はじめに
楽天市場での売上拡大を目指す出店者にとって、広告施策は欠かせない戦略のひとつです。2024年5月、楽天から新たな広告メニュー「RPP-EXP(アールピーピー・エクスパンション)」が登場しました。この広告は、従来の楽天市場内に限定された検索連動型広告「RPP広告」とは異なり、Googleなど楽天グループ外のメディアにも広告が掲載可能という大きな特徴があります。
本記事では、RPP-EXPの仕組みや掲載先、利用のメリット、RPPとの違い、導入手順、さらにはTDA-EXPとの比較まで、出店者の視点からわかりやすく解説します。
RPP-EXPとは?楽天市場外への広告拡張を実現する新施策
「RPP-EXP」は、楽天が2024年5月7日にリリースした新しい広告フォーマットで、正式には「検索連動型広告 – エクスパンション」と呼ばれます。
従来のRPP広告が楽天市場内に表示されるのに対し、RPP-EXPは楽天市場外、たとえばGoogleのショッピングタブや画像検索結果にも広告を表示できる点が大きな進化ポイントです。
▷ どのように広告が配信される?
楽天の店舗運営システム「RMS」に登録された商品情報の中から、ユーザーの検索キーワードに関連性が高いものを自動抽出し、広告として配信されます。
出店者が個別にバナーや広告原稿を作る必要はなく、RMSに登録済みの商品データを活用して、自動的に広告が生成・掲載されます。
掲載先はGoogle中心!楽天市場外での集客が可能に
RPP-EXP広告は、主に以下のような楽天市場外のチャネルで広告掲載が可能です。
- Googleショッピングタブ
- Google画像検索結果
- Googleの提携Webサイト(GDN:Google Display Network)
これまで楽天市場に訪問しなかった層にもリーチできるため、「楽天以外での認知拡大」や「新たな顧客獲得」が期待されます。
活用する3つのメリット|RPP-EXP導入で変わる販促効果
1. 楽天外への認知拡大
楽天市場内だけで販売していると、楽天を使わないユーザーには認知されにくいという課題があります。RPP-EXPを導入すれば、Google検索経由で商品を知ってもらえる機会が格段に増えます。
とくに「イベント限定商品」「季節商材」「新商品」などは、Google経由のトレンド検索と相性がよく、爆発的なアクセス増につながるケースも。
2. 楽天内と外のデータ統合で効果検証がしやすい
これまでは、出店者が自社でGoogle広告を出稿する場合、楽天経由のコンバージョンが見えず、広告費の回収ができているか不透明でした。
RPP-EXPでは、楽天が仲介する形でGoogle広告と連携しているため、ある程度のパフォーマンスデータ(キャンペーン単位)が取得可能になっています。
これは、費用対効果(ROAS)を検証する上で大きな前進です。
3. イベント商品や期間限定品との相性が良い
RPP-EXPは、アクセスの波を意識した短期プロモーションにも適しています。たとえば、母の日やバレンタイン、季節限定ギフトなどを取り扱っているショップにとって、Google経由でより広いオーディエンスに届けることができる点は大きな魅力です。
これにより、「楽天内で埋もれがちな期間限定品」も、楽天外からの流入により売上の底上げが見込めます。
RPP広告とRPP-EXPの違いを比較
項目 | RPP-EXP | RPP広告 |
掲載範囲 | 楽天外(Google等) | 楽天市場内 |
キーワード登録 | 不可(自動連携) | 可 |
レポート機能 | キャンペーン単位のみ | 商品別・キーワード別も可能 |
入札方式 | CPC/ROAS(条件あり) | CPC |
掲載画像・文言 | RMSの商品情報を自動反映 | 同様 |
RPP-EXPは機能がシンプルでありながら、楽天市場外に広告を出せるという明確な強みがあります。一方で、細かなキーワード設定や商品単位の分析には向いていないため、目的に応じてRPP広告と併用するのが効果的です。
TDA-EXPとの違い|2つの広告を使い分けよう
楽天にはもう一つ、楽天外へ広告を出稿できるサービス「TDA-EXP」があります。両者の違いは主に掲載先です。
項目 | RPP-EXP | TDA-EXP |
掲載先 | Google検索、画像、GDN | Facebook、Instagram、Metaネットワーク |
出稿方式 | 自動連携 | バナー+ターゲティング |
SNS中心のTDA-EXPと、検索連動型のRPP-EXPを併用することで、購買ファネルの異なるユーザー層に対して幅広くアプローチできるのが理想的です。
RPP-EXPの設定手順|RMSから簡単に登録可能
RPP-EXPは、楽天RMS(店舗運営システム)上から手軽に登録・設定が可能です。
▶ 設定ステップ概要
- RMSにログイン →「広告・アフィリエイト」→「検索連動型広告(エクスパンション)」を選択
- 新規キャンペーンを登録
- キャンペーン名・広告予算・CPC設定などを入力
- 広告ステータスを「有効」に設定
RMSに登録された商品データをそのまま使えるため、面倒なクリエイティブ作業やバナー制作などは不要です。
費用体系と注意点|クリック課金型・相場変動に注意
RPP-EXPはクリック課金型(CPC)で、広告が表示されただけでは課金されません。
クリック単価(例:20円〜)は出店者が任意に設定でき、予算上限(月額)も指定可能です。ただし、競合や時期により相場が変動するため、定期的な見直しが必要です。
また、「ROAS重視(自動入札)」を選べるのは、過去30日間に広告経由の売上が一定以上ある店舗に限定されており、新規導入時は「クリック重視(CPC設定)」のみ利用可能です。
まとめ|RPP-EXPを活用して楽天市場の外から集客を広げよう
RPP-EXPは、楽天市場に出店している店舗にとって、新たな顧客接点を開拓できる強力な広告ツールです。
楽天市場外、特にGoogleへの広告出稿が可能となったことで、今までリーチできなかった潜在層へのアプローチが現実のものとなりました。
✅ 活用のポイント
- 新規顧客の認知獲得に最適
- RMS連携で手間なく広告運用
- RPP・TDAとの併用で相乗効果
今後の機能強化やレポート機能の拡充にも注目しつつ、まずは小規模からでも導入を始めてみましょう。楽天市場の成長戦略の一環として、RPP-EXPを積極的に活用してみてください。