SNSアイコンを置くだけで売れる時代は終わった
「とりあえずInstagramのアイコンを店舗ページに置いておこう」
もし、この目的のためだけに楽天市場の有料オプション「R-SNS」を契約しているなら、それは年間36,000円(税別)の無駄遣いかもしれません。
15年以上、ECの現場を見てきましたが、モールにおけるSNS活用の本質は「集客(新規)」ではなく「追客(リピート)」にシフトしています。特に2025年現在、LINEを活用したCRM(顧客関係管理)が売上の鍵を握っています。
本記事では、楽天市場とYahoo!ショッピング、それぞれのプラットフォームの「癖」を理解し、本当に利益が出るSNS戦略について解説します。
1. 楽天市場「R-SNS」の正体は、最強の“囲い込み”ツール
まず、楽天市場の「R-SNS(月額3,000円)」について誤解を解いておきましょう。これは「インスタのアイコンを表示する機能」ではありません。「楽天の巨大な顧客データベースと、自社のLINEを安全に接続する権利」です。
R-SNSの真のメリット:
- LINEでのセグメント配信が可能:
これが最大にして唯一無二の価値です。R-SNS契約下のLINE公式アカウントでは、楽天のシステムを経由して「購入者」にメッセージを送れます。 - 規約違反のリスク回避:
楽天は「外部へのリンク」に極めて厳格です。R-SNSを通さない勝手なSNSリンク設置は、最悪の場合、退店処分の対象になります。R-SNSは、いわば「楽天公認のパスポート」です。
デメリットと限界:
- 「楽天の檻」の中だけ:
当然ですが、LINEやインスタから自社サイト(Shopifyなど)へ誘導することは禁止されています。あくまで「楽天内で回遊させる」ためのツールです。
2. Yahoo!ショッピングは「LINEヤフー」経済圏での“自由”が武器
一方、Yahoo!ショッピングのSNS戦略は、楽天とは対照的に「自由」かつ「統合型」です。特にLINEヤフー株式会社(LY Corporation)の発足以降、LINEとの親和性はYahoo!ショッピングが圧倒的です。
Yahoo!ショッピングの特徴:
- LINE公式アカウントが直結(STORE’s R8など):
Yahoo!ショッピングで購入した顧客に対し、店舗独自のLINE公式アカウントへの友だち追加を強力に促せます。楽天のような「承認プロセス」や「厳しい制限」が少なく、自社サイトへのリンクも(現状の規約範囲内であれば)比較的柔軟に運用可能です。 - 「外部流入」へのペナルティがない:
SNSからYahoo!店へ飛ばすもよし、自社サイトへ飛ばすもよし。広告運用(Meta広告など)との相性も抜群です。
3. 【実録】「LINEアカウント一本化」で失敗した事例
ここで、私が過去に相談を受けたアパレル店舗(月商800万規模)の失敗事例をご紹介します。
※店舗の特定を防ぐため、実際と多少変更させていただいた点がございます。
この店長は、「管理が面倒だから」と、楽天用のLINEとYahoo!/自社サイト用のLINEを1つのアカウントで運用していました。
そして、LINEの一斉配信で「自社サイト限定セール(楽天より手数料分安い)」の案内を流しました。
結果:
楽天市場から「R-SNS規約違反(外部サイトへの誘導)」として警告を受けました。さらに、楽天経由で友だちになったユーザーが自社サイトで購入しようとして「楽天ポイントが使えないのか」とクレームになり、ブロック率が急増。
ここでの学び:
モールごとの「お作法」は絶対に混ぜてはいけません。
- アカウントA(楽天用): R-SNS契約。リンク先は全て楽天市場。楽天イベント(スーパーSALE等)に合わせて配信。
- アカウントB(Yahoo!/自社用): 自由運用。利益率の高い自社サイトへ誘導しつつ、Yahoo!のイベント時はそちらへ誘導。
面倒でも、この「使い分け」が最もリスクが低く、LTV(顧客生涯価値)が高まります。
4. 2025年版:モール別SNS攻略の最適解
これらを踏まえた、現時点での最適なSNS構成案は以下の通りです。
【楽天市場】
- 戦略: 「守りのCRM」
- ツール: LINE(R-SNS契約)一択です。Instagramは世界観作りには良いですが、直接的な売上貢献(リンク経由購入)は弱いため、優先度は下がります。
- アクション: 商品同梱物にQRコードを入れ、LINE友だちを増やす。そして「お買い物マラソン」の開始直後にクーポンを配信する。これだけで費用対効果は合います。
【Yahoo!ショッピング】
- 戦略: 「攻めの集客」
- ツール: Instagram(リール動画) × LINE
- アクション: ショート動画で商品をバズらせ、プロフィールリンク(Linktree等)からYahoo!店へ誘導する。Yahoo!ショッピングは「外部流入」を歓迎しているため、SNS広告と組み合わせた新規獲得に向いています。
まとめ:ツールに振り回されず「導線」を設計せよ
「R-SNS」と「Yahoo!のSNS活用」は、似て非なるものです。
- 楽天 R-SNS = 楽天内でのリピート売上を作るための「必要経費」
- Yahoo! SNS = 外部から新規客を連れてくるための「集客装置」
「なんとなく両方やる」のではなく、自店舗の課題が「リピート不足(楽天)」なのか「新規不足(Yahoo!)」なのかによって、リソースの配分を決めてください。
もしR-SNSを契約しているのにLINE配信をしていないなら、今すぐ解約するか、明日から配信を始めるか。その決断だけで利益体質は変わります。
► 無料相談はこちら