はじめに:その商品名、ただの「キーワードの羅列」になっていませんか?
「検索順位は1ページ目にある。インプレッション(表示回数)も十分ある。でも、クリックされない」
私がコンサルティングの現場で最も多く遭遇する相談の一つがこれです。
楽天市場やYahoo!ショッピングの検索結果画面を見てください。並んでいるのは、似たような商品画像と、SEO対策のために詰め込まれた「【送料無料】【ランキング1位】【ポイント10倍】…」というキーワードの羅列ばかり。
これでは、お客様は「どれも同じ」に見えてしまい、結局は「価格」か「レビュー数」でしか選べなくなります。
私は15年以上、現場で商品登録とABテストを繰り返してきました。その経験から断言できるのは、「0.5秒で意味が伝わる言葉(キャッチコピー)」が入っているかどうかで、クリック率(CTR)は劇的に変わるということです。
本記事では、綺麗な広告コピーではなく、ECモールの検索結果で「選ばれる」ための泥臭いコピーライティング術を解説します。
1. モールにおけるキャッチコピーの役割は「足止め」
一般的なブランドサイトと、ECモールではキャッチコピーの役割が異なります。
モールの検索結果をスクロールするお客様の指を「止める(足止めする)」こと。これに尽きます。
お客様は商品をじっくり探しているのではなく、「失敗したくない」と思いながら高速でスクロールしています。
そこで必要なのは、情緒的なポエムではなく、「これは私のための商品だ」と直感させるトリガー(引き金)です。
【重要】画像か?文字か? 現代の戦い方
以前は「商品画像1枚目(サムネイル)に文字を詰め込む」手法が流行りましたが、現在は楽天市場・Yahoo!ショッピング共にガイドラインが厳格化され、1枚目の画像へのテキスト挿入はSEO(検索順位)低下のリスクがあります。
そのため、2026年現在の勝ちパターンは以下の通りです。
- 商品画像1枚目:ガイドラインを遵守した「白背景で商品が際立つ画像」を使い、減点を防ぐ。
- 商品名(の冒頭部分):ここが唯一にして最大の「キャッチコピー掲載枠」です。SEOキーワードよりも左側(最初)に配置し、文字で「足止め」を狙います。
2. 現場で使い倒している「3つの変換テクニック」
「気の利いた言葉が思いつかない」というご相談も多いですが、ゼロから考える必要はありません。
商品の「スペック」を「お客様のメリット」に変換するだけです。私が普段の実務で使っている3つの型をご紹介します。
テクニック1:「ターゲット」を限定して刺す
「誰にでもおすすめ」は「誰にも響かない」と同義です。あえてターゲットを絞ることで、当事者意識を刺激します。
- × 普通の表現:「初心者におすすめのランニングシューズ」
- ○ ターゲット限定:「【三日坊主で終わらせない】膝への負担を減らす、初心者のための継続シューズ」
- 解説:「初心者」という属性だけでなく、「三日坊主」という心理的ハードルに言及することで共感を生みます。
テクニック2:「数字」で信頼と具体性を出す
「大人気」「高品質」といった形容詞は、ネット上では信用されません。具体的な数字は、それだけで説得力(E-E-A-T)を持ちます。
- × 普通の表現:「吸水性抜群のタオル」
- ○ 数字で表現:「お風呂上がりのドライヤー時間が3分短縮。美容師が認めた吸水タオル」
- 解説:「抜群」という曖昧な言葉を、「時間短縮」という具体的なベネフィットに変換しています。
テクニック3:「恐怖・損失」を回避させる
人は「得すること」よりも「損したくない」という感情のほうが強く動きます(プロスペクト理論)。特にECモールでは「失敗したくない」心理が強く働きます。
- × 普通の表現:「丈夫で長持ちするスマホケース」
- ○ 損失回避:「画面割れの修理代(約2万円)を払う前に。米軍規格の衝撃吸収ケース」
- 解説:ケースの価格よりも高い「修理代」という損失を想起させることで、必要性を高めます。
【実録】クリック率(CTR)改善の現場事例
ここでは、実際に私が関わった店舗様での改善事例をご紹介します。
劇的な魔法ではなく、地道なABテストの結果です。
※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。
■対象店舗の状況
- 商材:冷凍食品(ハンバーグ)
- 課題:
- RPP広告(検索連動型広告)を出稿しており表示回数は多いが、クリック率(CTR)が0.8%前後と低迷。
- 画像ガイドラインを守って白背景画像にしていたため、他店との差別化が難しかった。
■改善前の商品名(よくあるパターン)
【送料無料】 ハンバーグ 10個セット 国産牛 100% 冷凍 惣菜 お取り寄せ グルメ ギフト ランキング1位…
→ SEOキーワードの羅列で、情報の優先順位がない状態。
■実施した施策:商品名冒頭の「30文字」を広告枠と捉える
レビューを徹底的に読み込んだ結果、「忙しい時に助かる」という声に加え、「子供には安全なものを食べさせたい」「添加物が気になる」という親御さんの切実な声が多いことに着目しました。
そこで、「ただ便利なだけの冷凍食品」ではなく、「便利なのに、手作りよりも安心」というポジションを狙いました。
■変更後のコピー(商品名)
【無添加・レンチン3分】「手抜きでごめん」は不要。子供に安心して出せる国産牛100%ハンバーグ…
■結果(1ヶ月後)
- クリック率(CTR):0.8% → 1.4% に改善。
- 考察:
- 数値としては0.6ポイントの上昇ですが、広告費を変えずにアクセス数が約1.7倍になったことを意味します。
- 「レンチン(時短)」と「無添加(安全)」という、一見矛盾する要素を並列させることで、「忙しいけれど、子供の健康は守りたい」という親御さんの罪悪感を払拭しました。結果として、画像で差別化しにくい中でも選ばれる商品となりました。
■コンサルタントとしての視点
「1.4%」という数字は地味に見えるかもしれません。しかし、EC運営においてはこの「コンマ数パーセント」の改善の積み重ねこそが、最終的な利益(ROAS)を大きく左右します。これが現実的な成果です。
3. SEOとキャッチコピーの「ジレンマ」への対処法
ここで、実務担当者なら誰もが抱く疑問にお答えします。
「キャッチコピーを優先しすぎると、SEOキーワードが入らなくなるのでは?」
その通りです。ここに「正解」はありませんが、現在のモールのアルゴリズム傾向を踏まえた私の推奨バランスは以下の通りです。
- 商品名の冒頭30文字:
- ここは「キャッチコピー(人間用)」のスペースです。スマホの検索結果一覧で表示されるのは、最初の30文字程度だからです。ここに一番強い言葉を入れます。
- 商品名の中盤〜後半:
- ここは「SEO(検索エンジン用)」のスペースです。送料無料 ギフト 型番 などの重要キーワードを詰め込みます。
- 【重要】商品画像2枚目で畳み掛ける:
- 検索結果でクリックされた直後に表示される商品ページでは、最初に「文字入りの訴求画像(LPのヘッダー画像)」を2枚目に設定しておきます。
- これにより、クリックしたお客様の期待を裏切らず、そのまま購入へ誘導できます。
SEOを意識しすぎて「人間が読みたくない商品名」にしてしまえば、順位が上がってもクリックされず、いずれ順位も下がります。「検索ロボットよりも、画面の向こうの人間を見る」。この意識を持つことが、結果的にSEOにも好影響を与えます。
4. まとめ:キャッチコピーは「育てていく」資産
キャッチコピーに「絶対の正解」はありません。
私自身、自信満々で出したコピーが全く響かず、何気なく書いたコピーが爆発的に当たるといった経験を何度もしています。
重要なのは、一度書いて終わりにせず、以下のサイクルを回すことです。
- 仮説を立てる(ターゲットは誰か? 何に困っているか?)
- コピーを変えてみる(商品名冒頭の30文字を変更)
- 数字を見る(RMSやストアクリエイターProの分析画面でCTRの変化を確認)
商品ページの中身を変えなくても、入り口の「看板(キャッチコピー)」を変えるだけで売上は変わります。
ぜひ今日から、主力商品の商品名の「最初の30文字」を見直してみてください。
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