この記事でわかること
- 景品表示法における「二重価格表示」の基本ルールと違反事例
- 楽天市場独自の「8週間/4週間ルール」の正確な適用方法
- 2024-2025年の最新ガイドラインと行政処分の動向
- 違反を防ぐための実務チェックリストと運用フロー
楽天市場で売上を伸ばすために、セールや割引表示は非常に強力な武器です。しかし、その「価格表示」、本当に大丈夫ですか?
「この価格ならお得だ!」とお客様に感じてもらうための二重価格表示ですが、ルールを正しく理解していないと、意図せず法令違反や楽天市場の規約違反を犯してしまう可能性があります。
ただし正直にお伝えすると、価格表示のルールは解釈が難しく、グレーゾーンも存在します。同じような表示でも、販売実績の状況によって適法・違法が分かれることがあり、「これなら絶対に安全」と断言できるケースは限られています。消費者庁の判断基準も事例ごとに異なるため、完璧な正解を示すことは困難です。
2023年10月にはステルスマーケティング(ステマ)が景品表示法の規制対象となり、2024年以降も消費者保護の動きは年々厳格化しています。違反した場合、課徴金などの重いペナルティが課されるだけでなく、楽天市場からの評価ダウン、最悪の場合は退店処分につながることも。そして何より、お客様からの「信頼」を失うことが最大のダメージとなります。
この記事では、15年以上のEC運営経験と、実際に価格表示で悩んだ経験をもとに、楽天市場で利益が残らない本当の理由と、現実的なリスク回避策をお伝えします。「完全に安全な方法」を保証することはできませんが、リスクを最小限に抑えるための実践的な知識を提供します。
私たちは15年以上にわたりネット通販事業に携わり、業界大手のEC部門で責任者を務めてきた経験があります。その現場で培ったノウハウと、実際に直面した判断の難しさをもとに、出店者の皆様が実務で迷わないよう、具体的かつ実践的な情報をお届けします。
景品表示法と「二重価格表示」の基本を正しく理解する
景品表示法における主な禁止表示(優良誤認・有利誤認・ステマ)
すべてのEC事業者が理解しておくべき法律が「景品表示法(景表法)」です。これは、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示することを規制し、消費者がより良い商品を自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。
景表法で特に注意すべきなのが「不当表示」で、大きく分けて以下の3つがあります。
① 優良誤認表示:商品の品質を実際より良く見せる表示
「カシミヤ100%と表示していたが、実際は30%しか含まれていなかった」「他社の従来品より2倍長持ち!と謳っていたが、合理的な根拠がなかった」といったケースがこれにあたります。
ECサイトでは、商品の効果効能を過剰に表現してしまうことがないよう、客観的な根拠に基づいた表示が求められます。
② 有利誤認表示:取引条件を実際より有利に見せる表示
今回のテーマである「価格表示」で最も関係が深いのがこの有利誤認表示です。具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 不当な二重価格表示:「通常価格10,000円→セール価格5,000円!」と表示しているが、そもそも「10,000円」で販売した実績がほとんどない
- キャンペーンの誤認:「本日限定価格!」と表示しているが、実際には毎日同じ価格で販売している
- 限定数量の誤認:「先着100名様まで!」と謳っているが、実際には100名を超えても同じ条件で購入できる
これらの表示は、消費者に「今買わないと損だ」という誤った認識を与え、不公正な取引を誘発する可能性があるため、厳しく規制されています。
③ ステルスマーケティング(ステマ)規制
2023年10月1日から新たに規制対象となったのが「ステマ」です。これは、事業者が第三者を装って自社の商品やサービスを宣伝し、広告であることを消費者に隠す行為を指します。
例えば、インフルエンサーに金銭を渡して商品のPRを依頼したにもかかわらず、その投稿に「#PR」「#広告」といった表記をせず、あたかも個人の感想であるかのように見せるケースが典型例です。これも消費者の自主的かつ合理的な商品選択を阻害するものとして、不当表示の一種とみなされます。
「二重価格表示」とは?誤認されやすい典型例
二重価格表示とは、商品の販売価格と併せて、比較対照となる価格(通常価格、参考価格など)を表示することで、値引きの有利性を訴求する表示方法です。
例えば、以下のような表示が該当します。
- 「通常価格10,000円 → セール価格7,000円(30%OFF)」
- 「メーカー希望小売価格15,000円 → 当店価格9,800円」
- 「市場価格12,000円 → 今だけ8,500円」
この比較対照価格が適切に設定されていない場合、有利誤認表示として景品表示法違反となる可能性があります。特に問題となるのが、以下のようなケースです。
- 実際には販売していない架空の「通常価格」を設定している
- ごく短期間だけ高い価格で販売し、それを「通常価格」として表示している
- 根拠が不明確な「市場価格」「他店参考価格」を比較対照にしている
消費者庁の調査によれば、二重価格表示に関する違反事例は年々増加傾向にあり、特にEC市場における監視が強化されています。
楽天市場での「通常価格」「セール価格」ルール【2025年最新】
景品表示法の基本を踏まえた上で、楽天市場が独自に定めている「二重価格表示」のガイドラインを詳しく見ていきましょう。楽天市場では、消費者に誤解を与えないよう、比較対照となる「元の価格」について厳格な条件を設けています。
通常価格の根拠期間(8週間/4週間ルールの正確な適用)
セールなどで割引前の価格として「当店通常価格」や「通常販売価格」といった表記を用いる場合、その価格には「最近相当期間にわたって販売されていた実績」が必要です。
楽天市場のガイドラインでは、この条件を以下のように具体的に定めています。
【原則】セール開始前の8週間のうち、通算で4週間以上、その価格で販売実績があること
ただし、販売期間が短い商品など、この原則を満たすのが難しい場合のために、以下の特例も認められています。
【特例①】販売期間が8週間に満たない商品の場合 販売期間の過半かつ通算2週間以上、その価格で販売実績があること。
【特例②】販売開始から2週間に満たない商品の場合 二重価格表示は認められない。
具体例で考えてみよう
8月1日から開催される「お買い物マラソン」で、ある商品をセール価格で販売したいとします。
- OKなケース◎:6月1日~7月31日の8週間で、合計4週間以上「当店通常価格」として表示したい価格で販売していた
- NGなケース×:セール直前に数日間だけ価格を吊り上げて、それを「当店通常価格」として表示する
- NGなケース×:過去に一度もその価格で販売したことがないのに、架空の「当店通常価格」を設定する
このルールを破ると、景品表示法の有利誤認表示にあたる可能性が非常に高くなります。
【重要】エビデンスの保管が必須
楽天市場では、通常価格として表示する根拠となる販売実績のエビデンス(証拠データ)を保管しておくことが求められます。具体的には、以下のような記録が必要です。
- RMS内の受注データ
- 価格設定履歴のスクリーンショット
- 売上レポート
万が一、消費者庁や楽天市場から確認を求められた際に、すぐに提示できるよう、最低でも2年間は保管しておくことを推奨します。
「当店通常価格」と「参考価格」「メーカー希望小売価格」の違い
二重価格表示で使える比較対照価格には、いくつかの種類があります。それぞれ表示条件が異なるため、正確に理解しておく必要があります。
① 当店通常価格・通常販売価格
自店舗で実際に販売していた価格を指します。前述の「8週間/4週間ルール」を満たす必要があります。
② メーカー希望小売価格
製造業者(メーカー)が設定し、自社のカタログやウェブサイトなどで公表している価格を指します。これを比較対照価格として表示する場合は、以下の点に注意が必要です。
- 現行商品であること:その価格が現在もメーカーによって公表されている必要があります。旧モデルの古い価格などを表示することはできません
- 客観的な根拠があること:メーカーのカタログや公式サイトのURLなど、その価格が客観的に確認できる資料を提示できるようにしておく必要があります
自社で勝手に「希望小売価格」を設定することは、もちろん認められません。
③ 市場価格・他店参考価格
「市場価格」「一般的な価格」「他店参考価格」といった表現は、根拠が不明確になりやすいため、使用は推奨されません。
もし使用する場合は、複数の競合店舗の価格調査データなど、客観的な根拠を明確に示せる必要があります。しかし、実務上は証明が難しいため、「当店通常価格」または「メーカー希望小売価格」を使用することをお勧めします。
やってはいけないNG表示例まとめ
楽天市場で特に注意すべき、違反となりやすい価格表示の例をまとめました。自店のページに当てはまるものがないか、今一度チェックしてみてください。
- × 架空の通常価格:販売実績のない価格を「当店通常価格」として表示する
- × 短期間だけ吊り上げた価格:セール直前に一時的に値上げし、それを元値として表示する
- × あいまいな表現:「市場価格」「他店参考価格」など、根拠の不明確な価格を比較対照にする
- × 割引率の偽装:実際よりも割引率を高く見せるために、元値を不当に高く設定する
- × 恒常的なセール表示:「本日限定」「タイムセール」と表示しながら、毎日同じ価格で販売を続ける
- × セール終了後の表記放置:セール期間が終了したのに、「〇〇%OFF」の表記を削除せずに放置する
違反とみなされる具体例と見落としがちな注意点
「常にセール中」のような恒常的値引き表示
最も多い違反パターンの一つが、「常にセール状態」を続けることです。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 毎週のように「週末限定セール」を開催し、実質的に年間を通じて同じ価格で販売している
- 「期間限定キャンペーン」と称して、キャンペーン終了後も同じ価格で販売を継続している
- 「通常価格」で販売している期間が極端に短く、ほとんどの期間を「セール価格」で販売している
このような表示は、「特別な値引き」という印象を消費者に与えながら、実際にはその価格が通常価格であるという点で、有利誤認表示に該当します。
EC現場での実例:セール直前の価格吊り上げで指摘を受けた経験(2020年)
私たちがコンサルティングを行っていた健康食品店舗での失敗事例をご紹介します。
※本事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件を変更しています。
状況:
- 通常3,980円で数ヶ月間販売していた商品
- 楽天スーパーセールに向けて準備中
- 割引率を高く見せたいという思いがあった
判断のプロセス(失敗):
当初、私たちは「セール前にしっかり通常価格で販売していれば問題ない」と考えていました。そこで、以下のような運用をしてしまいました:
- セール開始の10日前に価格を6,980円に値上げ
- その価格で10日間販売(実際に数件の売上あり)
- セール開始と同時に「通常価格6,980円→セール価格3,980円(43%OFF)」と表示
当時は「10日間販売した実績があるから大丈夫」と思っていました。
結果:
セール開始から3日後、楽天市場から指摘を受けました:
「セール直前の一時的な価格変更は、実質的に消費者を誤認させる表示にあたる可能性があります。通常価格の表示を修正してください」
慌てて二重価格表示を削除し、3,980円の単独価格表示に変更しました。
なぜ問題だったのか:
- 数ヶ月間3,980円で販売していた実績がある
- セール直前だけ一時的に価格を上げた
- その価格での販売期間が極端に短い(10日間)
- 実質的には「割引率を大きく見せるための価格操作」と判断された
学んだこと: 「形式的に販売実績があっても、セール直前の価格変更は『価格操作』とみなされるリスクが高い」
この経験から、通常価格として表示する価格は、最低でもセール開始の1〜2ヶ月前から継続して販売している価格に限定するようになりました。たとえ一時的でも販売実績があれば良いという認識は、大きな誤解でした。
比較価格の根拠が不明確・不十分なケース
二重価格表示において、最も重要なのが「比較対照価格の根拠」です。以下のようなケースは、根拠不十分とみなされる可能性が高くなります。
- 販売期間が極端に短い:例えば、セール前の1週間だけ高い価格で販売し、それを「通常価格」として表示
- 販売数量が極端に少ない:ほとんど売れていない価格を「通常価格」として表示(例:1個しか売れていない価格を通常価格とする)
- 一部商品のみの価格を全体に適用:バリエーション商品(サイズ・カラー違い)の一部にしか適用していない価格を、あたかも全商品の通常価格であるかのように表示
ただし、「何個以上売れていれば十分な実績か」という明確な基準はありません。
消費者庁の過去の事例を見ると、ケースバイケースで判断されており、一概に「◯個以上なら安全」とは言えないのが現実です。
2024-2025年の動向
消費者庁は2024年以降、EC事業者に対する監視を強化しており、特に「根拠データの提示」を求めるケースが増えています。口頭での説明だけでなく、RMSの受注データや価格設定履歴など、客観的なエビデンスを提示できることが重要です。
商品画像内・バナー表記での違反パターン
見落としがちなのが、商品画像内やバナー画像内での価格表示です。
楽天市場のガイドラインは、商品ページ上のすべての価格表示に適用されます。つまり、以下のような箇所も対象となります。
- 商品画像内に記載された価格表示
- バナー画像内の「通常価格〇〇円→セール価格〇〇円」といった表記
- LP(ランディングページ)内の価格比較表示
特に、セール終了後も古い画像をそのまま使い続けてしまい、画像内の「期間限定」表記が実態と合わなくなっているケースが散見されます。
実務での対策
商品画像やバナー画像を作成する際は、以下の点に注意してください。
- 価格や割引率は画像内に直接記載せず、テキスト情報として管理する(修正がしやすくなります)
- やむを得ず画像内に記載する場合は、セール終了後すぐに画像を差し替えられる体制を整える
- 「期間限定」「タイムセール」などの文言は、明確な期間設定があり、その期間中のみ使用する
違反時のリスクと実際の行政処分事例【2024-2025年版】
消費者庁による措置命令・課徴金の最新動向
消費者庁から有利誤認表示と認定された場合、事業者には措置命令が出されます。これは、違反行為の取りやめ、再発防止策の実施、一般消費者への周知徹底などを命じるものです。
さらに、悪質なケースでは課徴金納付命令が出されることもあります。課徴金の額は、原則として不当表示に関連する商品の売上額の3%と定められており、事業者にとって大きな金銭的負担となります。
2024-2025年の実際の処分事例
2024年には、二重価格表示に関する措置命令が複数発出されています。
事例①:メイク・ネイルスクール運営事業者(2024年12月)
- 「通常授業料150,000円を期間限定50%OFFの75,000円」と表示していたが、通常授業料での提供実績がほとんどなかった→措置命令
事例②:大手通販事業者(過去事例)
- エアコンの「2万円値引き」表示について、通常価格での販売実績が乏しかった→措置命令+課徴金5,180万円
これらの事例に共通するのは、「根拠となる販売実績やデータが不十分だった」という点です。消費者庁は、違反の認定にあたって、以下のような資料の提出を求めます。
- 過去の販売価格の推移
- 各価格帯での販売数量・販売期間
- メーカー希望小売価格の根拠資料
これらを速やかに提示できない場合、違反と認定されるリスクが高まります。
楽天市場内でのペナルティ(違反点数制度・掲載制限)
楽天市場は、独自のガイドライン違反に対して「違反点数制度」を設けています。違反の内容に応じて点数が加算され、累積点数が一定基準を超えると、以下のような厳しいペナルティが科されます。
- 検索表示順位のロジックダウン
- ランキングへの掲載制限
- RMS(店舗運営システム)の一機能停止
- 最悪の場合、契約解除・退店処分
特に「検索表示順位のダウン」は、店舗の売上に直接的な打撃を与えます。楽天市場内での検索流入が減少すれば、広告費をかけても効果が薄れ、悪循環に陥ります。
違反点数の目安
楽天市場の違反点数制度は非公開ですが、価格表示に関する違反は比較的重いペナルティが課される傾向にあります。特に、以下のような違反は要注意です。
- 景品表示法に抵触する可能性がある価格表示:重度の違反
- セール期間後の表記更新漏れ:軽度~中度の違反
- 画像内表記の不備:軽度の違反
一度違反点数が加算されると、一定期間(通常6ヶ月~1年)は点数が消えないため、複数回の違反は致命的です。
違反を防ぐためのチェックリストと運用フロー
価格設定前に確認すべき5つのポイント
二重価格表示を行う前に、以下の5つのポイントを必ずチェックしてください。
✅ ① 通常価格の販売実績は十分か?
- セール開始前8週間のうち、通算4週間以上その価格で販売しているか?
- 販売数量は適正か?(極端に少ない数量ではないか)
✅ ② 比較対照価格の種類は適切か?
- 「当店通常価格」「メーカー希望小売価格」など、根拠が明確な価格を使用しているか?
- 「市場価格」「他店参考価格」など、曖昧な表現を使っていないか?
✅ ③ メーカー希望小売価格の根拠は最新か?
- メーカーの公式サイトやカタログで、現在も公表されている価格か?
- 旧モデルの価格を使用していないか?
✅ ④ 商品画像・バナー内の価格表記は正確か?
- 画像内に記載された価格や割引率は、現在の設定と一致しているか?
- 「期間限定」などの表記は、実際の期間設定と合っているか?
✅ ⑤ セール期間の設定は明確か?
- 「本日限定」「〇月〇日まで」など、具体的な期間を明示しているか?
- 恒常的なセール状態になっていないか?
エビデンス(根拠データ)の保管方法と管理期間
万が一、消費者庁や楽天市場から価格表示の根拠を求められた場合に備えて、以下のエビデンスを保管しておくことが重要です。
保管すべきエビデンス一覧
価格設定履歴
- RMS内の価格変更履歴
- 価格設定画面のスクリーンショット
販売実績データ
- 受注データ(CSV出力)
- 売上レポート
メーカー希望小売価格の根拠資料
- メーカー公式サイトのURL・スクリーンショット
- カタログのコピー
商品ページのスクリーンショット
- 通常価格で販売していた期間のページ画像
- セール価格で販売していた期間のページ画像
保管期間の目安
消費者庁の調査や楽天市場の監査は、遡及的に行われることがあります。そのため、最低でも2年間はエビデンスを保管しておくことを推奨します。
保管方法のポイント
- RMS内のデータだけでなく、外部ストレージ(Google DriveやDropboxなど)にもバックアップを取る
- ファイル名に日付や商品名を入れて、後から検索しやすくする(例:「20250101_商品A_価格設定履歴.pdf」)
- 定期的にデータを整理し、必要なときにすぐ取り出せる状態にしておく
セール終了後に必要な修正・表示更新の手順
セールやキャンペーンが終了した後、価格表示の更新を怠ると、違反とみなされる可能性があります。以下の手順で、確実に修正を行いましょう。
セール終了後のチェックリスト
STEP 1:RMS内の価格設定を更新
- セール価格から通常価格に戻す
- 「セール価格」「キャンペーン価格」などの表記を削除
STEP 2:商品ページの表記を修正
- 「〇〇%OFF」「期間限定」などの文言を削除
- 二重価格表示を行っていた場合は、比較対照価格の表示を削除
STEP 3:商品画像・バナー画像を差し替え
- 画像内に「セール」「期間限定」などの文言が入っている場合は、通常版の画像に差し替え
- 価格や割引率が記載されている画像も同様に修正
STEP 4:LP(ランディングページ)の更新
- 特設ページやLP内の価格表示も忘れずに修正
- 「キャンペーン終了」の告知を掲載するか、ページ自体を非公開にする
STEP 5:広告クリエイティブの修正
- 楽天市場内広告(RPP、クーポンアドバンス広告など)のバナーやテキストも更新
- Google広告やSNS広告を出稿している場合も同様に修正
実務での失敗例
よくある失敗が、「RMS内の価格は修正したが、商品画像内のセール表記を削除し忘れた」というケースです。お客様から「画像には〇〇円と書いてあるのに、実際の価格が違う」というクレームが入り、楽天市場からも指摘を受けることがあります。
セール終了後は、すべての表示箇所を漏れなくチェックすることが重要です。
正しい価格表示が店舗の信頼とSEO評価を高める理由
法令遵守が顧客満足度・レビュー評価に与える影響
「ルールが厳しくて面倒だ」と感じた方もいるかもしれません。しかし、これらのルールを守ることは、単にペナルティを回避するためだけのものではありません。長期的に見て、店舗の信頼性を高め、売上を安定させるための重要な戦略なのです。
不当な価格表示を行う店舗の悪循環
- お客様は「騙された」と感じる
- 低評価レビューが増える
- 店舗評価が下がり、転換率も悪化
- 楽天市場内での検索順位が下がる
- 売上が減少し、さらに無理な価格表示に手を出す
誠実な価格表示を行う店舗の好循環
- お客様は納得して購入し、満足度が高まる
- 高評価レビューが増え、リピーターにも繋がる
- 店舗評価が上がり、転換率も向上
- 楽天市場内での検索順位が上がる
- 売上が安定し、適正な価格戦略を継続できる
私たちがコンサルティングを行った店舗の中にも、過去に価格表示で指摘を受け、一時的に売上が落ち込んだケースがありました。しかし、ルールを徹底的に見直し、誠実な価格表示に切り替えた結果、約8ヶ月後にはレビュー評価が向上し、検索順位も回復。最終的には以前と同程度の売上を回復しました。
適正表示は楽天市場内SEOにもプラスに働く可能性がある
楽天市場の検索アルゴリズムは、売上や転換率だけでなく、ユーザーレビューや顧客満足度も重要な評価指標としていると言われています。
適正な価格表示を行うことで、以下のようなSEO効果が期待できます。
① レビュー評価の向上: 誠実な価格表示は、お客様の満足度を高め、高評価レビューの獲得につながります。楽天市場の検索アルゴリズムは、レビュー評価を重視する傾向があるため、これは大きなプラス要素です。
関連記事→【2025年最新版】楽天市場でレビューを増やす方法と注意点|信頼と売上を高める戦略的アプローチ
② 転換率(CVR)の改善: 「お得だ」と感じて購入したお客様は、満足度が高く、リピーターになりやすい傾向があります。転換率の向上は、楽天市場内SEOにおいて最も重要な指標の一つです。
関連記事→【2025年最新版】楽天市場のCVRを劇的に上げる5つの戦略|売上アップの近道とは?
③ 違反ペナルティの回避: 前述の通り、価格表示違反によるペナルティは、検索順位の大幅なダウンを招きます。これを回避するだけでも、大きなSEO効果があります。
④ 長期的なブランド価値の構築: 「この店は信頼できる」という評判が蓄積されることで、指名検索(店舗名での検索)が増加します。これは、楽天市場内だけでなく、Google検索においてもプラスに働きます。
つまり、「誠実さ」や「信頼性」が、巡り巡ってSEO対策になるのです。目先の売上を追って不当な表示に手を出すのではなく、適正な価格設定と正直な情報提供を徹底することが、お客様に選ばれ続ける店舗への一番の近道と言えるでしょう。
まとめ|信頼こそが最強の販売戦略
今回は、景品表示法と楽天市場の価格表示ルールについて、実務で使える具体的な情報を交えて詳しく解説しました。
この記事のポイント
- 景品表示法は、消費者を守るための国の法律。特に「有利誤認表示」に注意
- 楽天市場の二重価格表示には、「8週間/4週間ルール」など具体的な条件がある
- 違反のリスクは、課徴金や退店処分など非常に大きい
- エビデンス(根拠データ)の保管と、セール終了後の表示更新が重要
- 正しい価格表示は、顧客の信頼を獲得し、結果的にSEO評価を高める可能性がある
価格表示ルールの現実と限界
私が15年以上のEC運営経験で確信しているのは、価格表示のルールは完璧に理解することが難しく、グレーゾーンも多いということです。
ただし、以下の点は理解しておく必要があります:
- 「これなら絶対に安全」と断言できるケースは限られている
- 消費者庁の判断基準は事例ごとに異なり、一概には言えない
- 形式的にルールを満たしていても、実質的に消費者を誤認させていればリスクがある
- 判断に迷った場合は、より保守的な選択をすることが賢明
それでも、基本的なルールを理解し、エビデンスを保管し、誠実な表示を心がけることで、リスクを最小限に抑えることはできます。
セールやキャンペーンは、お客様に喜んでもらうための素晴らしい施策です。その善意が、知識不足によって裏目に出てしまっては元も子もありません。
この記事を参考に、今一度自店の価格表示を隅々までチェックしてみてください。そして、お客様との信頼関係を第一に考えた、誠実な店舗運営を心がけていきましょう。その積み重ねが、楽天市場での成功につながる可能性を高めます。
よくある質問(FAQ)
Q1: 二重価格表示が違反になるのはどんな場合?
A: 比較対照となる「通常価格」に十分な販売実績がない場合、違反とみなされる可能性があります。楽天市場では、セール開始前8週間のうち通算4週間以上の販売実績が必要です。また、架空の価格を設定したり、セール直前だけ価格を吊り上げて「通常価格」とする行為も違反です。ただし、「十分な実績」の具体的な基準は明確ではなく、ケースバイケースで判断されます。
Q2: 通常価格として表示できる条件は?
A: 【原則】セール開始前の8週間のうち、通算で4週間以上、その価格で実際に販売していた実績があること。【特例】販売期間が8週間未満の商品は、販売期間の過半かつ通算2週間以上の実績が必要です。販売開始から2週間未満の商品は、二重価格表示ができません。
Q3: メーカー希望小売価格を使う場合の注意点は?
A: メーカー希望小売価格を比較対照価格として使用する場合、その価格が現在もメーカーによって公表されている必要があります。また、メーカーの公式サイトやカタログなど、客観的な根拠資料を提示できるようにしておくことが重要です。旧モデルの価格や、自社で勝手に設定した「希望小売価格」は使用できません。
楽天市場でのSEO対策や価格表示でお悩みの方へ
当社では、15年以上のEC運営経験をもとに、楽天市場での売上向上をサポートしています。価格表示の適正化チェックや、SEO対策のご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。
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