はじめに
楽天市場やYahoo!ショッピングに出店していると、商品数が増えるにつれてこんな悩みに直面しませんか?
- 「どの商品に注力すべきかわからない…」
- 「広告をかけても売れない商品がある…」
- 「売れてる商品はあるけど、利益が伸びない…」
こうした悩みは、実は商品ごとの立ち位置を可視化していないことに原因があります。
本記事では、EC運営において“勝てる商品”を見極め、そこにリソースを集中投下するための「売れ筋育成マップ」の活用法をご紹介します。
なぜ「全商品売り」では限界が来るのか?
楽天市場やYahoo!ショッピングには膨大な商品が登録されています。
特に多くの商品を扱う店舗では、すべての商品に均等に力を入れて売上を伸ばすのは非現実的です。
また、「なんとなく売れている商品」に無意識に注力していると、以下のような状態に陥ります:
- 広告費だけがかさみ利益が出ない
- ページ改善の優先順位がつけられない
- 在庫リスクや配送負荷が高まる
こうした“見えないムダ”を排除するために、戦略的に商品を見極めて育てる必要があります。
その第一歩が「売れ筋育成マップ」です。
売れ筋育成マップとは?商品群を4象限で分類する考え方
売れ筋育成マップとは、売上・成長性・利益率・CVR(コンバージョン率)など複数の指標をもとに商品を分類し、「どの商品にどういうアクションを取るべきか」を可視化する手法です。
▼分類マトリクスの一例(売上×成長性)
売上高 | 成長性 | 商品タイプ | 取るべき戦略 |
高い | 高い | 主力商品 | 広告強化・在庫補強・リピート強化 |
高い | 低い | 安定商品 | 粗利改善・在庫最適化 |
低い | 高い | 期待商品 | ページ改善・広告投下で育成 |
低い | 低い | 整理対象 | 入替・陳列見直し・販促停止検討 |
「売上だけでなく、将来性を見ながら分類できる」のがこの手法の強みです。
また、商品数が多い店舗ほど、このような可視化が運営効率化と売上アップに直結します。
データをもとに商品を分類する方法
1. まずは商品ごとの基本データを抽出
楽天RMSやYahoo!ストアクリエイターProから以下のデータを収集しましょう:
- 商品ごとの売上額・販売個数
- 粗利率(売上に対する利益)
- ページアクセス数(PV)
- コンバージョン率(CVR)
- 平均レビュー評価
- リピート率(定期購入含む)
GoogleスプレッドシートやExcelに一覧でまとめ、フィルター機能を使って比較できるようにします。
2. ABC分析+80:20ルールで「稼ぎ頭」を把握
次に売上の多い順に並べて、「売上構成比」でABCランクに分けてみましょう。
- Aランク:上位20%の商品で、全体の売上の80%を構成
- Bランク:中間層
- Cランク:売上が少ないロングテール商品群
ここで重要なのは、Aランク商品=注力すべき商品とは限らないという点です。
例えばAランクでも粗利が低く広告費がかかりすぎていれば、利益には貢献していません。逆に、CランクでもCVRが高く、少ないアクセスで売れている商品は“化ける”可能性があります。
“化ける商品”の兆しを見極める5つのポイント
売れていないけど、伸ばせばヒットにつながる“原石”を見つけるには、以下のポイントに注目しましょう:
- PVが少ないのにCVRが高い
→ 商品訴求は刺さっているが、露出不足。 - 粗利率が高い
→ 利益を生みやすく、広告投資の回収も早い。 - レビュー評価が高く、リピートコメントが多い
→ 商品満足度が高く、リピート導線強化でLTVが伸びる。 - 競合が少ない・まだ注目されていないカテゴリ
→ 価格競争に巻き込まれず、ブルーオーシャンで戦える。 - 他店で類似商品の成長実績がある
→ 需要の裏付けがあり、自店でも再現できる可能性が高い。
注力商品を絞り込んだ後にやるべきアクション
注力すべき商品が見えてきたら、次の3つの施策に取り組みましょう。
1. 商品ページの強化
- メイン画像の訴求力アップ
- お客様の声の活用(レビュー訴求)
- Q&A・FAQの充実で不安解消
- スマホ閲覧時の見やすさ改善
2. 広告の最適化(RPP、CPCなど)
- 無駄な出稿を止め、注力商品に予算を集中
- ターゲティング・キーワード見直し
- 商品別のCVR改善が広告ROASにも直結
3. 導線・在庫・バリエーションの最適化
- 関連商品への導線設計(クロスセル)
- 在庫切れの防止(特に主力商品)
- カラーやサイズ展開の拡充でCVR向上
まとめ:商品を「育てる」視点がECの勝敗を分ける
売上を伸ばすには、「ただ売れている商品」だけを追いかけるのではなく、本当に注力すべき商品を選び抜く視点が不可欠です。
売れ筋育成マップを活用することで、今ある商品群の中から:
- 広告をかけるべき商品
- ページ改善すべき商品
- 在庫を見直す商品
- 思い切って切り替える商品
を戦略的に選別できます。
まずは簡易的な表からで構いません。あなたの店舗にとって「本当に売上を伸ばすべき商品」は何か、ぜひ見直してみてください。