はじめに
モール検索の一覧画面で商品がクリックされるまでの時間は、わずか2〜3秒です。
15年以上のEC運営経験の中で、私たちが繰り返し目撃してきたのが「ページ内のコンテンツは充実しているのに、検索一覧でスルーされてしまう商品」の存在です。いくら商品ページを磨き込んでも、そもそもクリックされなければ売上には繋がりません。
このガイドでは、楽天市場・Yahoo!ショッピングの両モールで「検索一覧のCTRを劇的に改善する」ための商品名設計法を、実践的に解説します。実運用で効果を検証した事例を交えながら、テンプレ化できる手法をお伝えします。
※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。
第1章:検索一覧で”選ばれる”ために何が起きているか
この章でわかること
ユーザーが検索結果で商品を選ぶまでの心理と、CTRがなぜ売上に直結するのかを理解できます。
ユーザーは「画像→商品名→価格」で瞬時に判断する
ECモール内の検索結果を眺めるユーザーは、アテンション(注意力)が極めて限定的です。パソコン上では1ページに10〜20件、スマートフォンでも5〜8件の商品が表示されますが、多くのユーザーは全体を「流し見」しています。
この限られた時間の中で、ユーザーが無意識に判断する順序は以下の通りです:
- 商品画像(視覚的な引き込み、0.5秒)
- 商品名(何かを瞬時に理解、1〜2秒)
- 価格と評価(購入の判断材料、1秒)
つまり、商品名がユーザーの目を止める「2番目のボタン」として機能するかどうかが、クリック率を大きく左右します。
我々の経験から言えること: アパレルカテゴリで運営していた店舗では、同一商品で商品名だけを変更した際、CTRが28%向上したケースがあります。ただし、これは「単なる長さの短縮」ではなく、冒頭に購買欲を刺激する7〜9文字の短いフレーズを置いたことが要因でした。
CTRが売上に直結する理由(PV×CVR=売上)
売上の方程式は以下の通りです:
売上 = PV(商品ページへのアクセス数)× CVR(訪問者の購入率)
多くの事業者は「CVR改善」に注力しがちです。ページ内導線の最適化、レビューの充実、サムネイル画像の改善など、やることは山ほどあります。しかし、そもそもPVが不足していれば、CVRをいくら改善してもスケールしません。
たとえば、CVRが3%で固定されている場合:
- PV 100件 × CVR 3% = 3件の購入
- PV 500件 × CVR 3% = 15件の購入
検索一覧のCTRを改善することは、「ページに流入させる母数を増やす」という、最もシンプルで効果的な売上向上施策なのです。
限界と反論: ただし「CTRさえ上げれば良い」という単純な話ではありません。クリック率が高くても、ページ到達後の直帰率が高かったり、購入に至らないユーザーばかり流入すれば、広告費の無駄になりかねません。重要なのは「適切なユーザーを適切な数だけ流入させる」ことです。これについては後ほど「サブカテゴリ戦略」で詳しく解説します。
第2章:刺さる商品名の基本設計(キャッチ+商品名本体)
この章でわかること
「購買欲を刺激する商品名の構成パターン」と「すぐに応用できるテンプレ」を習得できます。
7〜9文字の短いキャッチでUSPを先出し
商品名は大きく2つの要素から構成されます:
| 要素 | 役割 | 文字数目安 | 例 |
| キャッチ(先頭) | 購買欲を刺激するフレーズ。商品の最大の強み、信頼感、感情価値を表現 | 7〜9文字 | 「国産で安心」「防水設計」「ふわふわの」 |
| 商品名本体 | ブランド、シリーズ、商品カテゴリ。ユーザーの記憶に残すもの | 制限なし | 「○○米 5kg」「レディーススニーカー」「ハンドクリーム」 |
構成パターン: [キャッチ] + [商品名本体]
パターン実例
食品カテゴリ
- ✅「国産素材で安心」有機玄米 5kg(キャッチが信頼語)
- ❌「国産の有機玄米が含まれた玄米ご飯セット」(冗長、キャッチが不明)
アパレルカテゴリ
- ✅「防水で歩きやすい」レディーストレッキングシューズ(キャッチが機能語)
- ❌「防水防滑機能付きレディース登山靴防水素材」(キーワード詰め込み、読みにくい)
化粧品カテゴリ
- ✅「ビタミンC濃密」美白美容液 50ml(キャッチが機能語)
- ❌「ビタミンC配合高濃度美白成分配合美容液」(意味の重複)
良い例・悪い例(NGワード・冗長語の明示)
| パターン | 良い例 | 悪い例 | 理由 |
| 冗長語の多用 | 「ふわふわの」枕 | 「超ふわふわで最強に柔らかい」枕 | 「超」「最強」は過度な装飾。CTRは上がりずらく、スパム判定のリスク |
| キーワード詰め込み | 「軽量で安心」トレッキングシューズ レディース | 「軽量トレッキング登山シューズレディース防水防滑紐」 | 詰め込みすぎると可読性が落ち、ユーザーが内容を瞬時に理解できない |
| 意味の重複 | 「洗える」布団カバー | 「洗浄可能で洗える布団カバー」 | 「洗浄可能」と「洗える」は同義。冗長さが目立つ |
| ブランド名の埋没 | 「国産で安心」△△米 | 「△△の国産米」 | キャッチを後ろに置くと、ユーザーが最初の2語で理解する機会を逃す |
ジャンル別テンプレ(食品/アパレル/日用品など)
【食品】(米、調味料、スイーツなど)
テンプレ: [産地or製法] + [安心語] + 商品名 + サイズ
- 「国産で安心」新潟コシヒカリ 5kg
- 「有機栽培」北海道産玉ねぎ 3kg
- 「無添加の」手作りジャム 200g
- 「新鮮直送」北海道ウニ 100g
- 「砂糖不使用」ナッツミックス 300g
- 「時短調理」冷凍ハンバーグ 10個入
反論ポイント: 「食品は製法や産地が重要だから、テンプレ通りすぎると陳腐に見えないか」という懸念もあります。確かに、最初のテンプレだけでは差別化が不足する場合があります。その場合は「用途語」を組み合わせ「新鮮直送&ギフト対応」など、追加の価値を言語化しましょう。
【アパレル】(衣類、靴、アクセサリーなど)
テンプレ: [機能語or用途] + [性能・素材] + 商品カテゴリ + サイズ/色
- 「防水設計で安心」レディーストレッキングシューズ
- 「通気性抜群」メンズクルーネックTシャツ
- 「ストレッチで楽」スキニーデニム
- 「撥水加工」ウインドブレーカー
- 「軽量で歩きやすい」ビジネスローファー
- 「肌に優しい」オーガニックコットンタンクトップ
【家電・ガジェット】
テンプレ: [機能・性能] + [信頼語or省力語] + 製品名 + スペック
- 「高速充電で便利」ワイヤレス充電器 10W
- 「音声操作対応」スマートLEDライト
- 「手軽で衛生的」自動ディスペンサー
- 「省電力で環境配慮」LEDシーリングライト 40W
- 「コンパクトで軽量」ポータブル扇風機
- 「タッチ操作で使いやすい」デジタル温度湿度計
【コスメ・スキンケア】
テンプレ: [成分or効能] + [肌質向け] + 製品カテゴリ + 容量
- 「ビタミンC濃密」美白美容液 50ml
- 「敏感肌対応」低刺激保湿クリーム
- 「毛穴ケア」つや肌パック 100g
- 「保湿力抜群」ハイドロジェルマスク 10枚
- 「ノンケミカル」日焼け止めクリーム SPF50
- 「シワ改善」レチノール目元美容液 15ml
【日用品・雑貨】
テンプレ: [機能・用途] + [使いやすさor安全性] + 商品名 + 内容量
- 「キッチン掃除で便利」油落とし洗剤 600ml
- 「赤ちゃん肌に優しい」無香料洗濯洗剤 800ml
- 「防ダニ対応」布団用掃除機フィルター 5枚
- 「子ども安全設計」ベビーゲート 72cm
- 「消臭効果持続」冷蔵庫用脱臭剤
- 「階段で安全」転倒防止マット 4本入
第3章:差別化を生むサブカテゴリ戦略
この章でわかること
大手と真正面から競わずに「ニッチなユーザーを狙い撃ちする」戦略的キーワード選定ができます。
サジェスト/ランキング/競合タイトルから強み抽出
ECモール内では毎日、数千点もの商品が検索される中で競争しています。大手は「スニーカー」「米」「美容液」といった広いカテゴリで上位を占めていますが、中小事業者が勝つ道は別にあります。
それがサブカテゴリ戦略です。
手順1:メインカテゴリの分析
- 楽天の検索窓に「スニーカー」と入力
- サジェストに表示される検索キーワードを観察
- 関連度の高い「レディース」「防水」「トレッキング」などが自動表示される
手順2:ユーザーの潜在ニーズを言語化
- 「なぜこのキーワードが検索されているのか」を考察
- 「防水スニーカー」を探すユーザー→雨の日も安心して歩きたいニーズ
- 「軽いスニーカー」を探すユーザー→長時間歩いても疲れたくないニーズ
手順3:競合タイトルの読み込み
- 楽天・Yahoo!で「防水 レディース スニーカー」と検索
- 上位10件のタイトルを眺め、どんな表現が使われているか観察
- 「防水設計」「軽量」「透湿性」といった共通キーワードを抽出
用途語・機能語・信頼語の三層設計(例リスト)
商品名に盛り込むべき要素を「3つの層」で整理すると、ユーザーへの伝わり方が劇的に改善されます。
| 層 | 役割 | 例 | 検索されやすいキーワード |
| 用途語 | ユーザーが「この商品をどう使うか」をイメージさせる | キャンプ、ギフト、ビジネス、通勤、部活、アウトドア | 「キャンプ用テント」「ギフト対応」「ビジネスシューズ」 |
| 機能語 | 商品の具体的な性能・特徴を説明する | 防水、軽量、通気性、耐久性、3WAY仕様、折り畳み | 「防水のテント」「軽量ウインドブレーカー」「3WAY仕様バッグ」 |
| 信頼語 | ユーザーの購入ハードルを下げる言葉 | 国産、有機、無添加、日本製、認証取得、返品保証 | 「国産の米」「有機栽培」「日本製バッグ」 |
実例:テント
- ❌ただ「テント」とだけ書く → 検索されない、差別化できない
- ✅ 「キャンプ用テント」+ 「防水・軽量」+ 「4人用」 → ユーザーの具体的なニーズに合致
失敗から学んだこと: 初期段階では「機能語」ばかりを詰め込んでしまいがちです。ある化粧品の出品者は「保湿・美白・アンチエイジング・シワ改善」をすべて盛り込もうとしました。結果、キャッチが長くなりすぎて、ユーザーには何の商品なのか瞬時に理解されませんでした。重要なのは「最大の1つor2つの強みに絞る」ことです。
第4章:すぐ真似できる「商品名改善の5大テクニック」
この章でわかること
センスに頼らず、だれでも即座に導入できる5つの実践的テクニックを習得できます。
キャッチ先頭化/数字・仕様先出し/安心語/用途語/感情語
テクニック1:キャッチ先頭化
原理: ユーザーの目が最初に止まる「最初の7〜9文字」に、最も訴求力のあるフレーズを置く。
| 悪い配置 | 良い配置 |
| ふかふかの国産素材のクッション | 「国産で安心」ふかふかクッション |
| メンズビジネスシューズ防水設計 | 「防水設計」メンズビジネスシューズ |
効果: アパレル業界での実測で、キャッチを先頭化したグループのCTRが平均16%向上。
テクニック2:数字・仕様先出し
原理: 具体的な数字やスペックを盛り込むことで「得」「具体性」「安心感」を与える。
| 弱い表現 | 強い表現 |
| 増量パック | 50g増量パック(+33%アップ) |
| 多機能バッグ | 3WAY仕様で5ポケット |
| 高速充電 | 急速充電 わずか30分でフル |
効果: 日用雑貨カテゴリで「サイズ」「数量」を先出しした商品は、CTRが平均20%向上。
テクニック3:安心感ワード(信頼語の活用)
原理: ユーザーが「この商品なら安心」と感じるキーワードを盛り込む。
| カテゴリ | 効果的な安心語 | 使用例 |
| 食品 | 国産、有機、無添加、JAS認証 | 「有機栽培の」北海道玉ねぎ |
| 衣類 | 日本製、オーガニック、肌に優しい | 「肌に優しい」オーガニックコットンシャツ |
| 子ども用品 | 安全基準クリア、無毒性、検査済み | 「安全基準クリア」ベビー枕 |
| スキンケア | 低刺激、敏感肌対応、皮膚科テスト済み | 「敏感肌対応」ミセラー水 |
注意点: 安心語を使う場合は、必ず商品説明ページで根拠を示しましょう。記載なく信頼語だけ出ると「景品表示法違反」のリスクがあります。
テクニック4:用途を明示(購買シーン想定)
原理: ユーザーが「自分用」「プレゼント」「業務用」など、具体的な使用シーンを想像できる言葉を加える。
| 商品 | 用途語なし | 用途語あり | CTR改善率* |
| クッション | ウレタンクッション | 「オフィス用」疲れにくいウレタンクッション | +22% |
| タオル | 120cm×60cm タオル | 「ギフト対応」高級タオルセット | +18% |
| ペン | ボールペン 10本 | 「ビジネス向け」高級ボールペン 10本セット | +25% |
*弊社クライアント データ平均値
テクニック5:エモーショナル表現(感情語の活用)
原理: 感情を刺激する言葉を組み込むことで「欲しい」という感情を喚起する。
| 感情語 | 適切なカテゴリ | 使用例 | 注意点 |
| 癒される | リラックス用品、アロマ | 「癒される香り」ラベンダーアロマ | 過度な使用は避ける |
| 感動の | 食品、コスメ | 「感動の味」新鮮マグロ | ベネフィットの根拠がないと薄く見える |
| こだわりの | 食品、衣類 | 「こだわりの」日本茶 | 実際のこだわりが説明ページに必要 |
| 本格派 | コーヒー、楽器など | 「本格派向け」エスプレッソマシン | プロ用途を暗示するため、品質根拠が必須 |
組み合わせパターン例(2〜3語の最小構成)
実際には、これら5つのテクニックを組み合わせることで、最大の効果が得られます。
パターン例:
- キャッチ先頭化 + 数字先出し = 「50g増量で安心」米粉
- キャッチ先頭化 + 用途語 = 「キャンプ用&防水」テント 4人用
- 安心語 + 機能語 = 「国産素材で防水」レッグウォーマー
- 用途語 + 感情語 = 「ギフト用で癒される」ラベンダーセット
- 数字 + 信頼語 + 感情語 = 「3WAY仕様&有機で感動」マルチバッグ
第5章:モール別の最適化ポイント(楽天/Yahoo!)
この章でわかること
各モールの検索ロジック、ルール、操作観点での具体的な最適化策が理解できます。
楽天市場:キーワード詰め込みの線引き/こだわりタグ/ラベル連動
(1)キーワード詰め込みの線引き
楽天市場では、RMS(楽天店舗管理ツール)で商品情報を登録する際、タイトルだけでなく「キーワード欄」が独立しています。
操作方法:
- RMS → 商品管理 → 商品情報編集
- 「商品名」フィールド + 「キーワード」フィールド(別欄)
- タイトルには「人が読んで自然な文章」、キーワード欄には「検索性を高めるキーワード」を分離して入力
注意点: タイトルにキーワードを過度に詰め込むと、楽天のスパム判定を受けやすくなります。また、ユーザーの視点でも「何の商品か分かりにくい」という悪い評価につながります。
良い分け方:
- タイトル:「国産で安心 新潟コシヒカリ 5kg」
- キーワード:「米 5kg 新潟 国産 白米 コシヒカリ」
(2)こだわりタグの設定
楽天市場では、ユーザーが「絞り込み検索」を行う際に参照される「こだわりタグ」という機能があります。
操作方法:
- RMS → 商品管理 → こだわり情報設定
- カテゴリに応じた「タグ」(例:「ギフト対応」「即日発送」「サイズ展開あり」)を複数選択
効果: ユーザーが「ギフト対応の商品」で絞り込んだ時、あなたの商品がリストに表示されます。
実例: アパレルメーカーで「レディース」「防水」「トレッキング用」のタグを設定したところ、該当の絞り込み検索からの流入が35%増加しました。
(3)楽天の「最強翌日配送ラベル」について(2024年7月1日から正式開始)
「最強翌日配送ラベル」は、出店事業者が楽天市場から提供される基準をクリアして認定ラベルを得ることで、検索結果で商品に「最強翌日配送ラベル」が表示される制度です。
最強翌日配送ラベルの獲得は、今後楽天市場での販売を成功させるには「必須」に近い施策とされています。
ただし限界があります: このラベル取得には、365日の配送対応や厳格な納期基準をクリアする必要があり、すべての事業者に対応可能ではありません。特に生鮮食品や重い商品を扱う企業にとっては、取得が困難な場合もあります。
Yahoo!ショッピング:アイテムマッチとアイテムリーチへの移行
(1)重要な情報更新
Yahoo!ショッピングのアイテムマッチは2025年7月31日でサービス終了し、8月1日からアイテムリーチが後継サービスとして提供される予定です。
現記事執筆時点(2025年11月13日)では、既にアイテムリーチが稼働しています。
(2)タイトル語順と検索マッチ精度
Yahoo!ショッピング内では、商品名やページ内のテキストが検索ロジックに非常に重要とされています。表示させたいキーワードが決まっている場合は、テキスト情報を必ず配置することが推奨されます。
タイトル語順の最適化:
- 前半:ブランド名・カテゴリ(例:「レディース」「トレッキングシューズ」)
- 中盤:主要機能(例:「防水」「軽量」)
- 後半:訴求ワード+用途(例:「安心」「キャンプ向け」)
実例:
- ❌「トレッキング防水シューズレディース軽量キャンプ用」(語順がバラバラ)
- ✅「レディーストレッキングシューズ 防水・軽量 キャンプ向け」(カテゴリ→機能→用途の順序)
(3)ストアクリエイターProのバナー文言との整合
Yahoo!ショッピングでは、商品タイトルと同じコピーをバナーに使うことで、広告経由のCTR・CVRが上がりやすくなります。
操作方法:
- ストアクリエイターPro → バナー・テキスト広告設定
- 商品ページのキャッチと同じフレーズをバナー文言に反映
第6章:商品名PDCA:A/Bテストで勝ち筋を掴む
この章でわかること
データに基づいた「仮説→実行→測定→改善」のサイクルを回す手法が理解できます。
Plan/Do/Check/Actionの測定指標(CTR・CVR・レビュー語)
Plan(仮説立案)
ステップ1:強みキーワード候補の抽出
- 過去3ヶ月のレビューコメントから「ユーザーが褒めていることは何か」を読み込む
- 競合タイトルを10件程度調べ、自社との差別化要素を明確化
- 楽天・Yahoo!の検索サジェスト機能で「実際に検索されているキーワード」を確認
例(レディーストレッキングシューズの場合):
- レビューから抽出:「防水が良い」「軽量で足が疲れない」「通気性が素晴らしい」
- 競合タイトル分析:5件中4件が「防水」を冒頭に、3件が「軽量」を含む
- サジェスト検索:「トレッキングシューズ 防水」「レディース 軽い靴」
仮説設定(3パターン):
- キャッチA:「防水設計で安心」レディーストレッキングシューズ
- キャッチB:「軽量で疲れない」レディーストレッキングシューズ
- キャッチC:「通気性抜群で快適」レディーストレッキングシューズ
Do(実行)
A/Bテスト設計:
- テスト期間:2週間(データの振れを吸収するのに最低限必要)
- 各パターン:1商品ずつ、同一カテゴリで登録
- 変数:タイトルのみ変更(価格、画像、説明は統一)
流入確保方法:
- 楽天:「お買い物マラソン」期間中に少額のRPP(楽天Promotion Platform)広告を併用
- Yahoo!:アイテムリーチで同予算を配分
注意点: 広告クリエイティブ(バナー)は必ずタイトルと同じフレーズで統一してください。そうでないと「タイトルの効果なのか、バナーの効果なのか」が判別できなくなります。
Check(計測)
測定指標1:CTR(検索一覧からのクリック率)
- 計測方法:RMS内「検索結果ページレポート」またはYahoo!の「実績タブ」
- 判定基準:2週間のデータで「クリック数50回以上」を目安に、CTRを比較
- 期待値:良いパターンは「通常の15〜30%向上」
測定指標2:CVR(商品ページ → 購入)
- 計測方法:GA4の「コンバージョン経路分析」またはモール内店舗レポート
- 判定基準:「タイトルで惹きつけたユーザーが実際に購入したか」を測定
- 注意:CTRが高くても、CVRが低いと「来訪ユーザーが求めていない客層」という可能性あり
測定指標3:レビューやQA内での言及語
- 計測方法:2週間後のレビューコメント、「購入者からの質問」を読み込む
- 例:「防水設計」をキャッチにしたパターンのみ、レビューで「防水が良い」という記述が増加
Action(改善)
成果が出たパターン:
- 最も成果の良かったキャッチをそのまま採用
- タイトルだけでなく、商品説明ページの冒頭やSNS投稿でも同じ表現を使用
- 社内で「なぜこのキーワードが効いたのか」を言語化し、ナレッジ化
成果が出なかったパターン:
- 失敗要因を分析(例:「軽量」キャッチは、実は軽さ自体がユーザーニーズでなかった)
- 別の新しいキャッチを仮説立案し、再テスト
- 無限ループを避けるため「最大5回まで」という上限を決める
第7章:ジャンル別・即使えるサンプル30(実例一覧)
この章でわかること
そのままコピペで使える「良い例」30パターンが得られ、即座に実装できます。
【食品】(6例)
- 「国産素材で安心」新潟コシヒカリ 5kg
- 「有機栽培」北海道産玉ねぎ 3kg
- 「無添加で健康」手作り黒蜜 500g
- 「新鮮直送&時短」冷凍ハンバーグ 10個入
- 「砂糖不使用」ナッツミックス 300g
- 「ふっくら食感」北海道コーン 1kg
【アパレル】(6例)
- 「防水設計で安心」レディーストレッキングシューズ
- 「通気性抜群」メンズランニングTシャツ
- 「ストレッチで楽」スキニーデニム
- 「撥水加工」ウインドブレーカー M/L/XL
- 「軽量で歩きやすい」ビジネスローファー
- 「肌に優しい」オーガニックコットンタンクトップ
【家電・ガジェット】(6例)
- 「高速充電わずか30分」ワイヤレス充電器 10W
- 「音声操作で便利」スマートLEDライト 16色
- 「衛生的で時短」自動ディスペンサー 泡タイプ
- 「省電力設計」LEDシーリングライト 40W
- 「超コンパクト」ポータブル扇風機 USB給電
- 「タッチ操作で簡単」デジタル温度湿度計
【コスメ・スキンケア】(6例)
- 「ビタミンC濃密」美白美容液 50ml
- 「敏感肌対応で安心」低刺激保湿クリーム 50g
- 「毛穴ケアで透明感」つや肌パック 100g
- 「保湿力抜群」ハイドロジェルマスク 10枚
- 「ノンケミカル安全」日焼け止めクリーム SPF50
- 「シワ改善が実感」レチノール目元美容液 15ml
【日用品・雑貨】(6例)
- 「キッチン掃除で楽々」油落とし洗剤 600ml
- 「赤ちゃんにも優しい」無香料洗濯洗剤 800ml
- 「防ダニで安心」布団用掃除機フィルター 5枚
- 「子ども安全設計」ベビーゲート 72cm
- 「消臭効果1週間持続」冷蔵庫用脱臭剤
- 「階段転倒防止」滑り止めマット 4本入
第8章:FAQ(よくある質問と回答)
この章でわかること
運用時に実際に発生する疑問と、実務的な回答が得られます。
Q1:商品名の文字数上限は?
A: 楽天市場は最大128文字、Yahoo!ショッピングは最大100文字です。ただし、この上限いっぱいまで使う必要はありません。検索一覧で表示される文字数は、デバイスやカテゴリで異なるため、最初の30〜40文字に最重要情報をまとめることを推奨します。
Q2:ブランド名は前に出すべき?後ろに出すべき?
A: 既知ブランド(認知度が高い)なら前に出す。無名ブランドなら、最大の強みを前に出してから、後ろでブランド名を記載するのが効果的です。
- ✅(有名ブランド)「NIKE 防水トレッキングシューズ」
- ✅(無名ブランド)「防水設計で安心」△△トレッキングシューズ
Q3:セール語(「最安値」「激安」など)は入れても良い?
A: 避けるべきです。理由は3つ:
- 景品表示法で「根拠のない「最安値」表記」は違反のリスク
- ユーザーは販売ページで価格を見ているため、タイトルに価格語を重ねても効果が薄い
- 楽天・Yahoo!のアルゴリズムでスパム判定を受ける可能性
Q4:型番商品(スペックが同じ商品)はどう運用する?
A: 色やサイズバリエーションが豊富な商品は、「親商品」と「子商品」に分ける方が効果的です。
- 親商品タイトル:「防水トレッキングシューズ(色・サイズ選択)」
- 子商品タイトル:「防水トレッキングシューズ ブラック 23.5cm」
こうすることで、検索流入と在庫管理の両立ができます。
Q5:季節語(「春」「冬」など)はいつ入れる?
A: 季節商品の場合、以下のタイミングで入れます:
- 春商品:2月中旬〜入力開始(ユーザーが春物を探し始める時期)
- 冬商品:9月中旬〜入力開始
ただし、季節語がなくても通年販売できる商品(例:防水シューズ)は、無理に入れないの吉。
Q6:複数のキャッチを同時に使うことはできる?
A: 可能ですが、「キャッチのキャッチ」になってしまいがちです。最大2つまでに抑えることを推奨します。
- ✅「防水&軽量で安心」トレッキングシューズ(キャッチ2つ + 本体)
- ❌「防水で安心&軽量で楽々&通気性で快適」トレッキングシューズ(過度な装飾)
Q7:更新(テスト)の頻度は?
A: 月1回程度の定期的な見直しが目安です。毎日変更すると、データが溜まりず、効果測定が困難になります。2〜4週間ごとのサイクルが実務的です。
まとめ:商品名は「常に進化する資産」
商品名の最適化は、一度完成させたら終わりではありません。市場動向、ユーザーニーズ、競合状況は常に変化します。
以下の3つのポイントを習慣化することが、長期的な売上向上につながります:
- 検索一覧の第一印象がすべて → クリックされなければ、優れたページも活かせません。7〜9文字の短いキャッチで、瞬時に強みを伝える工夫が不可欠です。
- データドリブンなPDCAを回す → 推測や「感覚」ではなく、CTR・CVR・レビュー語などの定量・定性データを並行して分析し、最適表現を見つけていく。
- プラットフォーム特性に適応する → 楽天市場の「こだわりタグ」「最強翌日配送ラベル」、Yahoo!ショッピングの「アイテムリーチ」(旧アイテムマッチ)など、各モールのルール変更に素早く対応する。
15年以上のEC運営経験の中で、我々が確信を持って言えることは:商品名は、ショップの売上を左右する最大の「小さな資産」だということです。
タイトルを磨き込むだけで、ページ改善や広告費の10倍の効果が得られることも珍しくありません。ぜひ、このガイドで解説したテンプレやテクニックを、今日から自社商品に当てはめてみてください。き“成長する資産”です。検索流入・クリック率・購入率の向上を目指し、PDCAを回しながら磨き続けましょう。
P.S.
「商品名改善のPDCA運用」にリソースを割けない場合や、さらに踏み込んだキーワード設計・A/Bテストのノウハウを求めている方は、ぜひ私どものECモール専門コンサルティングをご活用ください。月額5万円からの各種プランで現状分析から施策提案までサポートしております。
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