「商品は売れているのに、なぜか手元に利益が残らない」
もしあなたが今、この悩みを抱えているなら、少し立ち止まって聞いてください。
私はこれまで15年以上、ECサイトの運営現場に立ち続けてきました。現在はその経験を活かしてコンサルティングを行っていますが、かつては私も皆様と同じように、楽天市場という巨大なモールの中で、終わりのない「価格競争」に疲弊していた一人の店長でした。
型番商品(メーカー既製品)の販売は、ECの基本でありながら、最も過酷な戦場です。
競合店が1円下げれば、こちらも追随せざるを得ない。RPP広告の単価は上がり続け、気づけば「荷物を送れば送るほど赤字になる」という恐怖。
しかし、断言します。「最安値」でなくても商品は売れます。
実際に私が現場で実行し、現在も多くのクライアント様と実践しているのは、魔法のような裏技ではなく、「価格以外の判断基準」をお客様に提示し、利益を守りながら生き残るための泥臭い実務です。
本記事では、机上の空論ではない、現場の痛みと数字を知る人間としての「型番商品戦略」を共有します。
※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。
なぜ型番商品は「地獄の価格競争」に陥るのか
そもそも「型番商品」の宿命とは
型番商品とは、家電(例:Panasonic EH-NA0G)、スニーカー(例:NIKE エアフォース1)、化粧品など、メーカーが定めた品番を持つ商品のことです。
これらは、消費者にとって「どの店で買っても、届くモノは100%同じ」という絶対的な安心感があります。
モノが同じなら、消費者が比較するのは以下の2点だけになります。
- 価格(送料含む)
- 納期
これが、価格競争が起きる根本的なメカニズムです。Amazonやヨドバシカメラのような資本力のある企業が相手であれば、体力勝負で勝つことは不可能です。
現場で起きている「逆ザヤ」の現実
私が過去にご支援した店舗様でも、この構造的欠陥に気づかずに運営を続けているケースが多々ありました。特に危険なのが「売上至上主義」です。
例えば、ある人気美容家電を取り扱う店舗様では、競合が増えるたびに値下げとポイント変倍を行い、さらにアクセスを維持するためにRPP広告をかけ続けました。その結果、月商は1,000万円を超えていましたが、営業利益はマイナス。「売れば売るほど貧乏になる」という状態です。
私たち中小規模のショップが目指すべきは、規模の拡大ではなく、「適正価格でも選ばれる理由作り」による利益の確保です。
【体験談】私が痛感した「RPP広告の落とし穴」と学習プロセス
ここで、私自身の「個人的な失敗」をお話しさせてください。
まだ私がEC運営の駆け出しだった頃の話です。ある有名な空気清浄機が飛ぶように売れる時期がありました。私は「今がチャンスだ」と判断し、RPP広告(当時はCPC広告)の入札単価を一気に引き上げ、検索順位の1位を取りにいきました。
結果、アクセスは爆発的に増え、注文通知は鳴り止みませんでした。「勝った」と思いました。
しかし、翌月の決算書を見て血の気が引きました。
- 商品の粗利:2,000円
- 1件獲得にかかった広告費(CPA):2,500円
1台売るごとに、500円ずつ現金をドブに捨てていたのです。さらに梱包材費や人件費を含めれば、傷口はもっと深い。「売上」という数字の麻薬に酔い、「利益」という現実から目を背けていた私の完全な経営判断ミスでした。
この経験から私は学びました。「粗利から逆算できない施策は、すべてギャンブルである」と。
これ以降、私は「売上の最大化」ではなく「粗利額の最大化」にすべての指標を切り替えました。これからお話しする戦略は、この痛い失敗に基づいています。
※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。
価格を下げずに”選ばれる店舗”になる3つの差別化戦略
最安値競争から降りるためには、お客様に「価格差を埋めるだけのメリット」を感じてもらう必要があります。
1. 「スペック」ではなく「解決策」を売る(専門店化)
大手量販店の弱点は「広く浅く」であることです。商品ページにはメーカー支給のカタログスペックしか載っていません。ここに勝機があります。
型番商品であっても、店舗側が「専門家としての解釈」を加えることで、商品は生まれ変わります。
【実践例:理美容家電のケース】
- Before(大手と同じ): 「風量1.8㎥/分、マイナスイオン搭載」とスペックだけ記載。
- After(差別化): 「剛毛・多毛の店長が実際に使ってみました。乾かす時間が平均15分→8分に短縮。特に朝の忙しい時間にこの7分の差は大きいです!」
このように、「誰の、どんな悩みを解決するのか」という利用シーンを具体的に提案することで、「安く買いたい」から「失敗したくないから、詳しいこの店で買いたい」という心理へシフトさせることができます。
2. 「購入後の不安」を先回りして解消する
型番商品を買うユーザーは、商品そのものへの信頼はありますが、「店への信頼」はゼロです。
特に高額商品の場合、「故障したらどうしよう」「箱潰れで届いたら嫌だな」という不安がつきまといます。
- 独自保証の付帯: メーカー保証に加え、店舗独自の延長保証をつける(保険会社と提携せずとも、自社リスクで数ヶ月延長するだけでも効果があります)。
- 「丁寧な梱包」の可視化: 家電などの型番商品は、外箱の傷一つでもクレームの対象になり得ます。そこで、「当店ではエアークッション(プチプチ)で二重に梱包して発送します」という梱包作業中の写真を1枚掲載してください。「他の店で買ったら箱が潰れて届いたが、この店はきれいな状態で届いて安心した」というレビューは、数千円の価格差を埋める価値になります。
3. 店舗レビューを「資産」として活用する
お客様が最終的に購入ボタンを押す際、背中を押すのは「店舗レビュー」です。
商品レビューは「商品の評価」ですが、店舗レビューは「あなたの仕事への評価」です。
私が推奨しているのは、商品発送時の「同梱物」の改善です。
単にチラシを入れるのではなく、「万が一不具合があった場合の直通連絡先(QRコード)」を記したカードを入れます。これにより、何かあった際にいきなり「悪いレビュー」を書かれることを防ぎ、直接対応することで逆にファン化させる機会を作れます。
スマホで勝負が決まる!クリック率を上げる画像とSEO
2026年現在、楽天市場のアクセスの8割以上はスマートフォンです。PC画面で商品ページを作り込んでいませんか? 勝負は「スマホの検索結果画面」で決まっています。
1. サムネイル画像は「文字の視認性」が命
スマホの検索結果に表示されるサムネイルは非常に小さいです。ここに情報を詰め込みすぎると、何も伝わりません。
- 要素を絞る: 「送料無料」「ポイント5倍」「あす楽」…あれもこれも入れたくなりますが、最も強い訴求を1つだけ、大きく配置してください。
- 背景とのコントラスト: 商品が白っぽいなら、背景に色を置くか、枠線を付けるなどして、視認性を高めます。
2. 楽天SEOの鉄則:商品名は「冒頭19文字」に魂を込める
意外と知られていない仕様ですが、スマートフォンの検索一覧画面(アプリ)では、商品名の冒頭約19文字程度までしか表示されません。それ以降は「…」と省略されることが多いのです。
- 悪い例: 【大人気!】【期間限定セール】パナソニック ヘアードライヤー ナノケア EH-NA0G…
- (一番大事な型番や商品名が見えていません)
- 良い例: 【新品】パナソニック ドライヤー EH-NA0G 高浸透ナノイー…
「何の商品か」「型番は何か」を冒頭19文字以内に必ず入れ込み、その後に検索対策用のキーワード(サジェストワード)を配置するのが鉄則です。
まとめ:明日からできる「利益体質」への転換アクション
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
最後に、明日からすぐに取り組める具体的なアクションを3つ提示します。
- 「赤字商品」の洗い出しと停止
RPP広告のレポートと、商品ごとの粗利表を突き合わせてください。CPA(獲得単価)が粗利を超えている商品は、勇気を持って広告を停止するか、入札単価を下げてください。売上は落ちますが、利益は増えます。 - 商品名「冒頭19文字」の修正
主力商品トップ10だけで構いません。スマホの実機で検索画面を確認し、重要な情報が省略されていないかチェックしてください。 - 「ひとことコメント」の追加
商品ページの冒頭に、スペックではない「あなた自身の言葉(おすすめポイント)」を3行でいいので追加してください。
型番商品の販売は、確かに楽ではありません。しかし、「価格」という土俵から一歩降りて、「信頼」や「安心」という土俵で戦うことができれば、中小規模の店舗でも十分に利益を出すことは可能です。
15年前、倉庫で頭を抱えていた私でも変わることができました。
正しい戦略で、あなたの店舗が「選ばれる店」になることを応援しています。
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