- 1 この記事でわかること
- 2 はじめに:なぜ今、楽天市場でオリジナル(PB)商品なのか
- 3 楽天市場でオリジナル商品を売るメリットと適性
- 4 売れるオリジナル商品を見つける市場調査・ニーズ分析
- 5 魅力が伝わる商品ページとブランド設計
- 6 楽天市場でのプロモーションとSEO戦略
- 7 オリジナル商品でファンを増やす顧客育成・リピート戦略
- 8 まとめ:オリジナル商品は「価格競争から抜け出すための資産」
この記事でわかること
- オリジナル商品が価格競争から抜け出す最強の理由
- 売れる商品を見つけるための市場調査の実践的ステップ
- 楽天市場でのブランド構築と集客の具体的な戦略
- 初期段階から実現可能なリピーター育成の方法
※本記事に掲載している事例は、クライアントの特定を防ぐため、一部の数値や条件などを変更しております。
はじめに:なぜ今、楽天市場でオリジナル(PB)商品なのか
楽天市場で店舗を運営する皆さんの中で、こんな悩みを抱えていませんか?
「型番商品の価格競争が厳しすぎる」「利益率が削られ続けている」「他店との差別化ができていない」
これらは、15年以上の業界経験と大手EC部門での責任者経験を通じて、何度も聞いてきた課題です。実は、私が業界大手で月商数億円規模の運営を担当していた時代も、同じ問題に直面していました。
その時気づいたのが、型番商品だけに依存する経営モデルの脆弱性です。
型番商品だけに依存するリスク
型番商品は確かに集客のハブになります。ただし、以下の問題が常について回ります:
- 価格競争に陥りやすい:複数の出店者が同じ商品を販売するため、自動的に値下げ競争へ
- 利益率が圧倒的に低い:場合によっては「赤字販売」に近い状況も
- 顧客ロイヤルティが生まれない:最安値を求める「浮動客」が大半
- プラットフォーム依存度が高い:楽天のアルゴリズム変更に左右される
15年のEC運営経験の中で、私が見てきた倒産事例の多くは「型番商品のみに特化した店舗」でした。2020年のコロナ禍では、この傾向が顕著になりました。
PB商品がもたらす利益率・ブランド・顧客基盤
一方、オリジナル商品(PB商品)を軸にシフトした店舗は、どうなったか。
実例を挙げます。
アパレル分野の事例: 某アパレルセレクトショップ(月商約5,000万円規模)では、型番商品の売上比率が70%だったのに対し、オリジナル商品は30%でした。しかしオリジナル商品の利益率は型番商品の3倍以上。売上では劣るものの、営業利益は50%以上がオリジナル商品から生み出されていました。
化粧品分野の事例: 私が支援した小規模化粧品セレクターは、開発に1年を費やしてオリジナルスキンケアシリーズを立ち上げました。初月は月商100万円程度でしたが、2年後には月商1,000万円に。しかも、リピート率が45%を超え、単価も型番商品の2.5倍に上昇。
これらの事例が示すのは:
- 利益率が確保できる:適正価格を設定でき、競争による値下げ圧力がない
- ブランドの独自性が生まれる:競合との比較対象が限定的
- 顧客の愛着度が高い:商品の背景ストーリーに共感してくれるファン化客が増える
- 組織の自由度が増す:商品改良や展開をコントロールできる
実際、私がEC部門責任者として運営していた時代、新規顧客獲得コストの50%削減を実現できたのは、オリジナル商品によるロイヤルカスタマー育成があったからです。
楽天市場でオリジナル商品を売るメリットと適性
オリジナル商品販売の4つのメリット
1. 高い利益率と価格決定権
最も直感的なメリットです。型番商品では避けられない値下げ圧力がありません。
あるペット用品メーカーの例:他社製フードとの競争では利益率15~20%程度でしたが、自社ブランドペットフードは定価販売で40~50%の利益率を維持。年間で数百万円の利益差が生まれました。
2. 強力なブランディングと差別化
オリジナル商品は「あなたの店の顔」になります。
型番商品を扱うだけの店は「どこでも買える店」ですが、オリジナル商品を持つ店は「あの独特な商品が欲しいから、あのショップで買う」という指名購買が発生します。
日用雑貨の例:ある店舗が「キッチン用のオリジナルまな板」を開発し、楽天ランキングで常に上位を維持。訪問者の60%以上がこの商品目当てで来店するようになりました。
3. 顧客育成とリピーター獲得
型番商品では難しい、深い顧客関係が構築できます。
食品・仕出しサービスの事例:月1回の定期配送オリジナル弁当サービスを始めた店舗では、初回購入者の60%が3ヶ月以内に2回目購入。一方、型番商品のリピート率は15%程度でした。
4. 市場変化への対応力
顧客ニーズの変化に素早く応じられます。
化粧品の例:季節ごとの肌悩みに合わせてオリジナル商品をリニューアルした店舗では、毎シーズン新規顧客が集中。型番商品では実現不可能な、継続的な「新しさ」が保証されます。
楽天市場がPB商品と相性の良い理由(集客力・販促ツール・信頼性)
集客力
楽天市場自体の月間訪問者数は数千万。その圧倒的な集客力は、立ち上げ初期のオリジナル商品にとって最大の味方です。
型番商品とは異なり、オリジナル商品は「指名検索」がありません。楽天市場というプラットフォームの検索と広告露出に頼る必要があります。これが逆に、楽天市場の集客力というメリットを最大化できる環境になっています。
充実した販促ツール
RPP広告、クーポンアドバンス広告、イベント参加など、オリジナル商品の成長を加速させるツールが揃っています。
実際の運用経験から言えば、RPP広告とクーポンアドバンス広告の組み合わせが、新規顧客獲得からリピート育成まで、最も効率的です。
アパレルの事例:月30万円のRPP広告予算で、最初は月100万円程度の売上でしたが、6ヶ月間の継続で月800万円に成長。理由は、販売実績が増えることで自然検索順位も上がり、広告依存度が徐々に低下したから。
信頼性
楽天というブランドの信頼性が、新規オリジナル商品にも波及します。
「初めての店舗の初めての商品」という不安感を、楽天のセキュリティと返品保証が軽減してくれるのです。
売れるオリジナル商品を見つける市場調査・ニーズ分析
楽天市場内での市場分析と競合調査
オリジナル商品の成功は、100%「市場調査」の質で決まると言っても過言ではありません。
具体的な調査ステップ
ステップ1:楽天ランキングの徹底分析(1~2時間)
楽天市場のランキング画面を見ると、売れている商品カテゴリが一目瞭然です。
重要なのは「単なるランキングの確認」ではなく:
- 上位商品の平均価格帯
- レビュー件数と平均評価
- 商品ページのタイトル形式
この3つから、市場の「適正価格」と「需要規模」が推測できます。
実例:日用雑貨(クッション類) ランキング1~10位の商品を分析したところ、平均価格は3,000~5,000円、レビュー件数の中央値は500~1,000件。これから「月販売目標は50~100個、価格は4,000円前後が受け入れられやすい」と推測できました。
ステップ2:売れ筋キーワード分析(楽天ランキング+Google Trends)
楽天市場の検索ボックスに自分の商品ジャンルや商品名の一部を入力し、サジェスト表示されるキーワードを10個以上メモ。
これらが「実際に検索されている言葉=顧客が求めている表現です。商品ページのタイトルやキャッチコピーに、これらのキーワードを自然に入れることで、SEO効果が生まれます。
実例:ペット用品 「ペット用」「犬用」「猫用」だけでなく「小型犬 クッション」「高齢犬 関節」といったロングテールキーワードが多数。最初は「ペット用クッション」で勝負したかったのですが、「小型犬向けの関節サポートクッション」というニッチに絞ったことで、競合が極端に少なくなり、上位表示が実現できました。
ステップ3:競合店の研究
ランキング上位5~10店舗の「その店でしか売ってない商品」をリストアップ。
重要な洞察は:その商品が「なぜ売れているのか」ではなく「なぜその店でしか売ってないのか」を考えることです。
差別化ポイントの発見につながります。
レビューやQ&Aからニーズ・不満を掘り起こす方法
ここからが、本当の「市場調査」です。
ネガティブレビューを「宝の山」に変える
楽天市場の星1~2つのレビューを見てください。その中に、商品開発のヒントが隠れています。
「商品自体は良いけど、●●が不足している」 「価格は高いけど、▲▲が改善されたら買う」
こうしたコメントは、実は「ニーズの顕在化」です。
化粧品の例: ある化粧水の星2つレビューで「効果は感じるが、保湿力が足りない。朝の乾燥が心配」というコメントが複数見られました。
これを見て、私たちが開発したのは「保湿力を3倍高めたオリジナル化粧水」。競合商品とのはっきりした差別化ができました。結果、初月で月商150万円。
Q&Aから「本当の課題」を読む
商品ページのQ&A欄は、実際の顧客が「購入を迷わせている要因」が凝縮されています。
「このサイズは本当に●●に対応していますか?」 「これは敏感肌でも使えますか?」
こうした質問が多い=その情報が不足しているか、不安が大きいということ。
オリジナル商品を設計するなら、これらの「懸念点」を最初から排除する設計が必要です。
ニッチ市場・差別化ポイントの見つけ方
「ニッチ市場を狙え」はよく言われますが、単なる「小さい市場」を狙ってはいけません。
大切なのは「需要があるのに、供給が少ない市場」です。
差別化の視点(3つの軸)
軸1:「顧客セグメント」の絞り込み
全員を対象にするのではなく、特定の層に特化する。
例:ペット用品なら「30代以上の女性、小型犬を飼っている、月収30万円以上」という絞り込み。こうすると、訴求メッセージと商品設計が一貫性を持ちます。
軸2:「使用シーン」の限定
「汎用」ではなく「特定のシーンでの最適解」を目指す。
例:キッチン用品なら「一人暮らしの朝食準備を15分以内に完了させたい」というシーン特化。
軸3:「価値観」への訴求
機能性だけでなく、顧客の「信念」や「こだわり」に訴える。
例:日用雑貨なら「環境配慮」「職人手作り」「国産素材」といった価値観。
魅力が伝わる商品ページとブランド設計
ターゲットに刺さるコンセプトと言語化
ここから先は、商品は完成しているという前提で進みます。大切なのは「その商品をどう見せるか」です。
コンセプトの言語化(3ステップ)
ステップ1:「誰に、何を、なぜ」の明確化
- 誰に:具体的な顧客像(年齢、生活スタイル、悩み)
- 何を:その顧客に提供する体験
- なぜ:その体験が必要な理由(社会背景、個人的課題)
この3つが整合していないと、ページを見た瞬間に「この商品は私向けではない」と判断されます。
実例:アパレル(オリジナルTシャツ)
初期案:「高品質な素材を使用した着心地のいいTシャツ」→ありふれた説明
改善案:「育児で自分時間を失っている30代女性が、大人っぽさを取り戻すための、上質で洗練されたTシャツ」
後者の方が、購入層が自分のことだと認識しやすく、購入率が25%以上向上しました。
ストーリーテリングで「共感」と「信頼」を高める
単なる「商品説明」ではなく、背景にある「物語」を語るか否かで、顧客の心理状態が大きく変わります。
ストーリーの4要素
要素1:「問題提起」
商品が生まれた背景にある「課題」を語る。
例(化粧品):「市販のスキンケアが肌に合わず、季節の変わり目は必ずトラブルになっていた。その繰り返しに疲れた」
要素2:「試行錯誤」
開発者や利用者がどんなプロセスを経たかを語る。
例:「3年間、●●のテスト、△△の改良を重ねた。失敗は100回以上」
このプロセスが共感を生みます。
要素3:「転機」
「ある時点で気づいたこと」を語る。
例:「素材の組み合わせを変えた瞬間、肌の反応が一変した」
要素4:「現在」
ユーザーがどう変わったか、その成果を語る。
例:「今では、季節を問わず安定した肌を保つことができている。同じ悩みを持つ人に、この喜びを届けたい」
実務経験から言えば、このストーリーが商品ページにあるかないかで、転換率が1.5~2倍変わります。
写真・動画・パッケージで世界観を統一する
視覚的一貫性は、ブランド認識に直結します。
実践的なチェックリスト
写真:
- [ ] 商品単体ショット:背景はシンプル(白バック推奨)、光の当たり方に統一性がある
- [ ] 使用イメージ:「実際の使用シーン」が顧客に想起しやすい背景設定
- [ ] 詳細ショット:素材感、質感が伝わるクローズアップ
化粧品の事例:ある店舗は「モデルの肌」を背景にしていましたが、「朝日が差し込む洗面台」という設定に変更したことで、購買層の「朝のスキンケアシーン」がより具体的に想像されるようになり、購入率が30%向上。
動画:
- 15~30秒が最適(完全視聴率が高い)
- 開始3秒で「何の商品か」が判明する設計
- スマホ縦画面での視聴を想定
パッケージ: 他のオリジナル商品と色合い・フォント・デザイン方向性を統一。複数商品購入時に「同じブランドの商品だ」という認識が生まれます。
不安を減らす情報設計(比較・品質・保証・FAQ)
購入直前の顧客心理は「迷い」の連続です。
必須の情報設計
比較表: 「他の商品との違いは?」という疑問に、視覚的に答える。
例(ペット用品):
| 項目 | 自社商品 | A社製品 | B社製品 |
| サイズ | S/M/L | M/Lのみ | ワンサイズ |
| 洗濯可能 | ○ | △(ドライのみ) | ○ |
| 通気性 | ★★★★★ | ★★★ | ★★★★ |
| 価格 | 4,980円 | 6,980円 | 3,480円 |
品質表示: 「どこが高品質なのか」を数字で示す。
例(繊維製品):
- 生地の厚さ:400gsm(一般的なTシャツは180~220gsm)
- 色落ち試験:JIS L 0844 AA級合格
- 耐久性:洗濯50回後も形崩れなし
保証・返品ポリシー: 「購入しても大丈夫」という安心感を明示的に提供。
例:「30日間無条件返金保証」「不良品は即日交換」
FAQ: よくある質問を先回りして答える。
例(食品): Q: 開封後、どのくらい保つ? A: 冷蔵保管で7日間。冷凍なら30日間。
こうした情報が不足している商品ページほど、購入を躊躇させます。
楽天市場でのプロモーションとSEO戦略
RPP広告・クーポン・ターゲティング広告の使い分け
2025年現在、楽天市場の広告メニューは複数ありますが、オリジナル商品の初期段階では、RPP広告とクーポンアドバンス広告の二本柱が最も効率的です。
実際、私が支援した店舗の90%以上が、この2つの組み合わせで初期成長を実現しています。
RPP広告:「見つけてもらう」段階
RPP広告(検索連動型広告)は、ユーザーが「●●」と検索した時点で、関連商品をPR枠に表示する広告。
特徴:
- クリック課金(表示されるだけではコストがかからない)
- 最小CPC(クリック単価):10円から出稿可能
- 自然検索順位にも間接的に好影響
具体的な運用ポイント:
- キーワード選定
- 単一キーワード(「化粧水」)ではなく、ロングテールキーワード(「乾燥肌向け化粧水」「敏感肌対応」)
- 月間検索数が100~500程度のニッチなキーワードから開始
- 競合が少ないほど、CPC(クリック単価)が安い傾向
- CPC(クリック単価)の設定
- 初期段階:目安CPCの100~120%で入札
- 6ヶ月後:目安CPCの80~100%に調整(販売実績が増えるため、自動的に順位が上がる)
- 重要:スマートフォン表示での順位を確認(2024年11月以降、スマホでの掲載枠が拡大)
- 除外キーワードの設定
- 「類似商品」「代替品」で検索されるキーワードは除外
- 例:自社が「天然由来化粧水」なら、「オーガニック美容液」は除外
実例:アパレル(初期段階) 「セレクトTシャツ」で出稿していた店舗は、月間広告費15万円で売上60万円。 「大人っぽい 質感 Tシャツ」というロングテールに切り替えたところ、月間広告費12万円で売上120万円に。理由は、競争相手が少なく、見込み客の購買意欲が高かったから。
クーポンアドバンス広告:「購買への後押し」段階
クーポンアドバンス広告は、ユーザーの購買履歴や閲覧履歴に基づいて、クーポン付きで商品を表示する広告。
特徴:
- クーポン獲得時点で課金(成果報酬型に近い)
- RPP広告より高い転換率が期待できる
- 既存顧客へのリピート訴求にも効果的
具体的な運用ポイント:
- 割引率の設定
- 初期段階:10~15%割引
- 理由:「割引ありき」で訪れる客より、「割引で最後の決断が押された」層を狙う方が、顧客質が高い
- 配信タイミング
- RPP広告で認知されて1~2日後に、クーポンで後押しする
- 「まずは認知、その後にクーポンで成約」という段階的な仕掛けが効果的
- クーポン配信対象
- 「過去30日間に商品ページ閲覧」など、ターゲットを明確にする
- 全員配信より、セグメント配信の方がROAS(広告費用対効果)が高い
実例:日用雑貨(クッション類) RPP広告で月100クリック、転換率3%(月3件)という低迷状態でした。 同じ商品に対してクーポンアドバンス広告を追加したところ、月30クーポン獲得、転換率20%(月6件)。RPP単体より低予算で、高い転換率が得られました。
ターゲティング広告の位置づけ
RPP+クーポンアドバンスで初期成長が実現できれば、次のステップが「ターゲティング広告(TDA)」です。
ただし、初期段階(月商500万円以下)では、この2つの組み合わせで十分。むしろ、3つ目の広告を追加する前に、商品ページの改善やリピート施策に注力する方が、費用対効果が高い傾向にあります。
楽天イベント(スーパーSALE/お買い物マラソン)との連動施策
楽天市場でのオリジナル商品成長に、イベント活用は欠かせません。
スーパーSALE(年4回:3月・6月・9月・12月)
特徴:最大半額の商品も登場する、楽天市場最大級のセール
オリジナル商品でのポイント:
- 定価販売が基本のため、通常セールの対象外
- ただし「初回特別価格」という名目で10~20%割引は可能
- イベント期間中に「新商品投入」すれば、自然と検索上位に表示されやすい
実例(化粧品): スーパーセール期間中に新しいオリジナル化粧水をリリースした店舗では、通常時の同時期の売上170万円から、セール期間中は290万円に。初回特別価格と新商品効果の相乗作用。
お買い物マラソン(12月を除き、ほぼ毎月1~2回)
特徴:複数ショップでの買い回りでポイント最大10倍になるイベント
オリジナル商品でのポイント:
- 「1ショップ1,000円以上」という購入基準があるため、オリジナル商品だけでは1,000円に達しない場合が課題
- 解決策:「セット販売」を期間限定で用意
- 例:単品2,500円×2 → セット販売4,500円(1,000円割引)
- この施策により、買いまわり対象になりやすくなる
実例(ペット用品): マラソン期間中に「クッション+おもちゃ+おやつ」のセットを3,980円で販売。単品販売では3店舗での買いまわり対象にならなかった顧客が、セット購入1回で1,000円超過。その結果、マラソン期間中の売上が通常時の2.5倍に。
オリジナル商品の楽天SEO対策(商品名・説明文・レビュー活用)
ここが、最も重要でありながら、多くの出店者が見落としているポイントです。
型番商品とは異なり、オリジナル商品は「指名検索」がありません。つまり、検索エンジンの自然検索に頼る必要があるのです。
商品名の最適化
楽天市場の検索アルゴリズムは、Google検索に比べて「商品名の重要性」が高い傾向にあります。
最適な商品名の構成:
【カテゴリ】●●●の×××【特徴①】【特徴②】-¥価格帯
実例の比較:
❌ 悪い例:「スキンケアセット」 → 競合多数、検索順位上がりにくい
⭕ 良い例:「【敏感肌向け】乾燥肌対応スキンケアセット 無添加保湿化粧水+クリーム 日本製」 → 「敏感肌」「乾燥肌」「無添加」「日本製」という複数のキーワードを自然に含有
ただし注意:キーワード詰め込みすぎは、ユーザーに読みにくくなり、クリック率低下に繋がります。
説明文でのSEO対策
商品説明文は、Google検索でも楽天内検索でも重視される要素です。
最適な構成:
- 導入(最初の100字):商品が「何か」と「誰向けか」を明確に
- 例:「この乾燥肌向けスキンケアセットは、30代以上の女性の肌悩みを解決するために開発されました」
- 本体(次の500字):ターゲットキーワードを自然に配置しながら、商品の特徴を説明
- ロングテールキーワード:「敏感肌」「乾燥対策」「無添加」「日本製」
- 重要:キーワード出現頻度は3~5%程度が目安(詰め込みすぎNG)
- 成果事例(最後の200字):ユーザーの「購入後の変化」を具体的に
- 例:「使用者の60%が、1ヶ月で肌の乾燥が改善されたと回答」
レビューの充実と活用
楽天SEOにおいて、レビューの質と量は、販売実績と同程度の重要性があります。
実務的な施策:
- レビュー投稿の促進
- 発送時の同梱チラシに「レビュー投稿でクーポン」を記載
- 投稿率は、通常3~5%から、クーポン特典付きで15~25%に向上
- 低評価レビューへの対応
- 星1~2の低評価にも、丁寧な返信を必ずする
- 理由:低評価への企業返信も、SEO評価に含まれるという報告あり
- レビュー内容の分析
- 「どの側面が評価されているか」「どの側面に不満があるか」を定期的に分析
- 次の商品改良に反映
実例(食品): レビュー投稿にクーポン特典を付与した結果、投稿件数が月平均3件から月20件に増加。それに伴い、楽天市場内の検索順位も徐々に上昇。6ヶ月で「お弁当 宅配」というキーワードで1ページ目表示を実現。
SNSや外部流入との連携(Instagram/X/インフルエンサー)
楽天市場内の施策だけでは、成長に限界があります。
外部からの流入を増やすことで、検索順位がさらに上がり、より多くの内部流入が生まれる「好循環」が作られます。
Instagram連携の具体例
初期段階(フォロワー1,000以下):
- 週2~3回の投稿(曜日・時間を固定)
- コンテンツ:商品紹介ではなく、「ユーザーの使用シーン」や「制作秘話」など、ストーリー中心
成長段階(フォロワー5,000~10,000):
- 楽天市場での限定クーポン配布
- 例:「Instagramフォロワー限定、15%OFFクーポン(有効期限1週間)」
インフルエンサー連携の検討
月商500万円に達した段階で、初めて検討価値があります。
理由:コストが1件5~10万円程度のため、初期段階では費用対効果が低いから。
ただし、選別が重要:
- 「フォロワー数」ではなく「エンゲージメント率」(実際の反応率)を重視
- 自社商品のターゲット層と、インフルエンサーの視聴者層がマッチしているか確認
実例(アパレル): フォロワー50万人のインフルエンサーに1回の投稿を依頼(費用15万円)。売上は30万円程度で、費用対効果は見合いませんでした。
一方、フォロワー8,000人のマイクロインフルエンサー(ニッチ専門家)に依頼(費用5万円)したところ、売上60万円。エンゲージメント率と顧客層のマッチがすべてを決めます。
オリジナル商品でファンを増やす顧客育成・リピート戦略
ここまでで、「新規顧客獲得」の施策を述べてきました。
しかし、実はリピート率が高い商品ほど、長期的な利益が生まれます。
新規顧客1人獲得のコストは、既存顧客1人への販売コストの5~7倍。オリジナル商品の最大の価値は、実はこの「リピート率の高さ」にあるのです。
購入直後のフォローとサンクスコミュニケーション
最初のチャンスは「商品到着時」です。
購入後24~48時間以内の施策
同梱チラシ:
- 商品の使用方法(1~2ページ)
- 手書きのサンクスメッセージ(顧客名入り)
- 次回使用可能な5~10%OFFクーポン(有効期限30日)
この「手書きメッセージ」の効果は想像以上に大きいです。
アパレルの事例:同梱チラシに「●●さんへ、いつも当店をご利用いただきありがとうございます」という手書きメッセージを追加したところ、リピート率が3%から8%に向上。
配送直後のメール
楽天の自動メール以外に、ショップから個別にサンクスメールを送信。
内容例:
- 商品の使い方のコツ
- 類似商品や関連商品の紹介
- 期間限定クーポンの案内(有効期限7日程度、緊急感を演出)
ただし注意: 購入直後のメールが多すぎると、迷惑メール扱いされる可能性があります。1~2通に限定し、内容は「実用的」「親切」なものに。
レビュー依頼・同梱物・クーポンによるロイヤル化
ここからが、本当の「顧客育成」フェーズです。
レビュー依頼の工夫
「レビューを書いてください」という直接的な依頼より、「クーポンをもらう条件」として提示する方が、心理的抵抗が少なくなります。
実例の比較:
❌ 直接依頼:「レビュー投稿をお願いします」 → 投稿率3~5%
⭕ 条件付き:「レビュー投稿で次回使用可能な500円クーポンをプレゼント」 → 投稿率15~20%
同梱物の工夫
単なる「商品パッケージ」ではなく、開封時の体験まで設計する。
高級感・満足感を高める同梱物:
- 上質な梱包紙(白無地より、柄入りがおすすめ)
- ショップロゴ入りの小さなメモ帳やノート
- 季節感のある「シーズンレター」(印刷でOK)
これらが「ただの買い物」を「体験」に変えます。
実例(化粧品): 同梱物を「説明書のみ」から「説明書+季節の肌ケアアドバイス(カラー刷り)+ロゴ入りコットン」に変更。開封体験の満足度が向上し、リピート率が5%から12%に。
セグメント別クーポンの配布戦略
全ユーザーへの一律クーポンではなく、購買パターンに応じて変える。
セグメント例:
- 初回購入者向け:10~15%OFF(購買意欲が不確実なため、大きめの割引)
- 2~3回購入者向け:5~7%OFF(リピーターなので、控えめな割引でOK)
- 4回以上購入者向け:5%OFF+ポイント1.5倍(割引より「ポイント」で価値提供)
これにより、各層の心理状態に最適なインセンティブが提供できます。
メルマガ・LINEでの継続コミュニケーションと商品開発への巻き込み
顧客を「ファン」に変える継続的なコミュニケーション
ここまでの施策は、すべて「購入後7~30日」の短期的なものでした。
真のロイヤルカスタマー育成は、3ヶ月以上の長期的な関係構築です。
メルマガ配信の工夫
週1~2回のメルマガが基本ですが、内容が重要。
避けるべき内容: 「商品が●%OFF」「今週のセール情報」といった、販売色の強いメール
推奨される内容:
- 商品の使用法・ケア方法(実用的な情報)
- 季節ごとの肌悩み・生活課題への提案
- シーズンコラム(春は「花粉対策」など)
実例(化粧品): 販売色強いメールの購読解除率は15%程度でしたが、「月1回の肌悩み相談コーナー」メルマガに変更したところ、解除率が3%に低下。顧客が「情報を得たい」と考え始めた証。
LINE公式アカウントの活用
メルマガより開封率が高く(60~70%)、より親密なコミュニケーションが可能。
配信内容の例:
- 週1回:「今週のケアアドバイス」(実用的な情報)
- 月2回:「限定セール情報」(LINE登録者限定の特別割引)
- 月1回:「商品開発の舞台裏」(ストーリーを共有)
実例(日用雑貨): LINEで「商品開発投票」を実施。「次の新商品、Aパターン(カラー①)かBパターン(カラー②)か」を登録者に投票させました。
結果:
- 投票参加率45%(通常のアンケートは10~15%)
- 投票者は「自分が選んだ商品」として購買確度が極めて高い
- 実際の購入率は非投票者の3倍
顧客巻き込みの仕組み
最終段階として、顧客を「商品開発パートナー」に変える施策。
具体的な方法:
- 季節前のニーズ調査
- LINEで「来月の新商品、どんな悩みを解決してほしいですか?」というアンケート
- 寄せられた声を、次の商品開発に反映
- 先行販売の展開
- 商品がまだ本格ローンチ前に、LINE登録者だけに先行販売
- 「自分たちの声が反映された商品」という認識が生まれる
- 開発ストーリーの共有
- 「こんなご意見をもらったので、こう改良しました」というストーリーをメルマガで紹介
- 顧客が自分の意見の「その後」を知ることで、満足度が飛躍的に上昇
実例(ペット用品): LINE登録者から「小型犬向けで、洗濯しやすいクッションがほしい」という声が複数寄せられました。
その声を反映して商品を開発し、「お客様のご要望から生まれた新商品」として販売。その結果、当該商品の売上は予想の2倍に。しかも、意見を提供してくれた顧客は100%購入。
まとめ:オリジナル商品は「価格競争から抜け出すための資産」
15年以上のEC運営経験と、大手企業での責任者経験を通じて、私が学んだことは一つです。
オリジナル商品とは、単なる「商品」ではなく、店舗の未来を左右する「資産」である
型番商品だけでの経営は、常に値下げ圧力と隣り合わせです。しかし、オリジナル商品を持つ店舗は、その圧力から解放され、自分たちのペースで利益を確保し、顧客を育成できます。
ただし、成功への道のりは決して簡単ではありません。
市場調査から始まり、商品ページの設計、プロモーション、そして顧客育成まで、各段階で継続的な改善が必要です。
その過程で「失敗」も何度も経験するでしょう。
実際、私が見てきた成功事例の多くは、最初の1~2年は赤字かほぼトントン。3年目から黒字転換という事例がほとんどです。短期的な「利益化」ではなく、長期的な「資産構築」という視点が必須なのです。
小さく始めるためのステップ
もし今からオリジナル商品を開発するなら、以下のステップで進めることをお勧めします。
第1段階(1ヶ月目):
- 市場調査に注力(楽天ランキング分析、競合リサーチ、レビュー分析)
- 売れる見込みのあるニッチを特定
第2段階(2~3ヶ月目):
- 少ロット製造での商品開発
- 商品ページの設計・作成
第3段階(4ヶ月目):
- テスト販売(月商100万円程度まで)
- RPP広告による集客テスト
- 顧客からのフィードバック収集
第4段階(5~6ヶ月目以降):
- フィードバック反映した改良
- 本格的なプロモーション展開
- リピーター育成施策の本格化
このステップを踏むことで、失敗のリスクを最小化しながら、段階的に成長させることができます。
実行のための3つの心構え
最後に、実務経験から学んだ、成功の心構え。
① 「完璧を目指さない」
初期段階で完璧な商品ページや、完璧なプロモーション計画を目指す必要はありません。むしろ、「70点の完成度」で市場に出し、顧客反応を見ながら改善する方が、結果として成功確度が高いという経験則があります。
② 「データに基づく判断」
感覚や直感ではなく、必ずデータを確認してから判断を下す。レビュー件数、クリック率、転換率、リピート率など、定量的な指標を毎週確認し、改善方針を決める習慣が、長期成功を左右します。
③ 「顧客との共創」
最初から「すべてを自分たちで決める」のではなく、顧客の声を常に聞き、その声を反映させるプロセスが重要。顧客は、実は最高の「商品開発パートナー」なのです。
オリジナル商品による売上最大化は、決して「夢」ではなく、正しいプロセスを踏めば、十分に実現可能です。
この記事が、あなたの店舗成長の一助になれば幸いです。
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