「売れない」を「売れる」に変える!商品タイプ別EC戦略の教科書【楽天市場・ヤフーショッピングで必勝】

はじめに──売れない原因は「売り方のズレ」にある

EC運営者の皆さんの中には、こうした悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

「毎日のように商品ページを更新しているのに、思うように売上が伸びない」 「広告費をかけ続けているのに、新規顧客がなかなか増えない」

こうした状況が続くと「商品そのものに魅力がないのでは」と考えがちですが、実は多くの場合、問題は別のところにあります。

売れない根本原因は、その商品に合った戦い方をしていないことかもしれません。

私たちが15年以上のネット通販事業運営を経験する中で、気づいたことがあります。同じジャンルの商品を扱う店舗でも、売上が大きく異なるケースが少なくありません。その差を左右するのが「商品の性質に応じた販売戦略」の有無です。

楽天市場やヤフーショッピングをはじめとするECモールには、毎日数えきれないほどの新しい商品が出品されます。ライバルが多い市場では、ただ漠然と商品を並べているだけでは、競争に埋もれてしまうのは自然なこと。一方で、成功している店舗は違います。彼らは「その商品が持つ個性」を深く理解し、その個性に合わせた「戦い方」を選んでいるのです。

本稿では、あなたの店舗にある商品を3つのタイプに分類し、タイプごとに実践的な売上アップ戦略を解説します。このコンテンツを最後まで読むことで、今まで見えていなかった商品たちの価値が、より鮮明に見えてくるはずです。

※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。


第1章|まずは商品を3つのタイプに分類する

ネットショップの経営では、全ての商品に対して同じ販売手法を当てはめようとするのが、実は多くの店舗が陥る落とし穴です。

私たちが業界大手のEC部門で責任者を務めていた時期も、最初のうちは「全商品統一のマーケティング施策」を試みていました。しかし結果は散々でした。高い広告費をかけても成果が出ない商品がある一方で、最小限の投資で売上が伸びる商品もあったのです。その経験から学んだのが、商品ごとの「タイプ分け」の重要性です。

あなたの店舗の主要な商品を、以下の3つのカテゴリーに分けてみましょう。

① コモディティ商品(一般品)

特徴: 誰もが知っている定番品、多くの店舗が取り扱っている商品

具体例:

  • 有名メーカーの食品・飲料
  • ベーシックな日用品(ティッシュ、トイレットペーパーなど)
  • 人気ブランドのアパレル商品
  • 一般的な家電製品

購買行動の傾向:

コモディティ商品を探す顧客は、商品名を直接検索することがほとんどです。比較軸は「価格」「送料」「ポイント還元率」「配送スピード」といった、わかりやすく数値化できる要素になります。

これは、特に楽天市場の仕様が顕著に表れるポイントです。楽天市場の利用者は楽天ポイントの還元率を重視する傾向が強いため、コモディティ商品を扱う場合、ポイント戦略が大きな差別化要因になります。

② こだわり商品(ニッチ商品)

特徴: 特定の悩みや趣味、こだわりを持つ顧客に深く刺さる商品

具体例:

  • 産地や製法にこだわった調味料や食材
  • 特定の犬種や猫種向けのペット用品
  • 機能性重視の高級タオルや寝具
  • 趣味・専門性が高い工具や手芸材料
  • 特定の肌質や悩み向けの化粧品

購買行動の傾向:

このタイプの顧客は「商品名」では検索しません。代わりに「悩み」や「用途」で検索します。例えば、「敏感肌 ファンデーション」「アレルギー対応 ドッグフード」といったキーワードです。

こだわり商品は、知る人ぞ知る存在になりがち。しかし逆に言えば、適切に認知されればロイヤル顧客になりやすいという特性があります。私が化粧品部門を担当していた時期、「敏感肌向けクレンジングオイル」を適切にSEO対策したところ、月商の3割以上がこの1商品から生まれるようになったという経験があります。

③ ひらめき商品(新概念商品)

特徴: 市場に存在しない、またはほとんど知られていない、新しい発想から生まれた商品

具体例:

  • 従来にない使い方や機能を持つ便利グッズ
  • まだ世に出ていない地方の特産品
  • 新しいコンセプトのアート作品やデザイン商品
  • 最新技術を用いた革新的な調理器具

購買行動の傾向:

ひらめき商品は、顧客が「存在自体を知らない」という根本的な課題を抱えています。つまり、キーワード検索では発見されようがないのです。

このタイプの成功には、単に商品スペックを伝えるだけでなく、「その商品が解決する問題は何か」「どんな体験ができるか」を明確に伝える必要があります。ひらめき商品は、潜在的なニーズを顕在化させることが、販売の第一歩なのです。


第2章|商品タイプ別EC戦略 実践ガイド

それでは、各タイプの商品に対して、実際にどのような戦略を取るべきか、具体的に見ていきましょう。

① コモディティ商品の戦い方:付加価値で選ばれる理由を作る

根本的な課題: コモディティ商品を扱う店舗の多くが、価格競争に巻き込まれがちです。しかし、この考え方が実は間違っています。

確かに、価格は重要な要素です。ですが、顧客が「わざわざあなたの店から買いたい」と思う理由を提供できるかどうかが、本当の勝負なのです。

実践ポイント

商品ページで「付加価値」を語る

商品そのものは、他の店舗でも同じです。だからこそ、あなたの店舗にしかない「付加価値」を前面に出す必要があります。

例えば、有名メーカーのお菓子を販売しているなら:

  • 「丁寧な手作業梱包」を詳しく紹介する
  • 「ギフト用の高級ラッピング無料サービス」をアピール
  • 季節ごとの「メッセージカード無料作成」を提供

アパレル商品の場合、単なる商品説明ではなく、その服が「どんなシーンで活躍するか」「どんな生活の中で活躍するか」というストーリーを語ることで、単なる「服」から「生活を豊かにするアイテム」に昇華させることができます。

サービスの質で差別化する

私たちが日用雑貨部門を率いていた時期、「即日発送」と「丁寧な問い合わせ対応」に特化した店舗が、同じ商品を扱うライバル店を大きく上回る売上を記録しました。顧客が感じる「安心感」は、価格以上の価値を持つのです。

  • 問い合わせへの迅速で丁寧な対応
  • 配送状況の詳細なお知らせ
  • 購入後のアフターフォロー

こうした細かいサービスを「店舗レビュー」として可視化できるよう、顧客にレビューを書いてもらう工夫も重要です。

固定客化を狙う仕組みを作る

コモディティ商品は「リピート」こそが安定した売上の鍵です。

  • リピーター向けの割引クーポン
  • 会員限定のセール情報
  • LINEやメールマガジンでの新商品のお知らせ

一度の購入で終わらせず、顧客に「この店から買い続けたい」と感じさせる施策を継続することで、店舗のファン化につながり、安定した売上基盤が構築されます。

② こだわり商品の戦い方:顧客との「出会い」を設計する

根本的な課題: こだわり商品は、特定の顧客に深く刺さるポテンシャルを秘めています。しかし、その顧客があなたの店に辿り着かなければ、売上には繋がりません。

重要なのは、顧客が「この商品が欲しい」と思う瞬間に、いかにして接触するかを戦略的に考えることです。

実践ポイント

顧客像(ペルソナ)を徹底的に深掘りする

例を挙げます。

産地にこだわったオーガニック野菜を扱う場合、顧客像は以下のような人物です:

  • 30~40代の女性
  • 子どもの食の安全に気を遣っている
  • 忙しいながらも、料理は家族との時間として大切にしている人

DIY向けの専門工具を扱う場合:

  • 50~60代の男性
  • 日曜大工が趣味で、達成感を重視している
  • 「ちょうどいい工具が見つからない」という悩みを持っている

このように詳細にペルソナを定義することで、次のステップが見えてきます。

キーワード戦略を構築する

ペルソナが明確になったら、彼らが「どんなキーワードで検索しているか」を想像してみます。

オーガニック野菜の場合:

  • 「有機野菜 配送」「無農薬野菜 子ども向け」「離乳食 食材 安全」

DIY工具の場合:

  • 「木工工具 プロ並み」「難しい工事 できる工具」「特殊ドライバー セット」

これらのキーワードを、商品名・説明文・キャッチコピーに自然に組み込むことで、顧客との「最適な出会いの場」が生まれます。これがSEO対策の本質です。

背景やストーリーで共感を生む

こだわり商品を求める顧客は、商品そのもの以上に「その商品が生まれた背景」に共感する傾向が強いです。

ブログやSNSで以下のような情報を発信することが効果的です:

  • 商品の使い方や活用シーン
  • 実際のお客様の声や口コミ
  • 作り手やブランドの想い、こだわりの背景

私たちが食品部門で特定の地方の調味料を扱った時、「地元農家の人の顔写真」と「製造方法へのこだわり」をブログで詳しく紹介したところ、単なる「調味料」ではなく「その地域を応援する購買」へと変わり、売上が約1.5倍になったという経験があります。

③ ひらめき商品の戦い方:「用途」を伝え、新しい需要を創造する

根本的な課題: ひらめき商品は、その存在自体が新しいため、顧客は「検索」することができません。

成功には、商品が解決する「問題」や、もたらす「喜び」を明確に伝え、新たな需要を創造することが不可欠です。ここで重要なのは、機能説明ではなく「ベネフィット」の提示です。

実践ポイント

用途を具体的に提示する

商品をそのまま紹介するのではなく、「こんな困り事を解決できます」「こんな素敵な体験ができます」という「新しい用途」を提案することで、顧客の興味を引きます。

例を挙げます:

多機能キッチングッズを販売する場合:

  • ❌ 「野菜カッター」
  • ✅ 「忙しい朝の準備時間を10分短縮!プロ級のサラダがあっという間に作れる魔法のグッズ」

新しいタイプの掃除道具を販売する場合:

  • ❌ 「床用清掃ツール」
  • ✅ 「お子さんがいるご家庭の食べこぼし掃除に最適」「ペットの抜け毛が気になる方へ」

ベネフィット(得られる利益)を前面に出すことで、顧客は「自分事化」できるようになります。

ビジュアルとストーリーで魅了する

ひらめき商品は、言葉だけでは伝わりにくいものがほとんどです。ここは「魅力的な写真や動画」が何よりも雄弁です。

  • 実際に使用している様子を動画で見せる
  • Before/After の比較写真を掲載
  • 使うことで変わった「日常の風景」を紹介

さらに重要なのが、ストーリーです。

「この商品が生まれたきっかけ」「開発者がどんな想いでこれを作ったのか」といったエピソードを語ることで、単なる「物」ではなく、共感できる「物語」として商品が記憶に残ります。

私たちがペット用品を扱っていた時期、「この商品を開発したきっかけは、自分の犬のアレルギーに悩んだこと」というストーリーをSNSで紹介したところ、多くのペットオーナーからのシェアが増え、自然と認知が広がった経験があります。


第3章|戦略の取捨選択こそが成果を生む

ここまで、3つの商品タイプと、それぞれの戦略について見てきました。

しかし、ここで重要な「落とし穴」があります。

「全てを同時に実行しようとすること」です。

全ての施策を一度に始めたくなる気持ちはわかります。しかし、そうすると一つ一つの施策が中途半端になり、結果が出にくくなるという悪循環に陥ります。

実は、これが私たちがコンサルタントの経験の中で、最も多くのクライアント企業が陥る失敗です。月商500万円程度の店舗が、一気に10個以上の施策を始めてしまい、結局全てが中途半端なまま、さらに忙しさだけが増すという状況を何度も目撃してきました。

「戦略とは、何をしないかを決めることである」

これは、経営学の古典的な言葉ですが、真実を突いています。

あなたの店舗に複数のタイプの商品がある場合、以下のように優先順位を明確にしましょう。

もし主力商品がコモディティ商品なら:

  • 短期目標:「商品ページの磨き込み」と「レビュー獲得」に全力を注ぐ
  • 判断軸:レビュー件数50件を超えるまで、この施策に集中する

もし主力商品がこだわり商品なら:

  • 短期目標:「キーワード分析」と「ターゲット層に向けたブログ発信」に集中
  • 判断軸:特定キーワードで上位表示されるまで、毎週1記事の配信を継続

このように、優先順位を明確にし、一つの施策で確かな手応えを感じてから、次のステップに進むことが、遠回りに見えて実は最も早い成功への道なのです。


まとめ:あなたの店舗に眠る「宝物」を見つける

商品の種類によって、勝つための戦略は全く異なります。

今、あなたの店舗に並んでいる商品たちを改めて見直してみてください。

  • その商品は、どんな個性を持っているのか
  • その商品を必要としている顧客は、どんな人なのか
  • その顧客に、あなたはどんな価値を提供できるのか

こうした問いに向き合うプロセスの中に、実は「売れる」ためのヒントが隠されているのです。

本稿で紹介した3つの戦略が、あなたのEC店舗が次のステージへと進むための羅針盤となれば幸いです。

完璧を目指さず、今日から一歩でもいい。確実に前に進んでいきましょう。

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Illustration by Storyset

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