【2025年最新版】楽天市場の定期購入とは?仕組み・設定方法・売上アップ戦略を徹底解説

はじめに:楽天市場で”定期購入”が注目される理由

楽天市場で店舗を運営されている事業者様の多くが、以下のような課題に直面されています。

「新規顧客は獲得できるものの、リピーターが増えない」「月ごとの売上変動が大きく、予測が困難」「顧客生涯価値(LTV)を向上させたい」

これらは、出店者に共通する重要な経営課題です。当社のコンサルティング経験から申し上げますと、この課題に対する有効な施策の一つが「定期購入」の導入です。

2025年3月、楽天市場は定期購入サービスを大規模にリニューアルしました。従来の課題であった高額な手数料、複雑な設定、ユーザーの心理的抵抗感が大きく改善され、定期購入導入の好機が到来しています。

本記事では、15年以上のEC運営経験に基づき、定期購入の仕組みから戦略的な運用まで、実務レベルで解説します。

定期購入機能とは?仕組みと導入条件

楽天市場における定期購入の概要

楽天市場の定期購入は、ユーザーが一度申し込むことで、指定したサイクル(毎月、隔月など)で商品が自動的に届くサービスです。通常購入とは異なり、ユーザーは毎回の注文手続きを省略でき、店舗側は継続的な売上を見込むことができます。

2025年3月のリニューアル以降、月額5,000円の利用料が無料化され、初期参入障壁が大きく下がったことが、導入を検討される出店者が増加している主な理由です。

対象ジャンル・商品・店舗の条件

定期購入に適した商品には、以下のような特徴があります。

最適な商品カテゴリ:

  • サプリメント・化粧品・飲料・日用品など、定期的に購入する必要がある商材
  • 消耗品(洗剤、シャンプー、ティッシュペーパーなど)
  • 食品・飲料(ミネラルウォーター、コーヒー、健康食品など)

条件が整えば、ほぼすべての店舗で導入が可能です。ただし、酒類・書籍・タバコは対象外となりますので、ご注意ください。

定期購入のメリットと導入効果

店舗側のメリット:LTV向上・売上安定化

1. 売上の予測可能性が高まる

定期購入契約が成立すれば、契約者が解約しない限り毎月自動的に売上が発生します。これにより、月次売上予測の精度が向上し、仕入れや在庫計画の効率化が実現できます。当社が支援した食品店の事例では、定期購入導入後6ヶ月で在庫管理コストを約8%削減できました。

2. 顧客生涯価値(LTV)が向上

定期購入ユーザーは、単発購入ユーザーと比較して購入回数・累計購入金額が高くなる傾向があります。初回割引で獲得した顧客が12ヶ月継続した場合、LTVは大幅に拡大します。

3. 他商品のアップセル・クロスセル機会が増加

定期購入により継続的な顧客接点を持つことで、メルマガやLINEを活用した関連商品の提案が容易になります。結果として、顧客単価の向上につながる可能性があります。

ユーザー側のメリット:手間の削減・継続購入の利便性

ユーザーにとっても定期購入には以下のようなメリットがあります。

  • 買い忘れ防止: 日常的に必要な商品を自動で届けてもらえる利便性
  • 割引特典: 通常購入と比較して5%程度の割引が適用される場合が多い
  • 柔軟な変更: 配送スケジュールの変更が可能

定期購入設定の手順と運用の流れ

RMSでの設定方法

ステップ1:定期購入機能の申請

2025年3月以降、定期購入は無料で利用可能となりました。以前は月額5,000円の利用料と2%の手数料が必要でしたが、これらが廃止されています。

設定手順:

  1. RMSにログイン
  2. 「店舗様向け情報・サービス」を選択
  3. 「オプション機能利用申込・解約」→「定期購入・頒布会購入」を選択
  4. 申込を完了(通常1営業日以内に利用可能)

ステップ2:定期購入商品の登録

申請承認後、RMSの商品管理画面に「定期商品登録」オプションが表示されます。以下の項目を設定します。

  • 初回価格と2回目以降価格の設定
  • お届けサイクル(毎月、2ヶ月ごと、週単位など)
  • ユーザーによるサイクル選択の可否
  • 定期購入用の説明文・バナー設定

重要: カタログIDの入力が必須項目となっていますので、必ず設定してください。

定期購入ページの作り方・注意点

通常商品と定期商品の併売時の注意

同一商品ページに「通常購入ボタン」と「定期購入ボタン」の両方を設置すると、ユーザーに混乱を招く可能性があります。推奨される方法は以下の通りです。

  • 専用ページの作成: 定期購入専用ページを別途作成し、「定期購入専用」であることを明確に表記
  • バナー誘導: トップページやカテゴリページから、定期購入ページへの導線を設計

顧客管理・在庫・配送との連携

在庫管理

定期購入では購入タイミングが一定になるため、在庫不足のタイミングを正確に予測できます。その結果、必要量のみを仕入れる効率的な在庫計画が可能となり、保管コストの削減につながります。

配送・物流

定期購入の配送タイミングが一定のため、物流パートナーとの調整がスムーズになります。ただし、在庫切れが発生した場合、定期購入顧客への信頼を損なうリスクがあるため、在庫シミュレーションは厳密に実施する必要があります。

売上を伸ばすための運用戦略

初回割引・送料無料など導入ハードルを下げる工夫

定期購入の申し込み率を高めるには、初回限定の特典設計が重要です。

効果的な初回特典例:

  • 初回15~20%OFF
  • 初回送料無料
  • 定期購入限定で5%以上の割引(楽天が推奨)
  • プレゼント同梱(サンプル品、ノベルティなど)
  • ポイント5倍や10倍(初回のみ)

ただし、セール時に通常商品の価格が定期購入より安価になると、ユーザーが定期購入のメリットを感じられず、解約増加につながる可能性があります。セール価格との整合性には十分ご注意ください。

継続率を上げるリマインド設計(メール・LINE連携)

次回配送前のリマインド

楽天は、次回お届け予定日の13日前に「お届け内容のお知らせ」メールを自動配信します。これに加えて、店舗独自のメルマガやLINE公式アカウントを活用した事前告知が有効です。

継続促進施策:

  • 「次回配送まであと〇日」というカウントダウンメール
  • 定期購入者向け限定の新商品情報提供
  • サンキューメール・フォローアップ
  • 解約予防のための「次回から変更可能」という案内

他施策との組み合わせ(RPP広告・クーポン・レビュー施策)

定期購入は、他施策との相乗効果により最大の効果を発揮します。

RPP広告×定期購入

RPP広告で「定期購入商品」を積極的に露出させることで、新規顧客獲得を加速できます。

クーポン×定期購入

2025年3月時点ではクーポンが定期購入に非対応ですが、今後の仕様変更の可能性があるため、最新情報をご確認ください。

レビュー・口コミ×定期購入

定期購入ユーザーのレビューは、他のユーザーの信頼獲得に重要な資産です。レビュー投稿者へのサンキュークーポン等で、レビュー獲得を促進されることをお勧めします。

実際の事例から見る定期購入運用のポイント

当社が支援した店舗の事例から、効果的な運用パターンをご紹介します。
(特定を防ぐため、商品ジャンルなどは実際の事例と変更させていただいております。)

事例1:健康食品店における段階的な改善アプローチ

背景と課題

当初、この店舗では初回30%OFFという大幅割引で定期購入を開始しましたが、2回目以降の継続率が58%と低迷していました。初回価格と通常価格の差が大きすぎることが、顧客に心理的な抵抗を生んでいたと考えられます。

改善プロセス

試行錯誤の結果、以下の施策を実施しました。

  1. 初回割引を20%に調整し、2回目以降も10%割引を継続
  2. 配送3日前に「お届け内容確認」のLINEメッセージを送信
  3. 定期購入者限定で、使用方法や健康情報を記載したニュースレターを月1回配信

結果と学び

3ヶ月後、2回目配送時の継続率が58%から72%に改善しました。ただし、6ヶ月継続率は依然として45%程度にとどまっており、長期継続に向けた施策の必要性を認識しています。この事例から、初回の大幅割引は短期的な申込数増加には効果的ですが、継続率とのバランスを慎重に検討する必要があることを学びました。

事例2:化粧品店における解約防止施策の効果

背景と課題

この店舗では、3ヶ月目での解約率が35%と高く、解約理由の分析が必要でした。顧客アンケートの結果、「効果を実感できない」「使い切れずに余ってしまう」という声が多数を占めました。

改善プロセス

解約理由に対応するため、以下の施策を実施しました。

  1. 初回配送時に、効果的な使用方法を記載したガイドブックを同梱
  2. 配送サイクルを「毎月」「45日ごと」「2ヶ月ごと」から選択可能に変更
  3. 2回目配送前に「サイクル変更のご案内」メールを送信し、柔軟な調整が可能であることを周知

結果と学び

施策実施後、3ヶ月目の解約率は35%から26%に改善しました。特に、配送サイクルの柔軟化により、約18%の顧客がサイクル変更を選択し、完全な解約を回避できました。この事例から、画一的な配送サイクルではなく、顧客の使用ペースに合わせた柔軟な設計が継続率向上に有効であることが確認できました。一方で、複数のサイクル管理による運用負荷の増加という新たな課題も認識しています。

注意点と法的留意事項

特商法の表示義務・解約ポリシーの明示

定期購入を扱う上で、特定商取引法(特商法)への対応は必須です。

必須表記項目:

  • 商品代金
  • 送料
  • お届けサイクル
  • 解約・キャンセルポリシー(いつでも解約可能であることを明記)
  • 返品・返金に関するルール

重要: 楽天市場では「〇回縛り」を設定することはできません。ユーザーは1回目の配送を受け取った後、いつでも自由に解約可能です。この点を顧客に明確に伝える必要があります。

消費者トラブルを避ける運用体制

よくあるトラブルと対策:

自動延長によるクレーム

定期購入は24回または1年間で終了しますが、自動延長を設定していない場合、解約と誤解されることがあります。設定時に自動延長の有無を顧客に再確認させるメール送信が有効です。

価格変動へのクレーム

定期購入の価格は直近の価格を反映しており、申込時の金額がそのまま維持されるとは限りません。この点を商品ページに明記し、次回配送予定日の13日前のメールで価格を通知することで、トラブルを防止できます。

カスタマーサポート体制の整備

定期購入ユーザーからの問い合わせ(配送スケジュール変更、一時スキップ、解約など)に対応するため、FAQやチャットボットの整備が重要です。

まとめ:楽天定期購入を”安定収益の柱”に育てる

実装チェックリスト

定期購入の導入・運用を成功させるために、以下をご確認ください。

導入前の準備

  • [ ] 対象商品は定期購入に適しているか(消耗品・リピート商材か)
  • [ ] 初回割引・特典内容は決定しているか
  • [ ] RMS設定の準備(カタログID、サイクル、価格)は完了しているか

設定・運用開始

  • [ ] 定期購入専用ページを作成・公開した
  • [ ] 商品ページに「定期購入の仕組み」を明記した
  • [ ] 特商法表示に「解約はいつでも可能」と記載した
  • [ ] 自動延長設定を確認した

運用・継続

  • [ ] メルマガ・LINE配信体制は整備されているか
  • [ ] 月次の継続率・LTV改善を測定・記録しているか
  • [ ] RPP広告やクーポンとの連携計画はあるか
  • [ ] 顧客からのトラブル・問い合わせに対応する体制があるか

定期購入は、適切に設計・運用することで、店舗の「安定収益の柱」となります。2025年のリニューアルで導入障壁が大きく下がった現在、新規導入または既存施策の改善に着手する好機です。

本記事で紹介したポイントを参考に、定期購入を戦略的に活用し、LTVの向上と売上の安定化を実現してください。ご不明な点や具体的な施策についてのご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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