はじめに
EC業務の効率化と配送品質の向上は、楽天市場で成果を上げるうえで欠かせないテーマです。特に注目されているのが、楽天が提供する物流サービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」です。本記事では、RSLの基本概要からメリット・デメリット、料金体系、導入の流れまでを分かりやすく解説し、導入検討時に役立つ情報を網羅的にお届けします。
目次
- 楽天スーパーロジスティクス(RSL)とは?
- RSLの主なメリット
- 利用時に注意すべきポイント
- 料金体系のしくみ
- Amazon FBAとの違い
- 導入ステップと必要な準備
- まとめ
1. 楽天スーパーロジスティクス(RSL)とは?
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、楽天市場出店店舗向けに提供されている公式の物流代行サービスです。商品の入荷から保管、ピッキング、梱包、出荷までを一括で代行してくれるため、店舗運営者は販売やプロモーションなどの本業に集中しやすくなります。
また、RSLは楽天市場のアルゴリズムや配送ラベル施策(例:最強配送マーク)にも最適化されており、楽天内での評価向上や露出拡大にもつながる可能性があります。
2. RSLの主なメリット
2.1 物流コストの変動性に対応可能
自社倉庫では、売上の増減に関わらず固定費(家賃、人件費など)が発生しますが、RSLは従量課金制で、出荷量や保管量に応じてコストが変動するため、売上に合わせた柔軟なコストコントロールが可能です。
さらに、全国一律送料(例:100サイズ330円など)を採用しており、特に遠方地域への配送コストを抑えられる点も魅力です。
2.2 365日発送&翌日配送対応
RSLは年中無休で出荷対応しており、15:30までの指示で当日発送・翌日配送が可能。これにより、楽天市場の”最強配送”ラベル取得にも貢献し、ユーザーの信頼を得やすくなります。
土日祝や繁忙期も対応可能なため、ユーザー満足度とリピート率向上に直結します。
2.3 専任担当による運営支援
RSLを利用することで、物流だけでなく在庫管理やキャンペーン対応、楽天の販促施策(スーパーSALEやお買い物マラソンなど)に関する相談もできる専任担当がつきます。
これにより、単なる倉庫代行以上に、楽天市場での成長を後押しするパートナーとして活用できるのがRSLの強みです。
3. 利用時に注意すべきポイント
3.1 取扱不可商品の存在
RSLでは、以下のような商品は取り扱い対象外となる場合があります:
- サイズ規格外(3辺合計160cm以上、重量25kg以上)
- 冷蔵・冷凍・温度管理が必要な商品
- 法規制対象商品(医薬品、酒類、特定の化粧品など)
また、空調設備がないため高温・低温に弱い商品は適していません。事前に取扱条件を確認しましょう。
3.2 システム連携が必要
RSLと自社のEC管理システムを連携する必要があります。これには、受注管理・在庫同期・出荷指示などを自動化する仕組みの導入が必要で、一定の初期設定やシステム移行が発生します。
複数モール展開している店舗では、既存のフルフィルメントや在庫連携の仕組みとの整合性にも注意が必要です。
4. RSLの料金体系のしくみ
RSLの費用は主に以下の4項目で構成されています:
4.1 出荷作業費・資材料・配送料
- 出荷作業費:ピッキング、梱包などに対して発生
- 資材料:梱包のやり方やサイズによって変動
- 配送料:100サイズで全国一律599円(税込)など(サイズにより変動。詳しい料金は要見積もり)
※参考価格:
サイズ | 配送料(税込) |
100サイズ | 599円 |
120サイズ | 723円 |
140サイズ | 880円 |
160サイズ | 1,047円 |
4.2 保管料
月額保管料は、以下の計算式で算出されます:
7.5円 × (商品体積㎤ ÷ 1,000) × (保管日数 ÷ 当月日数)
在庫の削減や回転率の改善が、保管料のコスト最適化につながります。RSLではリアルタイムで在庫確認できる管理システムも用意されています。
5. Amazon FBAとの違い
楽天RSLとAmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)との違いは以下の通りです:
項目 | 楽天RSL | Amazon FBA |
対象モール | 楽天市場専用 | Amazon専用(他モール一部可) |
配送ラベル施策 | 最強配送対象 | プライム配送対象 |
出荷対応日 | 365日 | 土日・祝も可(倉庫により異なる) |
サポート体制 | 専任担当がつく | カスタマーサポート中心 |
初期導入難易度 | やや高め(連携作業あり) | 比較的簡易 |
出店モールの構成や自社のオペレーションに合ったサービスを選びましょう。
6. 導入ステップと準備項目
6.1 導入までの流れ
- 楽天RSLに事前相談・ヒアリング
- 見積もり取得・申込手続き
- 契約書締結
- システム連携・在庫登録
- 倉庫納品・運用開始
導入前には、商品仕様(サイズ・重量・JANコードなど)の正確なデータ提出が必要です。
6.2 スムーズな移行に向けた準備
- 自社の在庫数・物流フローの把握
- 使用中の受注・在庫管理システムの確認
- 導入タイミングを繁忙期とずらす(運用安定化のため)
倉庫移管時には一時的な商品販売停止や在庫数調整が必要になるため、スケジュール管理が重要です。
7. まとめ
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、楽天市場出店者にとって、物流業務の外注と配送クオリティの向上を両立できる注目のサービスです。
- 柔軟な料金体系でコスト最適化が可能
- 翌日配送・年中無休出荷でCVR向上に貢献
- 専任サポートによる売上向上支援も受けられる
一方で、商品制限やシステム連携など、導入前に検討すべき点も多いため、自社の運営体制や成長ステージに応じて導入を判断しましょう。
RSLの導入によって、楽天市場での売上アップと業務効率化を同時に実現することが可能です。