(5のつく日、マラソン限定など)」が提示されているか?
これらを整備し、転換率が業界平均(商材によりますが3〜5%程度)を超えて初めて、次のステップへ進めます。
手順②:「客単価」で利益体質を作る
転換率が安定したら、次は客単価です。
多くのEC担当者が「安くしないと売れない」という強迫観念を持っていますが、これは危険です。薄利多売は、大手企業の戦略であって、中小ショップの戦略ではありません。
私がよく提案するのは「松竹梅の法則」と「送料無料ラインの活用」です。
- 単品(梅):1,000円(送料別)
- 2個セット(竹):2,000円(送料無料・一番売りたい)
- 3個セット(松):2,800円(お得感最強)
このように選択肢を用意すると、不思議と真ん中の「竹」が売れるようになります。
客単価を上げることは、売上アップだけでなく「送料や梱包の手間」に対する利益率を高めること=ショップの生存率を高めることに直結します。
手順③:最後に「アクセス」というアクセルを踏む
- 転換率が改善され(穴が塞がり)
- 客単価が確保され(利益が出る状態になり)
ここで初めて、広告やSEOといった「アクセスアップ」のアクセルを全開にします。
この状態でRPP広告やクーポンアドバンス広告を使えば、投下した費用以上のリターン(ROAS)が確実に返ってきます。
この順序を守れるかどうかが、「一発屋で終わる店」と「10年続く店」の分かれ道です。
4. EC運営は「泥臭いPDCA」の繰り返し
「売上の公式」は、魔法の杖ではありません。あくまで今の健康状態を知る「診断ツール」です。
私が15年間続けてこれた理由は、特別な才能があったからではありません。
毎朝管理画面を開き、
「昨日はアクセスが減った。検索順位が落ちたか?」
「アクセスはあるのに転換率が落ちた。競合がセールを始めたか?」
という、小さな数字の変化に気づき、その日のうちに仮説を立てて修正し続けたからに他なりません。
- 商品画像を変えてみる。
- キャッチコピーの「送料無料」の位置を変えてみる。
- セット商品の組み合わせを変えてみる。
華やかに見えるEC運営の裏側は、こうした泥臭いテストの繰り返しです。
まとめ:あなたのショップは「どこ」で詰まっているか?
もし今、あなたが売上の壁にぶつかっているなら、一度立ち止まって「公式」に数字を当てはめてみてください。
そして、自問自答してください。
「穴の空いたバケツ(低い転換率)に水を注いでいないか?」
「利益の出ない価格設定(低い客単価)で疲弊していないか?」
15年の経験を持つコンサルタントとしてのアドバイスは一つです。
「焦って広告を打つ前に、まずは今来ているお客様を大切にすること」。
これこそが、遠回りのようで一番の近道です。
私のコンサルティングでは、あなたのショップのデータを見て「今、一番最初に手をつけるべきボトルネック」を具体的に診断します。
一人で悩まず、まずは現状の数字を整理するところから始めましょう。
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