Yはじめに:Yahoo!ショッピングで売上を左右する”カテゴリ設定”の重要性
Yahoo!ショッピングで店舗を運営されている事業者様の多くが、以下のような課題を抱えています。
「商品を登録したのに、ユーザーが見つけてくれない」「アクセス数が期待より少ない」「検索順位が上がらない」
実は、この問題の原因として見落とされがちなのが「プロダクトカテゴリ未設定」です。
当社が15年以上のEC運営を通じて支援してきた店舗データから申し上げますと、プロダクトカテゴリ設定の正確性が売上に大きく影響します。
2025年現在、Yahoo!ショッピングではカテゴリ検索を経由した流入が約7割を占めます。つまり、ユーザーの大多数は検索キーワードではなく、「カテゴリから商品を探している」のです。
本記事では、プロダクトカテゴリ設定の仕組みから実務的な設定手順、よくあるミスと対処法までを解説します。
プロダクトカテゴリとは?仕組みと役割
検索アルゴリズムとの関係
プロダクトカテゴリとは、Yahoo!ショッピングが定めた商品分類コードです。ストア側が商品登録時に正しく設定することで、その商品がYahoo!ショッピングのカテゴリ一覧や絞り込み検索に表示されるようになります。
例:
- スポーツ用品 → シューズ → ランニングシューズ
- 家電 → 調理家電 → 電子レンジ
- 美容・健康 → ヘアケア → シャンプー・リンス
このように、大カテゴリから小カテゴリへと階層化された構造になっています。
2025年現在、Yahoo!ショッピングの検索アルゴリズムではこのプロダクトカテゴリ設定の有無が、表示順位に直接影響を与えます。つまり、カテゴリ設定は単なる分類ではなく、SEO対策の基本となる要素です。
表示順位・露出機会に与える影響
プロダクトカテゴリが適切に設定されていない場合、以下のような機会損失が発生します。
1. カテゴリ一覧への掲載がない
ユーザーがYahoo!ショッピングのトップから「カテゴリで探す」を選択し、該当カテゴリを選んでも、カテゴリ未設定の商品は一覧に表示されません。つまり、比較検討の機会そのものが失われてしまいます。
2. 検索アルゴリズムで不利に扱われる
Yahoo!ショッピングの検索エンジンは、カテゴリ情報を「構造化データ」として活用します。未設定の商品は「カテゴリ関連性が低い」と判断され、検索順位が下がるリスクがあります。
3. レコメンド・関連表示に乗りにくい
「この商品を見た人はこんな商品も」といったレコメンド機能も、カテゴリ情報をベースに動作します。カテゴリが未設定だと、こうした接点機会も減少します。
正しいカテゴリ設定の考え方
商品登録時の「親カテゴリ」と「子カテゴリ」の関係
Yahoo!ショッピングのプロダクトカテゴリは階層構造になっています。正しく設定するには、この関係性を理解することが重要です。
- 親カテゴリ(大分類): 最も広いカテゴリ層 例:「ファッション」「電化製品」「食品」
- 子カテゴリ(中分類): 親カテゴリの下位層 例:「メンズファッション」「オーディオ機器」「スナック菓子」
- 孫カテゴリ(小分類): さらに細かい分類 例:「メンズシャツ」「スピーカー」「チョコレート」
正しい設定は、最も細かい層(孫カテゴリなど)を指定することです。大カテゴリだけの指定では、検索アルゴリズムが商品を正確に評価できません。
間違えやすい設定例と対処法
✗ 悪い例1:親カテゴリだけを指定
「衣類」とだけ設定してしまい、実際はメンズシャツなのに、レディースとも並んで表示される。
対処法: 最深層のカテゴリまで必ず指定する。
✗ 悪い例2:商品に合わないカテゴリを指定
化粧品を「食品」に分類してしまう(短期的なアクセスを狙った誤分類)。
対処法: 商品の実質に基づき、正確なカテゴリを選択する。
✗ 悪い例3:複数カテゴリへの登録をしない
複数のカテゴリに該当する商品(例:日中用と夜用の両対応の化粧品)を、1つのカテゴリだけに登録してしまう。
対処法: Yahoo!ショッピングでは複数カテゴリ登録が可能です。該当するカテゴリすべてに登録して、露出機会を最大化してください。
カテゴリ設定の手順と注意点
商品登録画面での設定方法
ステップ1:ストアクリエイターProにログイン
Yahoo!ショッピング管理画面のストアクリエイターProにアクセスします。
ステップ2:商品登録画面を開く
「商品管理」→「ページ編集」(または「商品登録」)へ進みます。
ステップ3:プロダクトカテゴリを指定
商品情報入力画面内の「商品コード・カテゴリ」セクションから、「プロダクトカテゴリ」を選択します。
カテゴリ追加ボタンをクリックすると、左から右へ大カテゴリ→中カテゴリ→小カテゴリと進むツリー構造が表示されます。最深層のカテゴリまで選択してください。
ステップ4:複数カテゴリ設定(オプション)
1つのカテゴリ選択後、商品管理画面の「リンク」機能を使用して、該当する別のカテゴリにも商品を紐付けることができます。
ステップ5:保存
すべての設定完了後、「保存」ボタンをクリックして確定します。
商品移動・カテゴリ変更時の注意点
商品をカテゴリ間で移動したり、カテゴリを変更した場合、Yahoo!ショッピングの検索インデックスに反映されるまでに時間がかかる場合があります。
注意点:
- カテゴリ変更直後は検索結果に反映されない場合がある
- Yahoo!ショッピング側でカテゴリの改編(追加・変更・削除)が行われた際は、速やかに対応する必要がある
- セール期間中のカテゴリ変更は慎重に実施してください
複数カテゴリ登録のルール
1つの商品が複数のカテゴリに該当する場合、「リンク」機能を使用してすべてに登録することで露出機会が増えます。
例:香水の場合
- メインカテゴリ:「美容・香水」
- サブカテゴリ:「メンズ用品・香水」
- さらに:「ギフト・香水」
ただし、無関係なカテゴリへの登録は避け、実際に該当するカテゴリのみに限定してください。
売上アップにつながるカテゴリ最適化のコツ
競合上位商品のカテゴリ分析
売上が高い競合店舗の商品がどのカテゴリに登録されているかを調査することで、自店舗の最適なカテゴリ設定が見えてきます。
具体的な調査方法:
- 同じ商品を複数の競合店舗で検索
- 各商品ページのカテゴリ階層を確認
- 最深層のカテゴリはどこまで細分化されているかをチェック
競合が深い層のカテゴリを使用していれば、自店舗もそれに合わせることで、同じ検索条件で表示されやすくなります。
SEO・検索流入を意識したキーワード設計
プロダクトカテゴリと商品タイトルの一貫性がSEO効果を高めます。
好例:
- カテゴリ:「ランニング→ランニングシューズ」
- タイトル:「ランニングシューズ エアクッション搭載 メンズ用 2025年版」
悪例:
- カテゴリ:「ランニング→ランニングシューズ」
- タイトル:「スポーツ靴 男性 軽い」(カテゴリとの関連性が低い)
カテゴリ名をタイトルに含めることで、検索アルゴリズムが「関連性の高い商品」と判断し、検索順位が向上しやすくなります。
季節商材・セール時のカテゴリ再構成戦略
季節によって求められるカテゴリが異なる場合、柔軟に変更することで露出機会を最大化できます。
例:
- 夏:「ファッション→メンズ→半袖シャツ」
- 冬:「ファッション→メンズ→長袖シャツ」
ただし、セール中の頻繁な変更は慎重に実施することをお勧めします。
カテゴリ設定の実践事例:試行錯誤から学んだ教訓
当社が支援した店舗の事例から、カテゴリ設定における試行錯誤のプロセスをご紹介します。
健康食品店舗における複数カテゴリ登録の効果検証
背景と初期の躊躇
この店舗(月商約150万円)では、日中・夜間兼用のサプリメントを販売していました。商品特性上、「健康食品→サプリメント→総合サプリメント」と「健康食品→サプリメント→睡眠サポート」の両方に該当する可能性がありました。
しかし、当初は「複数カテゴリに登録すると、システムに悪影響があるのではないか」という懸念から、メインカテゴリ1つのみの登録にとどめていました。実は、私自身も複数カテゴリ登録の効果について確信を持てず、保守的な推奨をしていた時期です。
転機となった気づき
ある日、競合店舗の同様の商品が3つのカテゴリに登録されているのを発見しました。その店舗の商品は、カテゴリ検索で複数の導線から表示されており、アクセス数も自店舗より明らかに多い状況でした。
この発見を機に、複数カテゴリ登録のテストを実施することを決定しました。
テスト実施と慎重な検証
以下のプロセスでテストを進めました。
- 小規模テスト まず売れ筋商品5SKUについて、2つのカテゴリに登録
- メインカテゴリ:「健康食品→サプリメント→総合サプリメント」
- サブカテゴリ:「健康食品→サプリメント→睡眠サポート」
- 4週間の効果測定
- 週次でアクセス数、コンバージョン率、売上を追跡
- Yahoo!ショッピング側からペナルティがないかを注意深く監視
- 予想外の課題 テスト開始2週間後、想定していなかった問題が発生しました。サブカテゴリ(睡眠サポート)からの流入ユーザーは、メインカテゴリからの流入ユーザーと比較して、コンバージョン率が約30%低い状況でした。理由を分析した結果、「睡眠サポート」カテゴリでは、より専門的な睡眠改善商品を期待するユーザーが多く、汎用的なサプリメントとのミスマッチが生じていたと考えられます。
結果とニュアンスの認識
テスト期間終了後の結果は以下の通りです。
- 全体のアクセス数:改善前比で約14%増加
- ただし、サブカテゴリからのコンバージョン率は低い(メイン比70%程度)
- 売上への貢献:約8%増加(期待値には届かず)
この結果を受けて、以下の判断を行いました。
- 採用を決定: 全体として売上増加効果があるため、複数カテゴリ登録を継続
- 商品説明の改善: サブカテゴリからの流入ユーザー向けに、商品説明文に「睡眠サポート成分も含む総合サプリ」という記載を追加
- 継続的なモニタリング: 月次でカテゴリ別のパフォーマンスを確認し、効果が低いカテゴリは削除する方針
学んだこと
- 複数カテゴリ登録は効果的だが、すべてのカテゴリで同等の成果が得られるわけではない
- カテゴリとユーザー期待値のミスマッチを考慮する必要がある
- 「アクセス数増加=売上増加」ではなく、コンバージョン率も含めた総合判断が重要
- 商品説明の最適化と併用することで、効果を高められる
よくあるミスとその影響
「カテゴリ迷子」になる商品ページ
プロダクトカテゴリが「不明なプロダクトカテゴリ」と表示される場合があります。これは、以前登録していたカテゴリがYahoo!ショッピング側で削除または変更されたときに発生します。
確認方法: ストアクリエイターProの商品管理画面で「プロダクトカテゴリ未設定商品数」をチェックしてください。この数値が0以外の場合、対応が必要です。
対処法: CSVダウンロード機能を使用し、「プロダクトカテゴリ未設定商品」を選択してダウンロードし、正しいカテゴリに再設定します。
タグ重複・親子不整合による露出機会損失
複数カテゴリに登録する場合、「親」「子」の階層関係に矛盾がないか確認が必要です。
悪例:
- カテゴリ1:「美容」(親)
- カテゴリ2:「シャンプー」(親子関係がない)
このように関連性のない複数登録をすると、検索アルゴリズムが混乱し、かえって露出機会が減る場合があります。
まとめ:カテゴリ設定を”戦略的SEO”として運用する
実装チェックリスト
カテゴリ設定を正確に行うための最終チェックリストです。
登録時
- [ ] 最深層のカテゴリまで指定したか
- [ ] 商品タイトルにカテゴリ名を含めたか
- [ ] 複数該当するカテゴリはすべて登録したか
- [ ] 無関係なカテゴリへの登録をしていないか
定期的な確認
- [ ] 月1回、プロダクトカテゴリ未設定商品数をチェックしているか
- [ ] Yahoo!側でカテゴリが変更・削除されていないか確認したか
- [ ] 季節商材のカテゴリは、シーズン前に更新しているか
競合分析
- [ ] 同一商品の競合ストアのカテゴリを定期的に確認しているか
- [ ] 検索キーワードと対応するカテゴリに設定されているか
プロダクトカテゴリ設定は、一度設定して終わりではなく、継続的なメンテナンスと最適化が必要な施策です。
本記事で紹介した事例からもわかる通り、カテゴリ設定の最適化には試行錯誤が伴います。しかし、適切な設定と継続的な改善により、売上改善につながる可能性があります。
まずは自ストアの未設定商品や誤分類商品がないか確認してみてください。その一手が、売上改善の第一歩となります。
ご質問や具体的な設定相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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