楽天市場で売上を伸ばす!検索で選ばれるサムネイル画像の作り方とCTR改善テクニック


この記事で分かること

楽天市場でサムネイル画像を改善しようと考えている出店者の方へ。「ガイドラインは知ってるけど、実際にどう活かせばいいか分からない」「ルールを守りながらクリック率を上げる具体的なコツが知りたい」といった悩みをお持ちではありませんか?

この記事では、15年のネット通販事業経験と、業界大手EC部門での責任者経験を活かして、以下の4つをお伝えします。

  • 楽天市場のサムネイル画像ガイドラインの実務的な要点
  • CTRを高めるためのデザイン・コピーの具体的な考え方
  • 実例に基づくカテゴリ別の工夫ポイント
  • 改善のための実践的なチェックリストとPDCAの回し方

ガイドラインの遵守と売上向上の両立は、実は難しくありません。ただし「知識だけでは動かない」という部分を、具体的な方法論で埋めます。

※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。


楽天市場でサムネイル画像が売上を左右する理由

検索結果で「選ばれる」かどうかを決める入口

楽天市場で商品が売れるプロセスを冷徹に分析すると、これに尽きます:ユーザーが検索した瞬間、数百、数千の競合商品と並列表示される中で、あなたの商品がクリックされるか、スルーされるか—その分岐点がサムネイル画像です

私が業界大手のEC部門で責任者をしていた時代、あるアパレルカテゴリで月商数億円規模の売上を管理していました。その経験から学んだことは、いくら商品力が優れていても、検索結果で目に留まらなければ、購入に至る前の段階で脱落してしまうということです。

ユーザーの行動は極めてシンプルです。スマートフォンの小さな画面で、ほんの数秒間に数十のサムネイルを眺め、「これ、クリックしてみようかな」と思う画像だけが、商品ページへの扉を開かせる。実は、売上の大部分がこの一瞬で決まっているのです。

クリック率(CTR)・売上・検索順位への影響

ここで注目すべき方程式があります。

楽天市場での売上 = アクセス人数 × 転換率 × 客単価

一方で、アクセスそのものはこう分解できます。

アクセス人数 = 商品インプレッション数 × CTR(クリック率)

つまり、CTRの向上は直接的にアクセス数を増やし、結果として売上増につながる。これは理論ではなく、実務の現場で毎日目にしているファクトです。

さらに、楽天市場の検索アルゴリズムは、単純に日々の売上だけを見ているわけではありません。CTRの上昇は「この商品は検索ユーザーに選ばれている」というポジティブシグナルとして認識され、検索順位の向上につながる可能性があります。ただし、ここに重要な限定条件があります。CTRが高くても転換率が著しく低い場合、その信号は打ち消されることもあるので、CTR改善だけで満足していてはいけません。

さらに、検索上位の商品の多くは「サムネイル + レビュー数 + 販売実績」の総合評価によって位置づけられているため、サムネイル改善は最初の一歩に過ぎないという点も、念頭に置くべきです。

実際に私が関わったケースでは、化粧品カテゴリで「サムネイル画像を統一的に改善した結果、該当商品群のアクセス数が前月比130~150%増加した」という事例があります。ただし、その後、その増加分がすべて売上に転換したわけではなく、一部の商品は転換率が期待値以下だったため、そこからは「商品ページの説明文見直し」「画像配置の最適化」へと施策を広げました。


楽天市場のサムネイル画像ガイドライン【2025年版】

ガイドライン違反で起こり得るリスク

まず、重要な前置きとして、ガイドライン違反のペナルティについて述べておきます。

楽天市場は、このガイドラインを「単なる推奨」ではなく、違反に対して点数制度で対応する厳格な仕組みを構築しています。違反が発見されると、その商品画像に対して一律5点が加算されます。そしてこの点数が累積することで、段階的にペナルティが適用されます。

具体的なリスクは以下の通りです。

  • 検索結果からの除外:ユーザーが商品を検索しても、あなたの商品が表示されなくなる可能性があります。これは集客機会の壊滅的な喪失を意味します。
  • ランキング降下:検索ランキング、カテゴリランキングでの表示順位が著しく低下し、アクセスの大幅な減少につながります。
  • RPP広告の制限:楽天市場の広告システム(楽天プロモーションプラットフォーム)における広告出稿の制限が発生することもあります。
  • 最悪の場合は出店停止措置:悪質な違反や繰り返しの違反があった場合、出店契約の解除にまで至る可能性があります。

「知らなかったから」では許されない世界です。出店契約を続ける限り、ガイドライン遵守は義務です。

テキスト量20%ルール

楽天市場が最初に設けた、そして最も厳格に運用されるルールが、テキスト占有率20%以内という制限です。

判断基準の実務的な理解

画像全体を縦横10分割し、100マスのグリッドを作成することをイメージしてください。テキスト要素(文字、ロゴ、イラストを含む)が含まれるマスが、合計20マス以内に収まっていることが「OK」の判定です。

ここで注意すべき点は、「テキスト要素」の定義が想像以上に広いということです。

  • 商品名や説明文はもちろん
  • ブランドロゴ
  • 商品を説明するアイコンやシンボル(例:「国産」を示す日の丸、「送料無料」を示す矢印図形)
  • キャッチコピーの背景となる図形

これらすべてが「テキスト要素」としてカウントされます。

実例に基づく判定の難しさ

実務の現場では、楽天の「商品画像判定ツール」を使って事前チェックできます。ただし、このツールの精度は100%ではなく、AIの認識にぶれが生じることもあります。同じ画像を複数回判定にかけて、毎回異なる結果が出ることもあります。

例えば、アパレルで「新作入荷」という文字を赤で目立たせたい場合、テキスト占有率は実務的にはぎりぎり20%以内(例:18%)に収まっていても、ツール判定では「△(グレー判定)」や「NG」と出ることもあります。こうした場合、慎重を期して、テキスト量をさらに削減するか、判定ツール運用の改善を待つか、いずれかの判断を迫られます。


枠線・帯・装飾が禁止される理由

次に、「枠線・帯・装飾禁止」というルールについて、その背景と実務的な判定方法を説明します。

楽天市場は2018年に商品画像ガイドラインを導入する際、「すべての出店者に公平な競争環境を提供する」という理念を掲げました。枠線や帯による視覚的な強調は、特定の店舗を目立たせてしまい、この理念に反するという考えです。

具体的なNG例

  • 画像の四辺全体を囲む枠線(赤、黒、金色など)
  • 画像の上下に施された色帯(特に目立つ色)
  • L字や角飾りといった装飾要素
  • テキストを背景色(特に四角形)で強調する表現

実務的な注意点

ここで厄介なのが、「帯状のオブジェクト」の定義です。楽天のガイドラインでは、「テキスト要素が帯状に並ぶもの」や「辺に対し50%以上の帯状塗りつぶし」も枠線扱いとなることがあります。

例えば、化粧品のサムネイルで「成分表示」を横一列に並べた場合、それが帯状に見えると「枠線NG」と判定されることもあります。私の経験では、こうした判定の曖昧さを理由に、修正に時間を費やした案件も複数あります。

対策としては、テキスト背景は四角形ではなく、丸形やイラストなど別の形態を使う、あるいは背景色そのものを避けることが無難です。


背景色・写真のルール

楽天市場が許可する背景は、実は非常に限定されています。

OK パターン

  • 真っ白(RGB値:R255、G255、B255、カラーコード:#FFFFFF)
  • 商品と一緒に撮影された自然な写真背景(使用シーンなど)

NG パターン

  • 原色系の単色背景
  • グラデーション背景
  • カラフルな背景
  • 別の写真を後付けで合成した背景

実務的な運用の課題

ここで注意すべきは、「白を基調」という表現のぶれです。楽天のガイドラインでは「白を基調とした写真背景もOK」と書かれていますが、その判定は機械的には難しく、使用場面によって判断が異なることがあります。

例えば、日用雑貨で「洗面台に置いた商品」というシーンを写真撮影した場合、背景の洗面台が白でも、若干のグレーが入っていたら、それでもOKなのか、NGなのか。こうした判断は、ツール判定では時に揺らぎます。

対策としては、背景を完全な白に統一するか、あるいはスタジオ撮影で白背景を徹底するのが、最もリスクが低い運用方法です。


不自然な画像合成がNGとされるケース

最後に、「不自然な合成」というルールについてです。

OK パターン

  • 実際の使用シーンを自然に撮影した写真
  • 商品の魅力を引き出すための適度な色調調整
  • 複数アングルから撮影した画像の組み合わせ

NG パターン

  • サイズ感が不明瞭になるような加工(例:商品が実際より大きく、あるいは小さく見えるような不自然なスケーリング)
  • 極端なフィルターやエフェクト
  • 現実離れしたCG合成
  • 実際には存在しないシーンの創作合成

実例と判断の難しさ

ペット用品のケースを例に挙げます。「犬が商品を喜んで使っている様子」を表現したいという理由で、実際の犬の写真と商品を合成する場合があります。これが「自然な合成」なのか「不自然な合成」なのか、の判断は微妙です。

実際には、犬と商品を別々に撮影して合成したものでも、その組み合わせが自然に見えれば、おおむねOKと判定されるケースが多いです。しかし「商品が異常に大きく見える合成」や「その場では絶対に起こらないシーン」の場合は、NG判定が下される傾向があります。

ここまでの記述から分かるように、楽天のガイドラインには「厳格なルール」と「判定の曖昧さ」が同時に存在しています。だからこそ、出店者には「ガイドラインの精神を理解する」ことが求められるのです。


ガイドラインを守りながらCTRを高めるサムネイル設計

ターゲットを明確にしたデザイン方針

では、ここからは「ルールを守りながら、いかにして競争力のあるサムネイルを作るか」という、より実践的なフェーズに移ります。

最初のステップは、ターゲットの明確化です。

「誰に売りたいのか」を曖昧なまま進めると、結果として誰にも響かないデザインが完成します。私が関わった食品(仕出しサービス)のプロジェクトでは、初期段階で「幅広い顧客層向け」という曖昧なターゲット定義のまま、色使いも配置も「無難」なサムネイルを作成していました。しかし、アクセス解析を見ると、実際には「30~40代の女性、特に会食やお弁当購入層」に集中していました。その気づきから、ターゲットを明確に設定し直し、色彩や商品の見せ方を調整したところ、CTRが約20%改善しました。

ターゲット層を明確にすることで、デザイン判断の個別化が可能になります。

20代女性向け商品の場合

シンプルかつおしゃれな色調、ミニマリストな表現、ホワイトスペース(余白)を活かしたレイアウトが効果的です。テキストも短く、洗練された印象を与える必要があります。

ファミリー層向け商品の場合

温かみのある雰囲気、子どもや家族が商品を使用しているシーン、明るい色使いで安心感や楽しさを表現します。このカテゴリでは、実際の使用シーンの「信頼感」が購買意欲に直結します。

ビジネスパーソン向け商品の場合

機能性や品質を重視した、落ち着いた色合いとシャープなデザイン。信頼感が最優先される層なので、高級感や実用性を視覚的に伝えることが重要です。

20%ルール内で訴求コピーを見せるコツ

テキスト占有率20%以内という制約の中で、「最も伝えたいメッセージ」を効果的に配置する工夫について述べます。

訴求ポイントの優先順位付け

限られた枠の中では、複数のメッセージを盛り込むことは得策ではありません。「送料無料」「30%OFF」「国産素材」—こうしたメッセージの中から、その商品にとって最も購買を決定づける要素は何かを選別する必要があります。

実例をあげます。日用雑貨で「洗濯ネット」を販売している場合:

  • 「送料無料」という要素と
  • 「洗濯物が傷まない素材」という要素と
  • 「5個セット」という要素

このうち、購買層の心理を突き動かすのはどれか。データを見れば分かります。RMS(楽天マーチャント・サーバー)のアクセス解析で「セット商品を検索するユーザーが多い」と分かれば、「5個セット」を前面に出す。「送料の有無で購買判断が分かれる」なら、「送料無料」を強調する。

視覚的な強調の工夫

テキストの背景に色を付けたり、枠線を引いたり、という古典的な手法は使えません。では、どうするか。

  • フォントサイズの大きさを活用(太く、大きく、重要度を表現)
  • 色の選択(背景に白を保ちながら、テキストカラーを目立つ色に)
  • 配置の工夫(画像の中央上部など、ユーザーの視線が最初に向かう位置に配置)

ただし、ここでも限界があります。すべてを大きく、太くすると、テキスト占有率20%を超えてしまう。つまり、「引き算」の感覚が極めて重要です。

私が携わったアパレルプロジェクトでは、セール時期に「今だけ30%OFF」というメッセージを強調したいという要望がありました。しかし、テキスト量と視認性のバランスを取るため、「30%OFF」は大きく、その下の「今だけ」は小さく、という階層構造を作りました。結果として、瞬時に割引率が伝わりながらも、テキスト占有率は18%に収まりました。

一目で「何の商品か」が伝わる構図づくり

検索結果の小さなサムネイルで、ユーザーが一瞬で「これは何か」を理解できるかどうかが、クリック判断に大きく影響します。

メイン商品の配置

商品を大きく、中央に配置する。これは基本中の基本ですが、実務ではこれが徹底されていないケースが多くあります。

例えば、化粧品のサムネイルで「成分」を前面に出そうとして、商品本体(ボトルやパッケージ)が小さく脇に配置されている場合があります。検索結果で見ると、「何の商品かわからない」という印象になり、クリック率が低下します。

対策は単純:商品本体を最優先に、大きく、中央に配置する。 付加情報(成分、セット内容など)はサブ画像に任せます。

商品の特徴を視覚で伝える

文字での説明は制限されるため、画像そのものが「物語」を語る必要があります。

  • 防水商品なら、水滴の描画や、水に濡れた状態の撮影
  • 軽量商品なら、手に持った画像で「これは軽い」というイメージを伝える
  • セット商品なら、複数の商品が並んだ構図で「セットがお得」を視覚的に表現

ただし、ここでも「不自然な合成はNG」というルールがあるため、自然な表現の範囲内での工夫に限定されます。


楽天市場に最適化されたサムネイル画像の具体テクニック

商品を大きく中央に配置するレイアウト

では、より具体的なレイアウト手法に入ります。

縦横比と見え方の最適化

楽天市場での商品画像表示は、デバイスやカテゴリによって多少異なりますが、おおむね正方形に近い比率で表示されることが多いです。つまり、1:1の正方形レイアウトを念頭に置いて設計することが無難です。

商品を大きく見せるコツは、「白背景にシンプルに配置する」ことです。背景に余計なオブジェクトがあると、商品が「沈む」ように見えてしまいます。

実例:日用雑貨の場合

例えば、「折りたたみ傘」のサムネイルを作る場合、正方形の背景に傘を大きく中央配置します。テキストは右上隅に小さく「撥水性」などと書く。これだけで、検索結果では傘が「ドン」と目立つ画像になり、CTRが向上します。

一方、もし「森の中での使用シーン」などを背景に入れ込もうとすると、背景が複雑になり、商品が埋没します。結果としてCTRが低下する傾向が見られます。

特徴・機能を視覚で伝える撮り方・見せ方

商品の特徴を「文字なし」で伝える工夫について、カテゴリ別に述べます。

アパレル商品

素材の質感や肌触りは、写真の質感描写で伝えます。例えば、シルク素材なら光沢感が出る角度から撮影する。綿素材なら、やや自然な光での撮影が効果的です。

ただし、過度な加工で「つやつやに見える化成繊維」を「天然シルク」に見せるような、不正な表現は避けるべきです。

ペット用品

安全性や耐久性を表現するなら、実際に動物が使用している(あるいは安全に使用できることが伝わる)写真が効果的です。例えば、犬用ハーネスなら「犬が装着している状態」を撮影する。この場合、その犬が「安心そうな表情」をしていることで、製品の安全性が無言のうちに伝わります。

ただし、動物の表情や行動を過度に加工・合成で演出することは、消費者への誤解招きとなり得るため、注意が必要です。

食品・仕出しサービス

「おいしさ」を視覚的に伝えることが最大の課題です。実際の色合い、つやつや感、ボリューム感—これらを忠実に表現する撮影技法が求められます。

よくある失敗は、「商品をより美しく見せたい」という理由で、過度な色補正や合成を加えることです。実物よりも鮮やかに見える弁当のサムネイルを見て商品ページへクリックしたら、実物はくすんでいた—こうしたギャップは、レビューの低下にも直結します。

季節性・イベント性を取り入れるときの注意点

クリスマス、母の日、夏商戦など、季節ごとのイベント時期には、サムネイルを一時的に調整することも有効です。しかし、ここでも注意点があります。

期間限定の装飾の仕方

例えば、クリスマス時期に「雪の結晶」のイラストを背景に加える場合、それが「枠線」扱いにならないか、あるいは「テキスト占有率」に含まれないかを事前に判定ツールで確認する必要があります。

実務では、こうしたイベント向けカスタマイズが「NGになった」という報告もあります。理由は、イラスト要素がテキスト背景として認識されたり、帯状の配置に見えたりしたからです。

定番サムネイルとの使い分け

イベント期間中だけ特別なサムネイルを使うというアプローチもありますが、これは手間とリスクがあります。より実務的な方法は、定番的なサムネイルを1~2ヶ月単位で更新することです。例えば、2月は「バレンタインデー向けカラー」に調整し、3月は「ホワイトデー向け」に更新する、といった方法です。


サムネイル改善のチェックリストとPDCAの回し方

公開前に確認すべき7つのポイント

新しいサムネイル画像を登録する前に、以下の項目を確認してください。完璧を目指す必要はありませんが、これらを「最低限」チェックすることで、ペナルティリスクと品質を両立させます。

1. テキスト占有率は20%以内か?

楽天の「商品画像判定ツール」を使用し、判定結果を確認してください。ツール判定が「△(グレー判定)」の場合は、若干の修正を加えてから登録することをお勧めします。完全な「◎(良好)」判定を目指す必要はありませんが、「✓(改善必要)」と出た場合は、必ず修正してください。

2. 枠線、帯、L字、角飾りを使っていないか?

画像全体を見渡して、線状や帯状のオブジェクトがないか視認ください。特に、テキスト背景として四角形の塗りつぶしが入っていないかを確認します。

3. 背景は白(#FFFFFF)、または白を基調とした写真背景か?

RGB値でR255、G255、B255であることを確認(画像編集ソフトで色を拾って確認可能)。写真背景の場合は、背景の大部分(70%以上)が白系であることが目安です。

4. 不自然な合成がないか?

サイズ感が実物と異なるように見えないか、現実離れしたシーンがないか、を確認します。不安な場合は、複数の同僚や信頼できる第三者に「この画像を見て、違和感はないか」と聞くのも有効です。

5. メイン商品は大きく、中央に配置されているか?

商品が画像の中で占める比率は、おおむね50%以上が目安です。小さすぎたり、端に寄っていないかを確認します。

6. 明確なターゲット層に響くデザインか?

ターゲット層を改めて意識して、この画像が「その人たちに刺さるか」を問い直します。例えば、「高級志向の40代女性向け商品なのに、ポップすぎるデザインになっていないか」といった違和感です。

7. 最も伝えたい訴求ポイントが、視認性高く表示されているか?

テキストサイズ、色、配置を見直し、「このサムネイルを見たユーザーが、瞬時に理解してほしいメッセージ」がちゃんと伝わっているか確認します。

RMSのデータを使ったCTRの確認方法

サムネイル画像を公開した後、重要なのは「効果測定」です。

店舗カルテでの基本確認

RMSにログインして「データ分析 > 店舗カルテ」に進みます。ここで当月のアクセス人数、転換率、売上を確認します。

ただし、注意点として、サムネイル変更のタイミングから効果が出るまでには、通常3~7日の間隔があります。楽天のシステムがインデックスを更新し、新しいサムネイルが検索結果に反映されるのに、この程度の時間を要するためです。変更翌日に「アクセスが増えていない」と判断するのは早計です。

商品別のCTR相当指標の確認

より詳細な分析を行うなら、「データ分析 > 参照元・検索キーワード」から、商品ごとのアクセス数、検索順位、転換率を確認します。

ここで注目すべきは、「アクセス数は多いが、転換率が低い」という商品です。このギャップは、サムネイルで期待値以上に流入が増えたものの、実際の商品ページを見てユーザーが「あれ、思ってたのと違う」と感じたことを示唆しています。

実務では、こうした場合の対応策は2つです。

  • サムネイルと実際の商品ページのイメージが一致していない場合は、商品ページ側の画像やテキストを修正
  • サムネイルのメッセージが誇大だった場合は、サムネイル自体を調整

A/Bテストと競合分析でブラッシュアップする

最後に、継続的な改善のための方法について述べます。

A/Bテストの実施方法と限界

楽天市場では、同一商品に対して複数バージョンのサムネイルをテストすることは、公式には推奨されていません。理由は、「複数のサムネイルが混在することで、検索アルゴリズムが混乱する可能性」があるからです。

ただし、実務ではこの制限の中で、「月単位」でサムネイル版を切り替えるという方法が一般的です。例えば、1月~2月は「Version A」、3月~4月は「Version B」というサイクルで運用し、それぞれのアクセス・売上データを比較して、より優れた方を採用する。

ここで重要な注意点は、「1ヶ月では判定に足るデータが集まらないこともある」ということです。特に、ニッチなカテゴリや月商が低い商品では、外的要因(季節変動、競合の出入り等)によるノイズが大きく、純粋なサムネイル効果を測定しづらいことがあります。

競合分析の実施方法

楽天市場で、同一カテゴリ・同一キーワードでのランキング上位商品のサムネイルを定期的にチェックします。注目すべきは以下の点です。

  • 色使い:何色系が多いか、あるいはニッチな色を使う出店者がいるか
  • テキスト量:ガイドライン内でありながら、視認性をどう確保しているか
  • 商品の見せ方:アングルや配置に工夫があるか

ただし、競合の中には「ガイドライン違反ギリギリ」のサムネイルを使っているケースもあります。こうした「黒いサムネイル」を参考にして模倣することは、自分自身もペナルティリスクを高めることになるため、避けるべきです。

参考にすべきは、「ガイドラインを完全に遵守しながら、なおかつCTRが高いと思われるサムネイル」です。こうした「模範的な事例」から学ぶことが、持続可能な改善につながります。


まとめ|ルールを守りつつ「売れるサムネイル」で楽天市場の売上を伸ばす

楽天市場でのサムネイル画像の最適化は、「ルールの厳格さ」と「表現の創意工夫」のバランスを取る作業です。

ガイドラインを遵守することは、ペナルティを避けるための「守り」に見えるかもしれません。しかし、実は逆です。ルールを完全に理解し、その中で最大限の視覚的訴求力を引き出すことは、競合との差別化そのものです。

なぜなら、多くの出店者はガイドラインを「面倒なルール」として捉え、最小限の対応に留めているからです。一方で、ガイドラインの精神を理解し、その枠内で創意工夫を重ねた出店者のサムネイルは、自然と目立つようになります。

具体的に、あなたが取るべき次のアクションは以下の通りです。

  1. このチェックリストを保存し、新規サムネイル作成時に毎回参照する
  2. RMSの「商品画像判定ツール」を、登録前の必須ステップにする
  3. 月1回程度、店舗カルテでアクセス・転換率データを確認し、サムネイル改善の施策を立案する
  4. 競合分析を定期的に実施し、「ルール内での創意工夫」の事例を蓄積する

サムネイル画像は、単なるデザイン要素ではなく、あなたの商品の「営業担当者」です。その営業担当者が、楽天市場という競争の激しいフィールドで、毎日何千という競合相手と戦っています。

15年のEC事業経験から学んだことは、「細部への執着こそが、売上の差を生む」ということです。サムネイル改善を軽視してはいけません。むしろ、この小さな一枚の画像を磨き上げることが、楽天市場での安定した売上向上への、最初で最も確実なステップなのです。

継続的な改善を忘れずに、常に最適なサムネイルを目指してください。

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Illustration by Storyset

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